怪人セブンの選択｜リアクション

怪人セブンの選択

　樽木は舌打ちをする。
　先程から冴木に電話をかけても出てくれないからだ。
「冴木先輩、なんで気が付いてくれないんだよ！！」
　樽木は風呂裏のボイラー室で、メサイアの団員Ａと遭遇してしまったのだ。
「まさか見つかっちまうとは！」
　逃走を図るＡだが、樽木と先程から睨み合いを続けて動けない。
「予言で言っていた魚ってお前か？」
「……なんのことだ！？」
　サンマスーツのＡは痺れを切らして樽木にタックル！
　強行突破を図る！
「おっと、逃がさねぇ！」
　樽木は組み付いてＡを離さない！
「その手に握っている装置を離せ！　そいつは爆弾だ！」
「何言ってるんだ、これはただのゴキブリ駆除用の燻煙薬だ！」
「お前らは色欲に騙されてるんだ！　俺たちはあいつが黒幕だって突き止めた！　このままだとお前らが設置した装置で船が沈むかもしれねぇんだ！」
「もうちょっとマシな嘘を付け、小僧！」
　Ａが樽木を突き飛ばし、そのまま猛ダッシュ！
「あっ！　待てこらっ！」
　樽木は素早く起き上がって後を追う。
　だがＡはさらに逃走速度を上げていく！
「誰が待つか！　逃げるが勝ちだ！」
「確かにな？　逃げられたら、の話だけどな！」
　浴場に飛び出したＡを、褌姿の冴木がスライディングタックル！
「アバー！？」
　Ａは転倒して顔面強打！
　サンマスーツでは立ち上がれない！
「メサイアめ、捕まえたぜ！」
　Ａに馬乗りになった冴木はキャメルクラッチでフィニッシュホールド。
　見事に取り押さえることに成功した！
　しかし……。
「冴木先輩、なんで脱いでるんっすか……？」
　褌姿の冴木に樽木は溜息。
「いや、これは、サウナが暑くてな！？　それよりお手柄だな！　ひとりでメサイア団員を追い詰めるだなんてな！」
「いや、俺、何度も先輩に連絡してたんすよ？　でも、助かったっす。逃げられたら大変でしたからね」
「お、おう、すまなかった、樽木……」
　冴木と樽木は苦笑いしながらお互いの健闘を讃え合った。
　その時、女湯から悲鳴が轟いた！