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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
「ＮＯ」と言える勇気を持とう
◆お待たせしました！いよいよセミナー当日です！
星ヶ丘のホテル「ステッラ・デッラ・コリーナ」は、いつにない人であふれ返っていた。
ここは高級リゾートホテルである。間違っても市民の憩いの場などではない。いくら今日がぽかぽかした天気のいい日曜日とはいえ、そんなほのぼのした理由で混みあうような場所ではないはずだ。
それなのに。
（それなのに……！）
人が増えれば増えるほど、弘明寺 能美子のイライラは高まっていく。
暇だからとステッラでランチをとろうとしたのが間違いだったようだ。普段ならば落ち着いた高級感を感じさせるホテルのエントランスは、お世辞にもセレブとは言えないような面々がわらわらと集まっている。
「あらやだあなたも来てたのー？」「今日のお話も楽しみだわー」とわいわい集まって話をするオバチャンたちの庶民くさい態度に、弘明寺は軽くため息を着く。これではせっかくの「ステッラ感」が台無しだ。
「一体何の集団だっていうのよ」
とりあえずイライラを引っ込めると、改めて集団を見渡してみる。その面々はほとんどが中年のオバチャンにオッサンだったが、中にはちらほらと若い学生のような顔もあった。
「ってあれ、うちの高校の生徒じゃない」
その面々の中に見慣れた制服を見つけた。ただ事ではないホテルの喧騒っぷりに、事情を聴こうと彼女はずんずん歩いていく。
「ちょっとあなた」
「えっ、あ、はい」
話しかけられて振り返ったのは、なんだか冴えない印象の男子生徒だった。
せっかくやって来た高級ホテルだというのに、この人の多さ！
開催場所に惹かれて参加した時輪 未来廻は、高級感も贅沢感もまるごとかき消してしまうような人込みにうんざりしていた。
セミナー参加者とおぼしき面々をざっと見回してみたけれど、失礼な話「キレイになるお水」の効果があるとは思えない方々ばっかりである。やっぱりインチキだったのね、と内心で少しガッカリする。うさんくさいとは思っていたけれど、そこはやっぱり乙女心。「キレイになる」だなんて謳い文句が気にならない訳がない。
「こうなったら、セミナー始まるまでいろいろ見て回ろうっと」
時輪は集団から離れると、エントランスホールを抜けてぶらぶらとホテルの中を歩き出した。
さすが高級ホテル。ガラスの向こうに広がる海の眺めは最高だし、すれ違うホテルマンはまるで執事のように恭しく一礼してくれる。一歩進むたびに胸の中にあふれるラグジュアリー感を満喫していた時輪は、ふととある部屋の扉が薄く開いているのが目に留まった。エントランスにほど近いところにあるため、客室ではないだろう。セミナーホールも近いし、何かの控室？
ここはやっぱり興味本位。これだけのホテルなんだからちょっとした部屋も豪華に違いない。
覗き見るだけのつもりでそーっとドアを押し開けると、中には誰もいないようだった。
「すみませーん」
ワンテンポ遅れて、来客を装って声をかけてみるが、返事はない。
（あ、ラッキー。誰もいないじゃん）
そのまま薄く押し開けた扉の隙間からするりと部屋に入る。
そこは時輪の予想通り、控室のようだった。恐らくセミナーホール利用者向けの控室だろう。そのことを示すように、机の上にはいくつか見慣れた水のペットボトルが転がっている。
時輪は恐る恐る近寄ると、そのペットボトルを拾い上げた。
うん、やっぱりあの水だ。
てことは、ここにはアヤしい教団のヤバい機密情報がいっぱい？ 時輪の好奇心が一気に高ぶったとき、ふいに扉の向こうから気配を感じた。
あ、ヤバい、と思った次の瞬間、
「今日もいっぱい集まってるなー」
「やっぱ教祖サマのお水は偉大だね」
がちゃりと音を立てて扉が開いた。
ふーん、と、近藤からおおよその事情を聴いた弘明寺は、納得したような呆れたような声を漏らした。
「で、あんたはどうしたいわけ？」
一通り話を聞き終えた弘明寺がずい、と近藤に顔を近づけて問いかける。
え、どうって……。近藤は困ったような顔をして口ごもる。それっきり言葉を続けないようだったので、弘明寺は追い打ちをかけるように口を開いた。
「その場を適当にやり過ごしたいとか自分の保身のためなら私はアンタを会場に放り込んで帰る」
それとも、と言葉を切って弘明寺は近藤から顔を離した。
男のくせに情けない顔をして、それでもこの異質な場から彼が立ち去らないのには確固とした理由があるからだろう。
その理由が何なのかは、もはや言うまでもない。
「…助けたいの？ミチコて子。心の底から、真剣に」
弘明寺は静かに問いかける。
ややあって、近藤は意を決した表情でうなずいた。
どうやらようやく腹をくくったようだ。
星ヶ丘のホテル「ステッラ・デッラ・コリーナ」は、いつにない人であふれ返っていた。
ここは高級リゾートホテルである。間違っても市民の憩いの場などではない。いくら今日がぽかぽかした天気のいい日曜日とはいえ、そんなほのぼのした理由で混みあうような場所ではないはずだ。
それなのに。
（それなのに……！）
人が増えれば増えるほど、弘明寺 能美子のイライラは高まっていく。
暇だからとステッラでランチをとろうとしたのが間違いだったようだ。普段ならば落ち着いた高級感を感じさせるホテルのエントランスは、お世辞にもセレブとは言えないような面々がわらわらと集まっている。
「あらやだあなたも来てたのー？」「今日のお話も楽しみだわー」とわいわい集まって話をするオバチャンたちの庶民くさい態度に、弘明寺は軽くため息を着く。これではせっかくの「ステッラ感」が台無しだ。
「一体何の集団だっていうのよ」
とりあえずイライラを引っ込めると、改めて集団を見渡してみる。その面々はほとんどが中年のオバチャンにオッサンだったが、中にはちらほらと若い学生のような顔もあった。
「ってあれ、うちの高校の生徒じゃない」
その面々の中に見慣れた制服を見つけた。ただ事ではないホテルの喧騒っぷりに、事情を聴こうと彼女はずんずん歩いていく。
「ちょっとあなた」
「えっ、あ、はい」
話しかけられて振り返ったのは、なんだか冴えない印象の男子生徒だった。
せっかくやって来た高級ホテルだというのに、この人の多さ！
開催場所に惹かれて参加した時輪 未来廻は、高級感も贅沢感もまるごとかき消してしまうような人込みにうんざりしていた。
セミナー参加者とおぼしき面々をざっと見回してみたけれど、失礼な話「キレイになるお水」の効果があるとは思えない方々ばっかりである。やっぱりインチキだったのね、と内心で少しガッカリする。うさんくさいとは思っていたけれど、そこはやっぱり乙女心。「キレイになる」だなんて謳い文句が気にならない訳がない。
「こうなったら、セミナー始まるまでいろいろ見て回ろうっと」
時輪は集団から離れると、エントランスホールを抜けてぶらぶらとホテルの中を歩き出した。
さすが高級ホテル。ガラスの向こうに広がる海の眺めは最高だし、すれ違うホテルマンはまるで執事のように恭しく一礼してくれる。一歩進むたびに胸の中にあふれるラグジュアリー感を満喫していた時輪は、ふととある部屋の扉が薄く開いているのが目に留まった。エントランスにほど近いところにあるため、客室ではないだろう。セミナーホールも近いし、何かの控室？
ここはやっぱり興味本位。これだけのホテルなんだからちょっとした部屋も豪華に違いない。
覗き見るだけのつもりでそーっとドアを押し開けると、中には誰もいないようだった。
「すみませーん」
ワンテンポ遅れて、来客を装って声をかけてみるが、返事はない。
（あ、ラッキー。誰もいないじゃん）
そのまま薄く押し開けた扉の隙間からするりと部屋に入る。
そこは時輪の予想通り、控室のようだった。恐らくセミナーホール利用者向けの控室だろう。そのことを示すように、机の上にはいくつか見慣れた水のペットボトルが転がっている。
時輪は恐る恐る近寄ると、そのペットボトルを拾い上げた。
うん、やっぱりあの水だ。
てことは、ここにはアヤしい教団のヤバい機密情報がいっぱい？ 時輪の好奇心が一気に高ぶったとき、ふいに扉の向こうから気配を感じた。
あ、ヤバい、と思った次の瞬間、
「今日もいっぱい集まってるなー」
「やっぱ教祖サマのお水は偉大だね」
がちゃりと音を立てて扉が開いた。
ふーん、と、近藤からおおよその事情を聴いた弘明寺は、納得したような呆れたような声を漏らした。
「で、あんたはどうしたいわけ？」
一通り話を聞き終えた弘明寺がずい、と近藤に顔を近づけて問いかける。
え、どうって……。近藤は困ったような顔をして口ごもる。それっきり言葉を続けないようだったので、弘明寺は追い打ちをかけるように口を開いた。
「その場を適当にやり過ごしたいとか自分の保身のためなら私はアンタを会場に放り込んで帰る」
それとも、と言葉を切って弘明寺は近藤から顔を離した。
男のくせに情けない顔をして、それでもこの異質な場から彼が立ち去らないのには確固とした理由があるからだろう。
その理由が何なのかは、もはや言うまでもない。
「…助けたいの？ミチコて子。心の底から、真剣に」
弘明寺は静かに問いかける。
ややあって、近藤は意を決した表情でうなずいた。
どうやらようやく腹をくくったようだ。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2013年04月16日
- 参加申し込みの期限
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- 2013年04月23日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2013年04月23日 11時00分
