推理ゲーム『ねこじま人狼』｜リアクション

推理ゲーム『ねこじま人狼』

●怪盗は名乗り出るか？

　真矢による、怪盗のカミングアウトを求める発言に、皆は顔を見合わせる。
　考え込んだ風に顎を擦っていた志波武道も、
「俺もそれ気になってた。怪盗だぁれー？」
　と問いかける。
　挙手は……なかった。
「さきほど、大天使さんに斉藤さんがらっかみである可能性を示唆されたけれど、不確定要素……らっかみと怪盗に関しては可能性を追うときりがない為、敢えて想定しなかったの。だからこそそれらは出来るだけ隠さずオープンして欲しい」
　真矢が再度呼びかけたが、やはり名乗り出る者はなかった。
「怪盗は沈黙……」
　大天使天吏が小さく呟く。
　目線を下に向け黙り込んでいた屋敷野梢が、探る様な目で人狼と言われた修や智照、要を見る。
「ちょっと気になったんですけど、人狼の方って、今も人狼なんですかね？」
　この発言を受け、武道もまた、自分の考えを纏めるかのように口にした。
「これ……怪盗は人狼か吊人と交換した可能性もあるか？」
　梢は今度は天吏を見る。
「怪盗は大天使さんじゃないんですか？　大天使さんが怪盗なら、数は合いますよね」
　するとそれに修も乗じた。
「そうだ。大天使はなぜ『島民』と言わず『サイド』と表現したんだ？」
　眼帯に手を当てて考え込んでいた天吏は、顔をあげる。

「私が答える前に屋敷野さん、あなたに聞きたい。私が怪盗なら数が合う……ということはあなたは『らっかみ』であるということかしら？」
　梢はちょっと黙り込む。
「屋敷野」と修が今度は梢に水を向けた。
「大天使にしたのと同じ質問を君にもするよ。なぜ『島民サイド』と言った？　役職持ち、って主張かな？　そろそろ話してくれよ。役職と罠をさ」
　梢はふぅ、とため息をつき、覚悟を決めたような顔をした。

「分かりました。明かしましょう。私は『らっかみ』です」
　梢は続ける。
「いやー『らっかみ』って最初から言ったらいかにも仲間に疑心を抱かせちゃいそうじゃないですかー。だから逆に黙って、他に『らっかみ』だと言い出す人や私を疑う人が出てくるのを待ってたんですけどねー」
「それが罠か」
「そうです。でも引っ掛からなかったですねー。唯一ってのを武器にするまで！　と思ったんですが。……さて、私の正体も明らかになったところで話を戻しますが、大天使さん、怪盗なんですか？」
　梢が尋ね、武道も期待した目で天吏を見つめる。
　ところが天吏は首を振った。
「いいえ。私は『島民』よ」
「なら、なぜ『島民サイド』と？」修が尋ねる。
「盤面の動きを見極めたかったのよ。推理に徹する者として」

　武道は再び顎に手を当て思案顔になった。
「天吏ちゃんも『島民』……怪盗は沈黙……チョットマッテ。整理してみないー？」