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【クリスマス】メリークリスマス、旧市街
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耳の上でふたつに結い上げた栗色の髪が揺れる。山羊の頭持つナニカに背後から両腕を押さえつけられ、華奢な肩が震える。
「やめろ、あおいさんに触れるな!」
どれだけ喚いて檻の中から手を伸ばしても、手は届かない。届かない腕を、
鴻上 彰尋
はそれでも懸命に伸ばす。
異形のものに押さえつけられて尚、
七夜 あおい
の海色した瞳は強い意志を失わない。頭に降る雪を首を振って払い、目前に立つ黒いフードを目深に被り、黒い髭を生やした男を睨み上げる。
黒い男が笑う。伸びて汚れた爪の指先で、あおいの白い額に触れる。
「あおいさん!」
氷のような檻を掴んで揺する。鉄のささくれに指を傷つけられても叫ぶ。
黒い男の指先にチカリと白い光が瞬いて、あおいの身体から力が抜ける。意識を奪われるその直前、海色の瞳が己を見て微笑んだ気がして、彰尋は唇を噛んだ。
力失くした少女の腕を引きずる山羊男を従え、黒い男が檻の前に立つ。黒いマントの中から檻の鍵を取り出し、鍵を開く。耳障りな声で笑う黒い男の脇から、山羊男があおいの身体を檻の中に投げ込む。
「ッ!」
あおいの身が地面に落ちるよりも早く受け止め、彰尋は黒い男を睨み据えようとして、
(うかつに動くのはまずい)
思い直す。気弱に瞬き、怯える様子を装う。舞台役者をしていた祖父の影響を受けて、演技には興味がある。興味がある分だけの演技はできる、はず。
あおいに続けて、別の山羊男が血まみれになった小さな少年を檻に投げ込む。藁の山の上に落ちた少年が小さく呻き、めそめそと泣き出して、彰尋はとりあえずは安堵する。生きている。怪我も、していない。
(かといって小さな子達が忘れられない思い出を作ってしまうのはまずい)
黒い男が片手に持つ角灯の炎から眼を逸らす。面白がるように角灯を近づけて来る黒い男から、炎から逃れるように小さな悲鳴を上げて後退る。
黒い男が嬌声に近い笑い声をあげる。吹雪く檻の外をうろつく山羊男に命じ、檻の前に幾つもの焚火を作り上げる。檻の格子にも松明を結わえ付ける。
(……よし)
炎に怯える演技を続けながら、彰尋は檻の中に素早く視線を巡らせる。檻の中、蹲って泣く何人もの子供たちは、自身と同じに寝ている間に連れ去られて来たのだろう、寝間着の子が多い。申し訳程度に汚れた毛布や藁が放り込まれているものの、炎があれば少しは暖をとることが出来る。
それに、灯りがつけば誰か助けに来る人達の目印になるかもしれない。
(これだけの子どもがさらわれてるんだ)
助けは、きっと来る。
(俺にはこの檻を壊すような力はないし)
腕の中、今は気絶している少女の蒼白い瞼を見下ろす。彼女が己の身を危険にさらしてまで逃がそうとしたのは、囚われた子どもたちに違いない。
(せめてみんなに悪い思い出が残らないようにしないと)
再度心に誓いつつ、深く寝入っているように見えるあおいを出来るだけ焚火に近い藁の山に寝かせる。毛布を掛け、少しでも凍えぬようにする。
(あいつらはここに来ていない)
一緒に寝ていた弟妹の姿はここにはない。不幸中の幸いに安堵する。
早く寝かしつけようと一緒に転がっている間に眠ってしまい、気が付けばここに居た。
(本当は)
弟妹が眠ったところを見計らって、彼らの枕元にクリスマスプレゼントを置くつもりだった。それなのに、目が覚めた途端に見たのが、脱出を図ったらしいあおいが檻の外で今しも眠らされるその場面。
(黒いサンタ……)
クリスマスの夜、悪い子におしおきをするという外国のおとぎ話を記憶に探り当てる。とはいえ、ここに集められ、家に帰りたいと泣く子どもたちは、どの子もどう見ても悪い子には思えない。
自分自身も『悪い子』認定されたのかと思うことにややショックを受けつつ、それはさておいて、彰尋は状況把握に努める。
「ドイツのクネヒト・ループレヒト……?」
檻の端で格子にしがみついて外を見つめていた、見たことのない制服を纏った少女が白い息とともに零す。
名を当てられた黒い男がぎょっとしたように肩を震わせ、とってつけたように喉で笑う。黒サンタに角灯の光に照らし出されても、少女は琥珀色した瞳を揺らがせもしなかった。
怯え見せぬ少女に興味をなくし、黒サンタは黒衣を雪に引きずって檻の周りを巡回し始める。すすり泣く子どもたちをお供の山羊男と共に順繰りに脅かして回る。
「おそらくまた神魂とやらの影響だろう」
黒サンタの監視の目を縫い、話しかけて来る黒髪の少年に、少女は小さく頷き返す。
(見たことのある顔だな)
無邪気な少女の姿の内側で、二十一歳の学生小説家である
山野 無花果
は顔を知る少年を冷静に観察する。
執筆が思うように進まず、挙句ろっこんの力で自著のヒロインの姿になってしまったことを口実に自宅を抜け出し、参道商店街に向かった。賑わう街を歩く恋人たちの様子を観察すればもしかすると思考の縺れを解す切欠も見つかるかもしれないと思っていたものの、商店街の入り口で思い当たった。
女子中学生であるヒロインの姿では、そう遅くまでは出歩けない。
そう思い立ち止まったところで、記憶が途切れている。
(……なんだこれは?)
顔を知る少年が言っていたように神魂の影響ではあろうが、
(黒サンタにしては物騒すぎる)
ぐるりを見渡す。
不可思議な力で眠らされた少女や、檻のあちこちにうずくまって泣く子どもたちに怪我はなさそうだ。藁山の上にへたりこみ、放心して涙零す少年も、傷を負ってはいない。
(幼子が泣いているのも座りが悪い)
血まみれで泣く少年の傍に近づく。元の姿であれば威圧感を与えて余計に泣かせてしまうだろうが、今は幸いにして可愛い少女の姿。現状の見目を活かすことに躊躇いはない。
「大丈夫、きっと王子様が助けに来てくれるわ」
こういう状況でヒロインが言いそうな言葉を選択し、実際に優しく口にしながら、
(こういう時にあの王子様な後輩が居れば便利なんだが)
心の中に思うのは、『便利な後輩』のこと。とはいえ今日はクリスマスイブ。クリスマスに全く興味はないが、あの顔も性格もいい後輩は、
(流石に今日は逢引と洒落込んでいるんだろう)
「大丈夫だよ」
怯えたような足取りで近づいてきた彰尋が、黒サンタの視線が届かぬ顔の角度で朗らかに笑う。
(役者だな、少年)
慣れた手つきで子どもを抱きかかえ、小さな声で穏やかなおとぎ話を囁き始める彰尋を眺め、無花果は少女の姿で淡く微笑んだ。
「せやで、大丈夫や」
藁山の影で呆然としていたらしい金髪碧眼の少女が血まみれの少年をぎゅっと抱きしめる。
「怪我してへん? してへんな。よ、よかった……」
自分の服が汚れるのも構わず、少年の顔についた血を少年の涙ごとごしごしと拭う。汚れちゃうよ、と小さく囁く少年の頭を優しい掌で撫でる。
「ウチの服なんかいくらでも汚れてもええねん、子供助けるのが先決や」
こどもの髪から掌に移った血を自分の服で拭い、強い声で言い放つ。
「お姉ちゃんがなんとかするからな」
(こ、ここなんや!?)
こどもを力強く抱きしめる胸の内で、
マリベル・ロイス
は上ずった悲鳴をあげる。確か寮で早い時間にベッドに入ったはずなのに、
――クリスマスまでに彼氏できへんかったわー
そんな風に思いつつ不貞寝してたはずなのに、どうしてこんな檻の中で悪夢のようなナニカに囲まれているのだろう。
(そらまあ、サンタさんから素敵なプレゼント貰うような年でもあらへんけどなあ)
己の胸の中、安堵のあまり泣き出す子どもの小さな背中を擦り、マリベルは檻の中を見回す。檻の外から黒サンタや魔物に脅かされてすすり泣く子どもたち、檻のあちこちに倒れ伏して眠る人々、凍える檻の端、火の当たる比較的暖かそうな場所で藁と毛布に包まれて気絶している少女、
(七夜あおいさんかな?)
見覚えのある同い年の少女を見つめながら、
(恐いビデオでもみたんかな)
ろっこんも神魂も全く知らぬマリベルは、現状を悪い夢だと判断する。
「なんやこの夢、ほんまもう縁起わるいわー!」
夢だと思うがゆえに、不機嫌に眉を寄せる。魔物たちに檻に閉じ込められた状況にあって、引きつり気味の笑顔で大袈裟に言い放ってみたりもする。
「だよな、とんだ悪夢だぜ!」
檻の外をうろつく変な爺と二足歩行の山羊を眺め、十数人は入る巨大な檻の中央に胡坐をかいていた黒縁眼鏡の少年が、お調子者じみた笑顔を浮かべマリベルに同意する。
「まあ夢だから怖くねーけど」
「せやね、怖いない、怖いないでー」
「大丈夫だって、こーいう時はヒーローが助けにきてくれるもんさ」
癖毛を揺らし、周りの子どもたちをおちゃらけた仕草で励ましながら、
(くっそー)
泣いている子どもたちに屈託なく笑いかけながら、
鈴木 弥次郎
は檻の外を巡る黒サンタと山羊男を見遣る。檻の中にも容赦なく吹き込む冷たい雪に唇を尖らせる。
明日は雪が積もると天気予報で言っていた。雪の降らない地から親の転勤で寝子島に移って来たため、積雪をそれはもう楽しみにしていた。わくわくしながら寝たのに、目覚めてみれば銀世界は銀世界でも檻の中。笑えない。
(こんちくしょう)
日中は動物園で大好きな動物にりんごのプレゼントをやれたのに。だから夜も楽しくて良い夢が見れると思っていたのに。
「早く目が覚めねーかなぁ!」
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阿瀬春
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
49人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年02月06日
参加申し込みの期限
2016年02月13日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年02月13日 11時00分
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