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Xmasの奇跡☆ 物語の素敵な1日 in 寝子島!
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●マッチ売りの少女
寝子島は今、クリスマス一色である。特に、シーサイドタウンはたくさんのクリスマスツリーが飾られ、通る人々の表情も明るい。
木鈴 寧々子
はそんな彼らの表情を楽しみながら、のんびりと散歩をしていた。そう、だから気付いたのだ。目の端に入った少女の表情がとても悲しそうだった事に。
路地裏の片隅に少女は座っていた。ぼんやりと。美しい金色の髪と、手には、マッチ。……今時マッチ? 珍しいわねぇ、と寧々子が足を止めた時、少女は突然マッチを擦った。
「ちょ、ちょっと待ってぇ?!」
のんきな性格の寧々子もさすがに慌てて金髪の少女に駆け寄る。まさか散歩途中に放火魔に出会うとは。少女が驚いて落としたそれを、踏みつけて消火する。
「あなた、何で火なんかつけるのぉ? 放火は重罪! 八百屋お七を知らないのぉ?!」
少女の肩を掴み、問い掛ける。少女はきょとんとしたままだ。ああそうか、外国人には八百屋お七なんてわからないかぁ、とちょっと寧々子は冷静になり、しげしげと少女を見る。そして違和感を覚えた。この子の靴、木で出来てない? それにかなり大きいし。そして、肩。何で、こんなに痩せてるの……?
「マッチ売りの少女だからです、多分」
背後からの声に驚いて寧々子は振り向く。そこには、白い髪と赤い瞳が印象的な、小柄な少女が立っていた。
旅鴉 月詠
だ。
「マッチ売りの少女……?」
見知らぬ少女の言葉の意味は解るのだが、余りの現実味のなさに寧々子はその単語をオウム返しに繰り返した。月詠は無表情に頷き、しゃがみ込んだ。
「まだこの靴は脱げてないのか……。では最後の晩、という訳ではないな」
「ちょっと待って。最後の晩って何?……あなた、本当にマッチ売りの少女なのぉ?」
混乱しながらも、寧々子は振り向いて金髪の少女に問い掛ける。少女は尖った顎で小さく頷いた。
「……確かに私はマッチを売っているわ。でも全然売れなくて、寒くて。1本だけと思ってマッチを擦ったの」
擦った途端に光が自分を包み、気が付いたらここにいた。だから、同じようにマッチを擦ったら元に戻るかと思ったと、少女は言った。
「そんなことって……」
「あるでしょう、寝子島ですから」
寧々子の驚きをよそに、月詠は事も無げに言うと、マッチ売りの少女の手に触れた。
「冷えてるな……。暖かい所に移動しないと」
その言葉に寧々子が慌てて自分の上着を脱いでかけてやろうとする。と、目の前を何かがふわりと通り過ぎる。ぱさり。少女が大きな上着に包まれた。
「可愛いお嬢さん方。こんな所で寒くないかい?」
3人の前に、上品な男性が立っていた。彼女達があっけにとられる中、優雅な動作で少女の前に手を差し伸べる。
「昼食をまだとって居なくてね。1人で食べても寂しいから、ランチに付き合ってくれると嬉しいのだけれど。―――マッチ売りの少女さん?」
パチン。
ジェレミア・ベルトーニ
のウインクが綺麗にきまった。
「なるほど、ね……。たまにはと思ってこっちまで足をのばしてみたら、まさかこんな出来事にあうなんてね」
テーブルにはグラタンやサラダや焼きたてのパン、鶏肉の香草焼きなどがいっぱいに並べられていた。それが幻ではなく本物だと判った時のマッチ売りの少女の笑顔は、3人をほっとさせた。
夢中になって食事をする少女の横で、初対面の3人は互いに自己紹介を済ませると、めいめい頼んだ飲み物に口を付けた。
「旅鴉さんは散歩だったのぉ?」
寧々子の問いに月詠は否定も肯定もしなかった。
「タロットがこちらの方角を指していたので。不思議な出会いがある、と」
世は不可思議に満ちている、と小さく呟くと、視線を2人に向けた。
「どうしますか、これから」
「そうだね」
ジェレミアは温和な笑みを浮かべながらも、微かに眉をひそめた。
「彼女がどう帰れるかも判らない。それに……」
「戻る世界も、ねえ……」
寧々子の口調も曇る。それを静かに聞いていた月詠が口を開いた。
「……サンタの慈悲、と考えてはどうでしょう」
「サンタクロースの?」
2人の言葉に月詠は頷いた。
「物語の中では叶わない彼女の望みを、少しでも叶えさせてやりたかったのかもしれません」
「望み、か……」
沈黙が3人を包む。と、おもむろに寧々子が顔を上げ、パン! と手を叩いた。
「楽しもう!」
「え?」
驚く2人に寧々子は大きく頷く。
「考えても、始まらないし。せっかく彼女がこっちに来たんだから、楽しい思い出を作ってあげられないかなぁ?」
ジェレミアと月詠は顔を見合わせる。そしてふっとお互い笑顔になった。
「お嬢さん方が楽しめるなら、その方がいいね」
「……今日だけは、アンデルセンには黙っててもらいましょうか」
「決まりだねぇ!」
寧々子はにこっと微笑むと、手元のカバンから、ずるずると子供服を取り出した。
「彼女の服はとても寒そうだから、これに着替えてもらわないと」
「それ、子供服だよね? どうして持っているの?」
不思議がるジェレミアに「ちょっと事情があって、いつも持ってるの」と言い、寧々子はふふと笑った。
「彼女を着替えさせたら合流するねぇ。2人はどうする?」
「そうだな……」
その時月詠がジェレミアに何か耳打ちをした。ジェレミアは大きく頷く。
「俺達は出て待っているよ」
「了解ー。じゃあ、後で!」
きょとん。テーブルの上のご馳走をほぼたいらげてしまった少女が、ぱちくりと瞬きをした。
着替えたマッチ売りの少女と寧々子が店を出ると、ジェレミアと月詠がそれぞれ何かを手に持って待っていた。ジェレミアが少女の足下にうやうやしく跪いた。
「君の靴はひどくサイズが合ってないようだったから。それに暖かい靴の方がいいと思ってね」
そっと彼女の細い足に触れ、ムートンブーツに履き替えさせてやる。
「暖かい……」
少女の目が輝く。その首元にふわりと何かが巻き付いた。マフラーだ。
「この世界にいる時くらい、暖かくするといい」
月詠は少女の手を取り、手袋もはめてやる。もこもこになった彼女は、戸惑いながらも自分の姿をしげしげと眺め、ぴょこんと頭を下げた。
「あの、あの……、ありがとう」
心からの言葉に2人の目に温かいものが宿る。コロコロと飴を舐めていた寧々子が楽しそうに口を開いた。
「よーし、じゃあ、寝子島を楽しんじゃおうかぁ!」
「……木鈴さん、少し幼くなってませんか?」
月詠が首を傾げた。間違いないはずだ。自分の目には自信がある。月詠の視線に、寧々子はちっちっとおどけて人差し指を立てて振った。
「細かいことは気にしない! 旅鴉さんはちょっと落ち着きすぎだよぉ? 若いんだから、もっと弾けないと!」
そう言うと寧々子はおもむろに少女と月詠の手を取った。
「では、しゅっぱぁーつ!!!」
寧々子に引っ張られる形で、3人横並びで走り出す。え、私も? という顔の月詠と戸惑う少女。それでもすぐに3人とも笑顔になる。
「……うん、いいね。やっぱりお嬢さん達は笑顔でないと」
「ベルトーニさんも、早くぅ!」
振り返り手を振る寧々子に、ジェレミアは驚いて自分を指さした。
「俺もかい?」
「当たり前だよぉ!」
「ベルトーニさんだけ抜けることは許しませんよ」
はしゃぐ寧々子と、こうなれば道連れだと口を引き結ぶ月詠。2人の対照的な表情にジェレミアは苦笑する。
「……そうだね。みんなで遊ぼうか!」
マッチ売りの少女が輝くような笑顔になる。ジェレミアはその笑顔に向かって駆け出した。
4人とも、笑顔だった。
キャットロードのショーウインドウをみんなでひやかし、映画館では「絵が動いた」とマッチ売りの少女が仰天する。マリンパラダイスでは「ここは海の神殿に違いない」と、天井を泳ぐ熱帯魚を目を輝かせながら見入る少女の横で、3人はそれぞれこの不思議な休日を楽しんでいた。
4人がマリンパラダイスを出る頃には、もう陽が沈みかけていた。寧々子も、月詠も、ジェレミアも口を開かなかった。ある思いが彼らを包んでいた。
静かに、マッチ売りの少女が言った。
「この世界に教会はありますか?」
「星ヶ丘にあるよ。……案内しよう」
星がぽつぽつと見え始める夕闇の中、4人は駅に向かう。3人は気付いていた。
―――もうすぐ、この優しく、哀しい時間が終わるのだと。
土日は自由礼拝をしているのだろうか。飾り付けされたもみの木が置かれている教会の入り口は開け放されていたが、人影はなかった。
少女はまっすぐに身廊を進み、祭壇の手前で立ち止まった。壁の大きな十字架をしばし見上げる。そして跪き、祈りを捧げると、顔を上げて言った。
「靴、ありますか?―――お母さんのなんです」
弾かれたように寧々子がカバンの中から木靴を出し、少女に渡してやる。彼女はそれを大事そうに抱き締めた。
「帰っちゃうの?」
寧々子が半泣きで尋ねる。少女は困ったように笑うだけだ。
「決めたんだね」
静かにジェレミアが問い掛ける。少女はゆっくりと頷いた。
「……君の物語は確かにここにはないかもしれない。けれど、君の魂は、君の物だ」
月詠の言葉に少女は静かに微笑む。まるで聖母マリアのように。そして彼女はマッチを擦った。その光は徐々に大きくなり、彼女の体全体が包まれていく。
ありがとう わたしは素敵な夢を見ることが出来た
素敵な世界 素敵な光
ありがとう わたしの初めてで 大事なお友達
さようなら 灯火の中の夢
教会全体が強い光に包まれ、急速にそれを失っていく。気が付けば教会には3人だけで、マッチの燃えがらだけが、床に残されていた。
「……楽しかったかなぁ?」
燃えがらを見つめ、俯きながら寧々子が言った。ぽたり、と床に水滴が垂れる。
「楽しかったよ、きっと。……だって、俺達も楽しかった」
十字架を見上げながらジェレミアが言う。まるで、その先に少女の世界が見えるかのように。
「帰りましょう。私達は彼女の夢の中を生きなければいけない」
そう言うと月詠はくるりと祭壇に背を向け、カツカツと歩き出す。白い髪をたなびかせ、迷いなく。
ジェレミアはしばしその背中を見ていたが、ゆっくりとそれに続き、寧々子も十字架を見上げてから立ち上がり、しっかりした足取りで出口に向かい歩き出した。
そして誰も居なくなった。
残るはマッチの燃えがら1つ。
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担当ゲームマスター
KAN
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年12月06日
参加申し込みの期限
2015年12月13日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年12月13日 11時00分
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