Xmasの奇跡☆　物語の素敵な１日 in 寝子島！｜リアクション

Xmasの奇跡☆　物語の素敵な１日 in 寝子島！

●青い鳥

　さてさて。
　この一連の騒動の発端となった天馬ひびき。冒頭彼女は起き抜けに少年とご対面し、しばし呆然としていた。が、大抵の事にはへこたれない彼女。すぐにニコリと少年に話しかけた。
「おはよう。君は誰かな？」
「僕、チルチル。青い鳥を探してるんだけど、お姉さん、誰？　ミチルが大きくなっちゃったの？」
「私は天馬ひびきっていうの。ミチルちゃんじゃないよ。そっか、はぐれちゃったんだね」
　ひびきはベッドから飛び起きた。昨日読んでいた『青い鳥』。どうやらサンタのポストにお願いした事が現実になってしまったようだ。サンタさん凄い！　と内心感動しながらひびきは手早く着替えを済ませた。
「青い鳥、見つかった？　幸せになれるってホント？」
「ううん、まだ見つからない。妖精の娘さんが幸せになりたいっていう病気で、青い鳥を探してるんだ。この世界に青い鳥はいる？」
　青い鳥。本の中の鳥がはたして寝子島にいるのだろうか。
　それでもひびきはチルチルの目をしっかり見つめて言った。
「きっといるよ！　お姉さんも一緒に探してあげる！」
　きりっ！　ぬいぐるみのはやぶさと一緒にチルチルの前でおどけて敬礼する。不安そうだった少年は笑顔になった。
　ひびきはチルチルと手早く朝食を済ませ、はやぶさも一緒に街に飛び出した。―――私は毎日とっても幸せだから、大丈夫。早く青い鳥を見つけて、チルチルに渡してあげよう！

　ひびきがまず思いついたのが、ペットショップだった。確か色々な種類の鳥がたくさんいた。あそこなら青い鳥もきっといるんじゃないかな？
「どう？　青い鳥は居そう？」
　ペットショップに着き、インコや鸚鵡など、青い色の鳥もちらほら見えるたくさんの鳥かごの前でチルチルに尋ねる。しかしチルチルは首を振った。
「ううん、多分いない。もっともっと青い鳥だよ」
「そっか……」
　ここならと思っていたひびきは少しがっかりする。けれどすぐに気を取り直して言った。
「よし！　じゃあ次を探してみようか！」

　他の島内のペットショップも全て訪ね、動物園にも行ったが見つからない。鳥だから山にいるかもとロープウェイで九夜山展望台まで登ってみたが、やはりそれらしい鳥は見つけられなかった。
　２人は山頂の売店で一休みすることにした。温かいココアが疲れた体にじんと染みる。
「……よし！　元気出たぞ！　まだまだ頑張ろう！」
「お姉さん、どうしてそんなにしてまで一緒に探してくれるの？」
　チルチルがおずおずとひびきに尋ねる。ひびきは少し考え、はやぶさと話し合うと笑顔で答えた。
「はやぶさも私もね、チルチルには元気に幸せになって欲しいんだよ。そうしたら私達も幸せ。だって、幸せは皆で分けたほうが増えるもん！」
　ねー！　とはやぶさと顔を見合わせるひびきに、チルチルは心からのお礼を言った。
　えへへと照れるひびきだが、次をどうしようと考えていた。まだチルチルはちょっと疲れてるみたい。……あ、そうだ！
「足湯に行ってみようか」
「あしゆ？」
「うん！　寝子温泉でやってると思うの。山の中だから、鳥もいるかもしれないし！」
　善は急げと２人は山頂を下りる事にした。