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【クリスマス】メリークリスマス、旧市街
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木造駅舎の改札付近で少年の賑やかな声がしている。
駅前ロータリーを飾る、手作りの温もり溢れるイルミネーションの光を栗色の髪に縁どられた横顔に浴びながら、
塔尾 松生
はひょいと駅の入り口から改札口を覗き込んだ。
黒板と白墨のどこか懐かしい伝言板の前には、月光の蒼した髪の少年と、朝陽の銀色した髪の少年と、夕陽の紅色した髪の少年が楽しそうに話し合っている。
(なんだっけ)
青に白に赤、三色並んだ色にふと思う。
(トリコロール)
浮かんだ言葉に眠たげな黒い瞳を僅かに細めて、けれどその笑みはすぐに沈んだ。笑みにとってかわって、憂鬱な溜息。
(クリスマスっていっても、特に何があるわけじゃないし)
暇を持て余したまま、イルミネーションを見に寝子島駅まで足を運んだ。クリスマス市まで開催されていることは知らなかったものの、美味しそうな匂いにほんの少し心が浮きたったものの、退屈は退屈のまま。だってクリスマスイブとは言え、何もない。誰と会う予定もない。
「……あ」
何の予定もないクリスマスに不貞腐れていた黒い瞳が、不意に大きく見開く。
改札をくぐり、伝言板前の少年たちの脇をすり抜け、柔らかな金の髪の青年がコートの裾を揺らして大股に歩いてきている。
金色の睫毛の影が深い森の色した瞳と白い頬に落ちる。駅舎の出入り口から流れ入る雪片まじりの風の冷たさにか、柔和な印象の細い眉をちらりと顰め、青年はコートの襟を僅かに立てた。白い息を優しげな唇から零し、クリスマスに賑わう駅前に視線を巡らせる。
「日向、さん」
こんなところで偶然出会えるとは思っていなかった。青年の名を小さく口にした途端、青年が巡らせた視線と視線が合った。
「おや」
金色の睫毛が驚いたように上下する。
「日向さんも来てたんですね」
出会えた驚きも嬉しさも隠さずに近づいてくる少女を前に立ち止まり、
日向 透
は少女に気取られぬよう嘆息する。
(こういう偶然もあるんですね)
出来れば、彼女には出会いたくなかった。
それでも、会ってしまえば無視も出来ない。
「こんばんは」
「こんばんは、日向さん」
親し気に近づいてくる松生に挨拶をしながら、透は小さく半歩さがる。
「貴方も露店を見に?」
にこにこと頷く松生からそっと視線を逸らす。彼女から真っ直ぐに向けられる好意は、ひどく居心地が悪かった。
「あの……」
こちらを見上げたまま、松生が口ごもる。
「もしよかったら、その……」
見上げて来る少女の瞳から逃れたくて、僅かに目を伏せる。少女の言いたいことは容易に想像がつく。
「……宜しかったらご一緒します?」
言った途端に彼女は大きく頷いた。
「じゃあ、行きましょう」
内心に吐いたはずが、白い息が雪の夜に零れた。夜に落ちる己の息に思わず唇を掌で抑える。気付かれただろうかと横目に窺うも、傍らに並ぶ彼女はふわふわとした表情でクリスマス市の温かな光を楽しげに眺めるばかり。
(誘ってもらえた!)
憧れの人が隣にいる。
少しでも長く一緒にいたかった。想いばかりが募って上手く伝えられなくて、だからこそ誘ってもらえたことが凄く嬉しかった。
ふたりで、並んで歩く。
それもクリスマスイブの夜に。
ついさっきまでの退屈な気持ちは、イルミネーションに触れた雪のように跡形もなく消え失せている。
「やはりクリスマス関係のものが多いですね」
「クリスマスの雑貨って、キラキラしてて素敵ですよね」
駅前ロータリーに今日明日を限りに設置された露店を見、透と松生はほとんど同時に口にする。松生が微笑み、透が唇だけを笑ませて睫毛を伏せる。
「折角だから何か買おう」
透は小さく呟く。それを言い訳に、己の半分の歳の少女がはにかみつつ向けて来る眩しげな眼差しからそっと視線を逸らす。露店を見遣る。
(どうせなら食べ物が良いな)
少女の眼差しになど気付かぬ風を装い、露天の台に並ぶ飴細工に視線を奪われた振りをする。クリスマス市に紛れ込んでいるのならば、やはりクリスマス関係の食べ物を買うのが常套というものだろうか。
飴細工を楽しげな瞳で眺める透の横顔を盗み見つつ、松生はその隣の露店を色鮮やかに飾るリースやツリーを眺める。瑞々しい緑の輪を彩る深紅のリボン、金色のオーナメント、小さなサンタとトナカイ。LED電球の仕込まれた硝子製のツリーは眺めているうちに透明な青から赤に、赤から橙に、次々と色を変えて光る。陶器の天使が顔覗かせる錫の蝋燭立ては、まるで昔見た絵本の中から飛び出してきたかのよう。
(綺麗)
見ているだけでわくわくしてきて、わくわくするままに傍らを見仰げば、ずっと一緒にいたいと思ってしまう人が隣に立っていてくれる。
それがとても嬉しくて、
(今はまだ言葉も気持ちも伝えられないけれど)
せめて、嬉しい気持ちだけでも伝えたかった。
どうすれば伝わるだろうと視線迷わせて、
(あ……)
露店の並びの端、緋色の天幕を掲げた店に並ぶたくさんの天使。
(可愛い)
小さな翼と小さな鈴を持つ天使のかたちしたジンジャークッキーを見かけ、思わず手に取ってしまった。案外甘党な面持つ彼は、喜んでくれるだろうか。
(これくらいなら、いいよね)
倍も年上の青年に嬉しい気持ちを伝えるため、クリスマスプレゼントを渡したかった。
重荷にならないように、迷惑にならないように、気軽な感じでそっと、
「日向さん」
そっと、プレゼントを差し出す。
「あの、良かったら……どうぞ」
瞳に捉えた小さな包みと小さな掌に、透は目を瞠る。瞬きを繰り返す。そうしても、差し出されたプレゼントは消えない。あなたにあげるものなんてないと差し出された手が引っ込んだりもしない。
「俺にプレゼントですか」
驚きを隠せず呟くように確認すれば、傍らに立った少女は何故だか嬉しそうに頷いた。どうぞと伸ばされた指が今にも引っ込むのではないかと心の隅に思う。そんなはずはないと思いながら、おそるおそる、プレゼントを受け取る。
「有難うございます」
少女が己のために選んでくれた小さな天使のかたちしたクッキーを手に礼を言いつつ、考える。
(貰ったならば返さなければいけないな)
貰った己よりも嬉しそうに頬を上気させる少女を不思議に眺め、彼女に贈るものを探してロータリーに並ぶクリスマス雑貨の露店を見遣る。
「ちょっと待っててください」
その場に彼女を待たせ、彼女から貰ったプレゼントを片手に露天を歩く。
振り返る。賑わう雑踏にじっと立つ松生を、もう一度見る。
ふわりと柔らかそうな栗色の髪、触れれば折れてしまいそうな華奢なうなじ。いつも眠たそうにも見える黒い瞳は、クリスマスイルミネーションの光を受けているせいか、きらきらと煌いて見える。
十六歳の少女に、何を贈ればいいだろう。
(華奢なネックレスなんていいな)
路面に柊とベル模様の赤い敷物を敷いたアクセサリー屋の前に腰を屈める。ルビー色の小さな石と銀の葉をペンダントトップにした華奢なネックレスを見つけ、買う。彼女に贈るものを見つけられたことに安堵して、安堵する己に戸惑う。
彼女のもとへと戻る道中も、己の行動がどうにも落ち着かなかった。
「お礼です」
赤い実を飾った小さな紙袋を手渡せば、少女は目を丸くした後、飛び上がりそうに喜んでくれた。寒さを吹き飛ばすほどに頬を赤らめて笑ってくれる松生に、透は再び安堵する。それと同時にどうしようもなくいたたまれなくなる。
「行きますか」
少女に背を向け、クリスマス市の外れへ歩き始める。出来ることなら、すぐにでも別れて帰宅してしまいたかった。
「わぁ……!」
伏せた瞳を、松生の歓声に重く持ち上げる。
そうして見たのは、ロータリーの出口を色鮮やかに飾る手作りのイルミネーション。
「綺麗、ですね」
雪降る夜に輝くイルミネーションは、まるで別世界に立っているような気持ちにさせてくれた。
「夢を見ている気がします」
(日向さんが、隣に居るから)
はしゃいで話しかけると、透は深緑の瞳をイルミネーションに向けたまま小さく頷いてくれた。足を止めて傍らに立ってくれた。
「……あたし、きっと、今日の事ずっと忘れない気がします」
ささやかに優しく、様々の光を煌かせるイルミネーションを眺めて零す透の横顔を見つめ、松生はクリスマスイブの幸運を思う。
(サンタさん、ありがとう)
「大袈裟ですよ」
頬を歪めて苦笑いする透を、松生は真っ直ぐに見上げる。
「あの……お返し、ありがとうございます。大事にしますね!」
「……ああ、……」
己の贈ったプレゼントを胸に抱いて花のように笑う少女を見下ろす。いらなければ処分してください、そう言いかけて、やめる。
言ってしまえば、少女は悲しい顔をするだろうか。
それは普段の己ならば、望むところではあるのだろうけれど。
「こちらこそ、有難うございます」
人の醜さを見ることを好む歪んだ己の素を隠し、透は柔らかく微笑む。
そんな気分でないのは、らしくない行動をしてしまったのは、きっと今日がクリスマスイブだからだ。
「綺麗ですね」
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担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
49人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年02月06日
参加申し込みの期限
2016年02月13日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年02月13日 11時00分
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