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【クリスマス】メリークリスマス、旧市街
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店の扉の前に営業終了の札を掛け、店舗と工房の電気を落とす。
窓の外に降る雪に、雪の路を肩を並べて歩いて行く男女に、不意に思い出した。
(そう言えば今日は……)
とは言え、
浅葱 あやめ
にとってそれが何ということはない。
簡単に片づけた店内をもう一度見回してから、店の奥の階段を登り住居スペースへ移る。雪のせいか冷える廊下を渡り、台所に入る。仕事が終わっても、家事がまだ残っている。何よりもまず先にしなければならないのは夕飯の準備。
台所の電気を点けながら、壁掛け時計を確かめる。祖父も姉も、そろそろ帰ってくる頃だろう。
(今日は鯖の切り身を消費しないと……)
石油ストーブに火を入れる。冷えた掌をほんの少しの間だけ温めてから、立ち上がって冷蔵庫を覗き込み思案する。
鯖はどう調理しよう。
(……味噌煮で、いいか……)
チルドルームから鯖と味噌を取り出し、野菜室から生姜と青葱を取り出す。
(あとは……)
野菜室のストックと相談しながら簡単に献立を組み立てる。祖父も姉も、食べるものにはあまり拘らない。だからこそバランスのいいものを食べさせなければ。万一身体を壊させてしまえば、家を離れて暮らしている両親に申し訳が立たない。
うっかりそう考えた途端、感じずとも良いプレッシャーを無意識に感じて、あやめは元々悪い顔色をますます悪くする。
(僕がしっかり、しなくては……)
頭に入っている手順通りに鯖に熱湯をかけ、血合いを丁寧に取り除く。合わせ調味料と水を火にかけ、沸騰するまでに物事に大雑把な姉が鯖の骨を喉に詰まらせぬよう、気になる小骨も抜いておく。
ツナの人参しりしり、オクラと長芋をポン酢で絡めたサラダ。冷蔵庫にタッパ詰めしてあった余り物の肉じゃがは小鉢に移し替え、レンジで温める用にラップをかける。
少しの神経質さを見せながら、黙々と手を動かす。
鯖を煮る隣で豆腐の味噌汁を作っていて、ふと手が止まった。
少し慌てた様子で冷蔵庫を空ける。野菜室の奥を探す。
(……しまった……)
思い出した通り、ほうれん草が萎びかかっている。
味噌汁の鍋をコンロから外してほうれん草を手早く湯がいてあくを抜きながら、どうしようか悩む。サラダにするにもサラダはもうある。
(いいや、味噌汁に入れてしまおう……)
これくらいなら大丈夫、とばかり水に晒したほうれん草を切って味噌汁に突っ込む。味噌汁の鍋を温め直しながら、
(大丈夫……の、筈……)
段々不安になってきた。味が薄いとか言われないだろうか。あく抜きしきれていないとか言われないだろうか。
「帰ったぞー」
悩んでいる内、祖父である
浅葱 甚三郎
の声が廊下に響いた。
「お帰りなさい」
「おお、飯はできてんのか」
台所に入ってくるなり食卓につく祖父の前に、出来上がった料理を運ぶ。
姉がまだ帰ってきていないのが心配ではあるけれど、マイペース過ぎる姉は心配しようがすまいが、そのうち知らぬ間に帰ってきて知らぬ間に自室で本を読んでいるに違いない。
「碁打ち友達のところで盛り上がっちまった」
「そう、ですか……」
「商店街を通って来たが、どこもきらきらと賑やかしいな」
クリスマスですね、と眼を伏せ興味なさそうに呟く孫に、甚三郎は唇を歪める。孫の入れてくれた熱いお茶を啜る。
「クリスマス、ねぇ、よくもまぁ盛り上がるわな」
伊達眼鏡の縁を押し上げ、白髪交じりな灰色髪を掻く。思い出すのはきらきらしい商店街の風景。はしゃぎ回る子供に纏わりつかれるその親、腕を組んで楽しげに笑いさざめく恋人たち。
「何かにつけてはしゃぐ理由が欲しい子供はいいさ。親御さんも子供らの期待に答えてえもんだろ、家族団らんまで否定しやしねえ」
食卓を挟んで座り、無言のまま頷いていたあやめは、けどまぁ、と続く祖父の言葉と声音にますます深く眼を伏せる。
「大人になって、子供もいねえのに、そんなはしゃぐもんかねー」
特になんだ、と甚三郎は偏屈に眉を寄せた。
「恋人同士で過ごす日みたいになってんのか」
返答を求められたと思い、あやめは視線を泳がせる。応えなければ、祖父は不機嫌になるかもしれない。
「そう、……」
「なんつうか単純におもしろいもんだ」
あやめが応えるより先、甚三郎はちらりと首を捻る。
「今時の恋人同士ってのはそうも理由つけにゃ会えんもんかい」
「かも、しれません、ね……」
それらしい理由を見つけなければ会いたい人にも会いに行けず、むしろ見つけたとしても会いに行けないあやめは祖父に気付かれぬように辛い息を吐く。
「しかしそれで僻んでる連中は見苦しいなぁ、男なら堂々してろってんだ、情けねえ」
物静かな孫の様子をいつものことと割り切って、甚三郎は帰路の途に見た恋人たちを羨ましげに妬ましげに見ていた少年たちを喝破する。
言うだけ言って、
「お、冷めちまう」
頂きますと箸を手に取る。
「どうした、食わねえのか」
「いえ、……いただきます」
どうにも冴えない孫が作った夕飯を旺盛な食欲で口に運ぶ。
(どれもまぁまぁ旨いんだよな)
それをわざわざ言ってやりはせず、ただ黙って向かいの席で味噌汁を自信なげに啜る孫をじろりと見遣る。
(家事はするし、眼鏡士としてもまぁまぁでよ)
この際、積極性だのうじうじした性格だのには目をつぶろう。そうして改めて見れば、
(なかなか悪くないんじゃねえのかい)
そう思ってしまえば、考える間もなく口癖のような言葉が口をついた。
「お前もなぁ、いい加減身を固めねえか」
瞼に過るのは、帰途に見た仲睦まじい恋人たち。
男の方を孫に置き換えてみる。悪くない。決して悪くない。それなのに、何だって今日も今日とて孫はこうしてジジイとふたりで食卓を囲んでいるのだろう。
「クリスマスだなんだっつて、会うお嬢さんぐれえいねえのか」
「お嬢さん、ですか……」
お節介じみて言えば、孫は視線を合わせもせずに口ごもった。そういうところがいかにも女々しく見えて、
「だぁからちっとこう、」
思わず声に険が混ざる。
「しゃきっとしやがれってんだ、男なんだからなぁ」
「……すみません……」
ますます塞ぎ込む孫を真っ向から見据え、甚三郎は孫の作った皿を空にする。腹は満ちたが、どうにも物足りない。
「ちぃっとハナさんのとこにでも顔出してくっかなー」
手を合わせるなり、声を荒げたことなどなかったかのような顔で席を立つ。軽い足取りで台所を出て行く祖父の背を見送り、あやめは身体が萎むような息を吐いた。
食事を終え、二人分の食器を片づける。
(さっきは適当にごまかしたけど)
思うのは、先程の祖父の問い。
(恋人……)
興味がないと言えば流石に嘘になる。けれど、自分には関係ないと既に割り切ってもいて、だから祖父が見苦しいと断じた『連中』のようなやっかみや嫉妬もない。
(できる筈がない……)
であるのなら、家族もできるわけがない。
それでもあるいは、いつかは、
(『作って見せねばならない』、……の、だろうか)
そうして無理やり家族を作ってみたとしても、上手くやる自信はない。
カタリ、シンクに置いた食器が割れそうな音を立てて、煩悶の海に溺れそうな己に気付く。
(……手を動かそう)
洗い物に、店の片付け。姉が帰って来たときにすぐ食べられるように食事の盛り付け。やることはたくさんある。
降りしきる冷たい雪を振り払うように、あやめは首を横に振る。
考えても考えても、答えは出ない。むしろ悩みは深くなるばかり。ならば働いていた方が、気が楽だ。
午後八時過ぎに家を出て行った祖父が、午後八時半頃に怒り心頭で鼻息も荒々しく帰宅するなり、台所の戸棚の焼酎一升瓶を食卓に上らせ、
「あんなだから何時まで経っても独り身なんだ」
だの、
「負け犬根性を表に出すんじゃねぇってんだ」
などと言いながらコップ酒をあおるのをあやめが心配して覗いたが最後、
「おう、付き合え」
差し向かいでの飲酒に強引に付き合わせられてしまうのは、また別のお話。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
49人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年02月06日
参加申し込みの期限
2016年02月13日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年02月13日 11時00分
参加キャラクター一覧
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