恐怖！　○○しないと出られない部屋！｜リアクション

恐怖！　○○しないと出られない部屋！

　哀坂時音は感情が表情に出ない少女だ。
「極夜も……いるのか……。咲……今回は、極夜に任せる、フフフ……」
　自分の弟が意中（そして時音自身も食指が伸びる意味で）の相手にお熱を上げている様子に、姉は潔く身を引いた。
「フフ、フフフ……そうか……！　キスをしないと……ここから抜け出せない……のか……！」
　時音は両手を固く握り締め、天高く突き上げた。
　何故か次の瞬間、『コロンビア』と書かれた謎のテロップが３秒ほど胸元に出現したが、時音は夢魔のイタズラをスルーした。
「あぁ…それなら仕方ない…仕方ないな……。出る為なら……、同性同士でも……キスをしなければならない……」
　ここで唐突だが、時音の性嗜好を説明しよう。
　彼女はいわゆるレズビアンである。
　男は恋愛対象ではなく、むしろ嫌悪の対象でしかない。
　故に彼女の摂る行動はただひとつのみ。
「可愛い女の子と……キスをしないと、な……」
　その口調は使命感を帯びていた。
「好きでもない男にして勘違いされるよりは……同性の方が……都合良いだろう…？　……そちらが同性を求めるのなら……もっと歓迎、だがな……フフ……！」
「その話、乗ったぁ！」
　既に興奮して汗ばんでいた朝野未沙は、ろっこん『あなたの後ろに這い寄る触手』の効果で手足が触手化している。
　ウネウネと蠢く触手を時音に差し出し、朝野は告げた。
「ねぇ、あそこにいる冬華ちゃんを襲わげふん助けてあげない？？」
「承諾した……！」
　即答だった。
　エロ人助けに言葉など不要だった。