怪人セブンの選択｜リアクション

怪人セブンの選択

　場面は変わって、むいみのいる特等室区画。
　こちらを先程から徹底的に調べているのは尾鎌そのひとである。
「メイドちゃん達がキッチリ守ってるでしょうけど、白を黒と明確にする意味で、ね？」
「「当然です。ここは絶対安全なのです」」
　園崎姉妹は不服そうに反論した。
「分かってるわよ、優秀な二人がいれば、むいみちゃんも安心よね？」
「そうだね……。安心して、寝ていられるよ？」
　鉱石で覆われた体を満足に動かせないむいみは、僅かに動く顔を園崎姉妹に向けると口元を綻ばせた。
「……さて、大丈夫みたいだし、アタシはそろそろ行くわ。むいみちゃんをよろしくね？」
　尾鎌は特等室を後にすると、一旦情報を整理するためラウンジへ戻るのだった。
　だがその途中、同じ３Ｆを捜索する犬神花梨と天動記士郎と偶然出くわす。
「ぎゃはは！　尾鎌じゃねーか！　やっぱりタッパがあると目立つなオイ！」
「あら花梨ちゃんじゃない？　そっちの方は、えっと……？」
「天動商店の店主、天動記士郎です。この船に爆発物がある可能性があるとお聞きしまして、犬神さんと一緒にこのフロア内を調べていたところです」
　尾鎌に軽く会釈をしたあと、協力している理由を天動は答えた。
　それに尾鎌は安堵の表情を浮かべて　微笑んだ。
「よかったわ、アタシひとりで調べてもラチがあかないと思っていたところよ。それで？　これからどこへ？」
「カジノを調べてみるつもりだぜ？　って、尾鎌は未成年だけど入れっかな？」
　犬神は少しだけ思考を巡らせたあと、ぱっと破顔させて大声を出した。
「ま、いっか！　ギャハハハ！　おい、尾鎌ァ？　歳聞かれたら二十歳って答えろよ？　その図体なら未成年に見られる方が希かもだけどよ？　ギャハハハ！」
「もう！　アタシが老けてるって言いたいの？　花梨ちゃんったら失礼しちゃうわね」
　反論する尾鎌。
　だが、天動がこれに首を横に振った。
「いけませんよ。身分証明書の提示があるようですし、尾鎌さんの突破は無理でしょう」
「うげ、マジかよ。あの赤いクソ女、細かいところはきっちりしすぎなんだよ」
　アテが外れたと言わんばかりに犬神は肩を落とす。
「仕方がないわね。アタシはみさリンの楽屋へ戻るわね」
　こうして尾鎌は再びイベント会場へ戻っていった。