怪人セブンの選択｜リアクション

怪人セブンの選択

　男湯・女湯は、泉月花が手回しして現在、入浴禁止となっているので人気はない。
　男湯の冴木がいきなり脱ぎだしたので、驚いた樽木に叱られて服を着せられていた。
「いやいや、俺たち風呂に浸かりに来たわけじゃないっすから！」
「どいひー！？」
　性欲を叫ばねば冴木のろっこんは発動しない。
　しかし樽木はそれをよしとしない。
　相性は思いのほか悪かったといえよう。
　ろっこんで身体能力を向上し、短時間で探索を済ませようと考えていた冴木の思惑は外れることとなる。
「冴木先輩、風呂裏って怪しくねぇすかね？」
　風呂裏、つまりボイラーがある場所のことだ。
「一応俺、裏のほう見てくるんで先輩そっち任せていいっすか？」
「おう、任せろ！　俺はサウナ室見てくるぜ！」
　冴木はサウナ室、樽木は業者入口からボイラー室を探索するため、二手に分かれた。

　冴木は蒸し暑いサウナ室に、結局、服を脱いで捜索することにした。
「ダメだ、暑い！　流石にひとりの時は脱がせてもらうぜ！」
　サウナ室は１分ほどいるだけで汗だくになる室温だ。
　衣服を着たまま入れば、たちまち熱中症になりかねない。
　もともと脱ぐつもりだった冴木、これで予定通りろっこんも使える。
「つくしちゃん、大好きだァァァ！」
　サウナの中心でロリータ愛を叫ぶ変態。
　彼にとっては平常運転なので、そっと見守ってあげよう。
　さて、身体能力が向上した冴木は、赤と青のスーツを来た蜘蛛男めいて壁に張り付いたり天井の裏を覗いたりと縦横無尽に調査。
　しかし、これらは全て空振りに終わってしまった。
「サウナ、異常なし！　ふぅ……」
　水風呂で賢者タイムに浸っている冴木は、脱いだ衣服に紛れているスマホの着信ランプが点滅しているのに気が付いていなかった……。