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迷子の太陽と彷徨う犬
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昔ながらの商店街を飾るツリーを見上げて笑み交わすカップル、時計宝石店のショーウィンドウの指輪やネックレスを肩寄せ合って見つめるカップル、指と指を絡み合わせて仲睦まじく歩くカップル。カップルばかりが目につくのはクリスマスが近いからだろうか。それとも『リア充撲滅委員会』会長を祖父とする己が資質が故だろうか。
(糞がッ!)
どこもかしこもに現れる恋人たちを心の奥底から妬み辛み罵り、
日野 舞斗
は凍える風を切るように肩をそびやかせ、人相の悪さを誤魔化すため眼鏡の奥に隠した三白眼でリア充共に溢れる世間を睨み据え、大股に歩く。
リア充たちに溢れるクリスマスの町など歩きたくなどないが、敬愛する祖父に会いに行くためにはこの道を通るしかない。
「今日は部活でいいタイムが出たんだよ」
「陸上の練習、寒いのに大変やないですか」
「走ってると体が暖かくなって気持ちいいんだ」
「先輩が言うと走るんも楽しそうですね」
黒髪に明朗な黒い瞳した小柄な少女と明るい茶髪にイヤーカフス、見るからに軽薄な印象の少年とが楽しげに話しながら横を通り過ぎて行く。
(クリスマスなど……滅んでしまえばいいのだ!)
湧き上がる負の感情を抑えもせず、舞斗は擦れ違う恋人たちを睨みつける。それだけでは足りず、心の内に放送禁止用語を並べたてようとして、
「いッ、いやぁああぁ!」
華々しくもきらきらしいリア充の町に響き渡る、絹を裂く悲鳴を聞いた。悲鳴を追って振り返れば、町を闊歩するカップルたちに向けてトレンチコートを開帳するマッスル男。
「ちっくしょう、リア充どもめー!」
イルミネーション煌く参道商店街の通りに裸体を晒し、男は呪いの言葉を吐き散らす。
突如として目前に裸を晒された純真な女性の方々が悲鳴を上げる。
己の恋人を守ろうとした男たちを胸筋で撥ね飛ばし、男はトレンチコートを脱ぎ捨て、ブーメランパンツ一丁で堂々たるマッスルポーズを決める。瞬間、男の裸体が眩く輝く。
輝く変態の姿に、通行人たちが次々と悲鳴を上げて目を覆う。
「フ……」
混乱の極みに陥る参道商店街で、
「フハハハ! これは! 素晴らしい逸材を見つけてしまった!」
舞斗はひとり、快哉を叫ぶ。
「羨ましい! 妬ましい! でもリア充にはなれない!」
道の真中に仁王立った輝く変態は怒声をひとつあげる度にポーズをひとつ決める。リア充への妬みと怒りに満ちたその声を聞けば聞くほど、舞斗のうちに力が滾る。
(俺もあの声に同調せねば!)
「よろしい! ならば共闘だ!」
祝福の光を浴びつつ、目にもとまらぬ早業で顔にマスクを装着する。衣服を脱ぎ捨てボクサーパンツ一丁の姿になる。
スキップで輝く変態のもとに馳せ参じ、
「ドーモ、リア充=スレイヤーです」
そこだけは礼儀正しくお辞儀する。
「我が同士、助太刀致す!」
「おお……おおお!」
ことの成り行きを読めずに呆然と見守る町の人々を蚊帳の外に、舞斗と男はがっしり握手した。
「というわけで――」
輝く変態とタッグを組み、リア充=スレイヤーは周囲に溢れるカップルたちを睨み据える。
「リア充爆発しろ!」
背後に爆発音が響いた。
「わっ」
反射的に身を固め、何が起こったかを確かめるべく振り返ろうとして、
十文字 若菜
は傍らの
浅沼 柳司
に肩を抱き寄せられた。
「何や!」
若菜の頭を胸に抱き寄せたまま叫ぶ柳司の目が捉えたのは、爆竹花火のような小規模な音に反して大量の黒煙。
風に流れる煙を割って、全身ぴっかり金色に光る男とマスクを被ったボクサーパンツ男が現れる。黒煙に咽る人々に、変態男二人組は高笑いをあげて次々と襲い掛かる。
顔を煤けさせた中学生カップルの前に立ち、輝ける裸身の男が上腕二頭筋と毛むくじゃらな脛のひらめ筋を見せ付ける。マスク男が胸筋をぴくぴく動かしてみせる。止めに入ろうとした青年をマスク男が羽交い絞めにする。
「彼女にいいとこ見せる気かー!」
「そうはさせるかー!」
息のあった掛け合い見せて、青年の前に輝く変態が立つ。むっきむきの六つに割れた腹筋を青年の頬に押し付ける。
「やーめーてー!」
青年とその彼女のかなしい悲鳴が黒煙渦巻く商店街に響き渡る。
訳のわからぬ恐怖に凍り付く人々を尻目に、舞斗と輝く男は一仕事を終えた漢の顔で笑みを交わす。
「ふぅ……悪は滅びた。しかし、見事なリア充への怒りだった、同士よ」
「君こそ」
ついでにがっしり熱く握手も交わす。
「どうだ、俺達の組織……『リア充撲滅委員会』の仲間にならないか? 何、嫉妬の心は親心。我等委員会は君を家族の様に迎え入れよう。一緒にリア充共を駆逐し……」
「露出狂かー!!」
己が祖父をトップとする組織に有能な男を勧誘しようとする舞斗の言葉を、心底引き切った少年の声が断ち切る。
「リア充=スレイヤーだ!」
「我が筋肉を見よ! そして滅べリア充!」
「あ、しもた」
同時に振り向きてんでに叫ぶ舞斗と輝く男としっかり視線が合って、柳司は強面を引きつらせる。
(この寒い中トレンチコートにブーメランパンツって寒いやろ)
マスクにボクサーパンツも見るからに寒い。
(って、そんなん今はどうでもいいか!)
冬風に惜しげもなく肌晒す男二人を一瞬気遣い、一瞬で見放し、柳司は片腕に抱いた若菜を見下ろす。
「うわすんませんッ」
咄嗟に庇ったとは言え抱き寄せていたことに漸く気付いて、悲鳴じみた声と共に先輩を解放する。赤く染まる頬を見られたくなくて、若菜の視線を遮る格好で背中を向ける。
(と、とりあえず先輩にこんな変態見せるわけには……)
「大丈夫だ、穿いている!」
柳司の心中を読んだかのように輝く男が叫ぶ。全身の筋肉を浮き上がらせニッカリ笑う。
「は、穿いてるけど! あかんやろ!!」
「へ、変態!? 変質者!? け、警察に通報しなきゃっ」
柳司の背に庇われたまま、若菜は若菜でぐるぐると頭を混乱させる。一瞬見えた男たちの裸もそうだけれど、柳司と背中合わせになる格好で男たちに背を向けてもいるけれど、今はそんなことよりも、
(頭っ、腕でぎゅって! ぎゅって!)
柳司に肩と頭を抱き寄せられたことの方が、変質者に驚くことよりも大きかった。
「り――」
「先輩っ」
柳司の名を呼ぶよりも先、柳司に手を取られた。
「見たらあきません、逃げます!」
「えっ」
駆け出す柳司の背を目にしながら、若菜は手を引かれて走る。
「ああー!」
変質者たちの血を吐くような悲鳴は、けれど若菜には聞こえていない。
(手、手……)
指先に、掌に、柳司の熱を帯びた手が触れている。
(握られたぁぁぁぁ)
北風を浴びているのに、頬も体も熱を帯びる。心が落ち着かずにそわそわする。
「って、追ってくるんかい!」
背後を振り返った柳司が目を剥く。
「露出狂って普通こういう時追っかけてくるもんちゃうやろ!」
困惑気味に喚く柳司の視線を追わずとも、
「熱々か! つきあいたての恋人かこんちくしょうー!」
嫉妬に狂った男たちの怒声と、道をぴかぴか照らす眩しい光で、彼らがこちらを追い掛けて来ているのは明白だった。
柳司に手を引かれるまま、大通りを逸れて路地に入る。夕闇迫る小道に、輝く男が全身から放つ光が乱反射する。
若菜は陸上部、柳司は空手部、走ることに自信はある。体を使うことにも慣れている。追いつかれる心配はないとは言え、
(一体なんで!?)
付け狙われる訳が分からず、若菜は混乱する。
「先輩、大丈夫ですか」
「平気!」
振り返って気遣う柳司に頷き、手を引かれるままに何本と曲がり角を折れる。路地から路地を渡る。それでも背後に光は迫る。裸の男たちの乱暴な足音が聞こえ続ける。
(まだ諦めないの? なんで?)
「……しつこい、頭来た」
あまりの諦めの悪さに、若菜が焦り、柳司が怒る。
低く唸って逃げる足を止める柳司に、若菜は目を瞠る。角を折れた路地の向こう、諦めない男たちが呪いの言葉を吐き出しながらこちらを探し回っている。
「先輩、ろっこんで身を守りながら下がっててください」
「柳司君は!?」
「俺がケリつけますんで」
日に焼けた頬に凶暴な怒りを滲ませ、柳司は若菜の手を離す。その手を固い拳にする。
――喧嘩に空手を使うな
幼い頃から恐れる父親の怒声が耳に蘇るも、
(関係ない、全力でしばく)
若菜先輩を怯えさせた罪は重い。
「それは駄目!」
臨戦態勢に入った途端に腕を掴んで止められ、柳司は瞬く。先輩も空手を喧嘩に使うなと言うのだろうか。守りたい人を守ることすらするなと言うのだろうか。
柳司の困惑したような瞳を、若菜は揺るがぬ瞳で見上げる。
「柳司君だけが戦うのはなしだよ」
きつく掴めば折れそうな華奢な手で少年の手を掴み、少女は強く微笑む。
「戦うなら私も一緒に戦う」
「先輩も……?」
大丈夫、と若菜はささやかな胸を張る。
「これでもいろんなろっこん事件には巻き込まれているんだ」
その中で、戦いも何度か経験している。
「私に出来る事は限られているけど、それでも出来る事はあるから」
だから、と黒い瞳に決意の光灯し、若菜は躊躇う柳司を見つめる。
「一緒に戦わせて。私も、……」
大切な人の為に、の一言は声にできずに、続ける。
「戦いたい」
「……あー……」
若菜の真摯な瞳から瞳を逸らし、若菜に握られた手から瞳を逃し、柳司はもう片方の手で頭をがりがり掻く。
「分かりました」
結局のところ、この人には敵わないのではないか。ちらりと思う。
「くれぐれも怪我だけはせんとってくださいね?」
荒事を前に、けれど嬉しそうに大きく頷く先輩と手短に打ち合わせ、柳司は若菜を先に走らせる。
「こっちから男と女の声がしたぞ、リア充=スレイヤー!」
「今行く、同士よ!」
結託した男たちの声が路地の向こうから近づいてくる。
路地の奥の壁際、追い詰められた風を装って若菜が足を止める。彼女を背に庇う振りをして、柳司がその前に立つ。
「見ィつけた」
まるきり悪役の声音を夕暮れの路地に響かせ、角から輝く男の影が覗く。顔が覗く。
若菜の手が鞄を探るのを目の端に捕らえながら、柳司は唇に挑発的な笑みを浮かべてみせる。
「クリスマスも近いのに一人で大変やなあ、おっさん」
「んな!?」
「そんなことをしていても望むものにはなれないよ」
「んがッ!?」
柳司と若菜、二人の言葉に色んな痛い箇所を突かれ、男が胸を押さえて立ち止まる。
「よ、よくも……!」
高校生男女からの手強い精神攻撃を受けて堪らず蹲る案外打たれ弱い同士に、後を追って来た舞斗が声を震わせる。今しも突っかかって行きそうになるリア充=スレイヤーを、片手を上げて制したは輝く変態。
「己の仇は己が討つ」
低く言い放ち、輝ける裸身の男はゆらり、立ち上がる。
「うおぉおおお!」
雄叫びを上げ、柳司に向けて地を蹴る。全身全霊の嫉妬をこめたタックルに、柳司はけれど背を向ける。全力疾走で若菜の傍らに滑り込む。
「怖じたか!」
猛る男の目に映るは、手にした鏡を足元に叩きつける若菜の姿。
だがそれが何になろう。たかが硝子片で男の足は止められぬ。
「ざまあ――ぐえ!」
言い募る男の言葉と体が、自身の全体重でもって、若菜がそのろっこんで作り出した見えない防御壁に叩き付けられ潰れる。
輝く男の足止めに成功したと見るや否や、若菜は足元に散る硝子片を靴先で散らした。防御壁を解除する。ぐらり、鼻血噴いた男の体が傾ぐ。
「柳司君!」
「おう!」
若菜の声と動きに合わせ、柳司は勢いつけた蹴りを放つ。
柳司の父親仕込みの重い蹴りが男の顔面に、陸上部で鍛えた若菜の蹴りが男の胴に、ほぼ同時に決まる。
ただ、柳司の蹴りは、際どく翻る若菜のスカートから目を逸らした分だけ弱まったかもしれない。
脚を振り切った勢いで、くるり、若菜がその場で一回転する。スカートの裾を押さえて悪戯っぽく笑う少女に、柳司は思わず見惚れた。彼女に目を奪われていたからこそ、倒れながらもしつこく彼女に手を伸ばす輝く男が目に入った。
「何しとんねん」
若菜の足に伸ばされた男の指を、柳司は微塵の容赦もなく踏み躙る。
「あ、先輩」
にじにじと男の手を潰しつつ、柳司はとてもいい笑顔を若菜に向ける。
「ちょっと目と耳ふさいでおいてもらっていいです?」
「……ちょっとは手加減してあげてね」
苦笑いをちらりと見せて、若菜は頼まれた通りに目を閉じる。耳をふさぐ。ついでに背中も向ける。
「さて」
地面に這う男に向け、柳司はそれはもういい笑顔で手を伸ばす。
「……言わんでもわかるよな?」
輝ける裸身の男は輝くことも出来ずに弱々しく首を横に振る。
「全力で! しばく!」
ものわかりの悪い男の耳元、柳司は怒鳴る。次いで低く低く、囁く。
「変なもん見せやがって、なぁ? 覚悟はできてるんやろうな?」
男はまだまだ首を横に振る。けれどそれくらいで大事な先輩を裸で追い掛け回した罪が消えるわけではない。その上、先輩の足にまで触れようとした大罪は何より重い。
今日の柳司の拳は凄かった。
「ど、同士ィィ――!!」
不良じみた容姿の少年に言葉に表せない暴行を受ける未来の仲間に、舞斗は悲鳴をあげる。
幾度目かの柳司の拳を顔面に受けて、男の姿が煙のように掻き消えるに至って、舞斗の怒りは頂点に達した。
「許さねぇ! 同士の敵!」
それ即ち己の敵。
雄叫びあげて突っ込んで来るマスク男に、柳司は一度解きかけた拳を再び握り締める。凶暴な笑みを唇に刻む。
「あれや、人を撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけやって奴やからな……」
マスク男の怒りの拳を片手で払う。瞬間、思いがけぬ位置から伸びてきたもう片手に襟首を掴まれそうになる。
「あっぶな」
後に下がると見せかけ、軽く襟首をわざと掴ませる。引き倒されるよりも速く、マスク男の腹に右の拳を突き込む。
「ッぐ、……たッ、」
その場に蹲りそうになるのを堪え、舞斗は腹を押さえて後ろによろめき退がる。苦悶の表情を浮かべ、それでも足を踏ん張り言い放つ。
「例え俺が倒されても第二、第三のリア充への刺客が現れる!」
憎々しい笑みさえ浮かべてみせる。
「精々恐怖するがいい、リア充共! リア充撲滅委員会万歳!」
できることなら派手に散りたいと願いつつ、それも出来ずに舞斗は踵を返す。リア充に負けた悔しさも、将来有望な仲間を失った悲しさも、全てリア充への嫉妬に代えて、リア充=スレイヤーは沈む夕陽に明日の再起を誓う。
「……あ、同士の連絡先聞き忘れた」
勧誘もしっかり忘れていない。
「先輩、先輩」
夕陽に逃げ去るリア充=スレイヤーは完全に捨て置いて、柳司は生真面目に目を瞑り耳を両手で塞ぎ続ける若菜の肩を軽く叩く。
(もうしばらく見て……あかんて! 何考えとんねん!)
内心の煩悩を自分の頭を自分で叩くことで追い出し、目を開けた若菜にすっきりした笑顔を見せる。ちょっと考え、片手をひょいと掲げてみせる。
路地裏の戦闘の相棒の意図を読み取り、若菜は顔中で笑って片手を持ち上げる。
高らかに誇らしく、ハイタッチの音が夕暮れに響いた。
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年12月03日
参加申し込みの期限
2015年12月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年12月10日 11時00分
参加キャラクター一覧
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