怪人セブンの選択｜リアクション

怪人セブンの選択

　機関室では既に内部の検分が終わっていた。
　結果は爆発物と思しき物体が５つも発見された。
「こんなに仕掛けられてるとはな……」
　如月が剣呑な表情で周囲を警戒する。
「風呂場に１人居たとなると、まだここにもいそうだしな」
「油断はできねぇぜ……？」
　合流した樽木も注意深く辺りを見渡す。
「監視カメラ……、壊されてますねー。千トン超の船は機関室等は常に有人のはず。監視カメラも海なら電波も陸が見えてれば届きますので、証拠隠滅でしょうかー？」
　先行して機関室内を探索していた屋敷野が蝶から人に戻って報告する。
「カメラの正確な位置を知っているのは関係者だけです。日登美が教えて壊すように指示をしたのでしょう」
　泉月花が下唇を噛んだ。
「計画的な犯行だな。本当に船を沈める気だったのか？」
　八神は違和感を覚えていた。
　目的が不明瞭だからだ。
「とにかく爆発物は八神さんが全部ろっこんで『分解』したので、計画は阻止できたと言えるでしょう」
　常闇は相変わらず表情が硬いが、その瞳の奥に安堵の色が見え隠れしていた。
「つまり、これで事件解決ってことかしら？　動機と真犯人確保はまだだけど、Q.E.D.と言っていいわよね」
　また難事件を解決してしまった、と自己陶酔するブリジットに、小山内が彼女の袖口を引っ張る。
『だれかいる』
　小山内は入り組んだ配管の向こう側を指差す。
　一同が視線を移すと、銀色にとんがったナニカが一瞬にして引っ込んだ。
「メサイアだ！　あれはサンマさんのきぐるみだよ！　寝子島民なめるなー！」
　桜庭が配管を乗り越えて後を追う！
「いや、泉月花以外は全員寝子島民だろうが！」
　如月は律儀にツッコミを入れたあと、右手で額の傷を２回なぞった。
　するとろっこん『青にして蒼穹』の進化能力が発動！
　身体能力が上がり、短距離ランナーめいた速度で猛然と突っ走っていく。
　サンマさん着ぐるみの男は逃げられないことを悟ったのか、振り返ると魚雷のように突進してきた！
「わわっ！　危ない！」
　桜庭と衝突しそうになったサンマ男。
　しかし桜庭のろっこんの効果なのか、サンマ男は足首をグネらせてよろけた！
　突進の勢いがなくなったサンマ男を桜庭は難なく身を翻して回避。
　ふらつくサンマ男の目の前に、光の軌跡が通過していく。
　次の瞬間！
「話は起きてから聞いてやる……」
　身体能力が強化された如月が落ちていたスパナを拾い上げぶん投げる！
　スパナは小山内のろっこん『アクセラレイトライン』の軌道に乗って急加速！
　ロケットブースターめいた鉄の棒がサンマ男の鼻っ柱をブチ抜いた！
「アバァーッ！？」
　奇声を上げながらサンマ男……メサイア団員Ｂはコンクリの床の上を３度跳ね回って昇天していった。
「……既に他の班から黒幕の正体やお前たちの目的は聞いている。締まらねぇ……。おかげで俺は言いたいことも言えやしないぜ」
「まったく、こんな世の中は猛毒めいてますねー☆」
　アイドルスマイルの屋敷野に、全員が一斉に視線を逸らすのだった。

【１Ｆ：危険物回収成功！＆メサイア団員ＡとＢを捕縛完了！】