恐怖！　○○しないと出られない部屋！｜リアクション

恐怖！　○○しないと出られない部屋！

◆承◆

　この部屋に閉じ込められて、むしろ喜ぶ者もいた。
「えっマジ！？　美少年とキスしないと部屋から出られないの！？　うわー困ったわー、見ず知らずの美少年とキスしなくちゃいけないなんて困ったわー」
　おおよそ抑揚なんて感じられない口調で部屋中の美少年たち（本人基準）を舐め回すようにチェックするのは小野田万里。
「あたしとキスするのはご自由だけどー、ちゃーんと責任取ってよねー？」
　手元に握り締める『美少年備忘録』と書かれた手帳の最後のページから何かを取り出した。
　それはピンク色の婚姻届！
　とある結婚雑誌の付録のこれは、実際に役所へ提出できるスグレモノだ。
　しかも既に自分の名前を記入済みという“親切さ”も兼ね備えている。
　ヤバイ！
　ところで、なぜ独身女性（32歳）が相手もいないのに結婚雑誌を買ったのだろうか。
　それ知った者はきっと、呪われた魔王の（結婚）指輪を身に付ける宿命を背負うのだ。
　指輪を完全に消失させるためには、暗黒の地（家庭裁判所）へと９人の仲間（弁護士たち）とともに旅立たねばならなくなる。
　ヤバイ！
「ちゃんとペンはあるんで美少年の人は何時でも書き込んでね、テヘッ♪」
　ピンクの婚姻届をこれみよがしにぴらぴらと見せびらかしながら、小野田は自身のアラサーカワイイをアピールすることも忘れない。
　スゴイヤバイ！