恐怖！　○○しないと出られない部屋！｜リアクション

恐怖！　○○しないと出られない部屋！

「お？　ディープすっか？　ディープ？？　ホラ、チュッと行きなよ。粘膜的なお付き合いしちまえよ、エ？」
　我々はコイツがいたのを忘れていた……。
『ゲスの極み外道』『火のないところに放火する』『泣きっ面にキングコブラ』『二階から小便』など、今までの悪評を例えたらキリがない愉快犯――骨削瓢の存在を！！
　骨削はケタケタ笑いながら小倉と荒海を指差してはやし立てていた。
「なに？　やらんのかい？　お互い好き同士、さっさとやっとくれ～。あっしのことなど気にせず、ほら、“まうすとぅまうす”で暑苦しいのを１つさぁ！」
　荒海がその強面を活かして骨削を睨み付けるが、本人は怖がるどころか余計に面白がっていた。
「おやぁ？　あっしのチャチャでやめちまうなんて、おたくの感情はその程度かい？　まぁ、あっし的には葛藤してもらったほうが面白みがあるってもんだがね？」
「あんた……、ごちゃごちゃうるせえぞ……」
　荒海が今にも殴りかかりそうなほど前のめりになる。
　だが彼が怒れば怒るほど、骨削のテンションは青天井で急上昇するのだった。
「くーちっすいっ！　アソ～レ！　くーちっすいっ！　アソ～レ！」
　手拍子までして完全に馬鹿にしている。
「ったく、意気地がないねぇ、オタク？　何なら無心でやってみるかい？」
「いい加減に……！」
　我慢できずに拳を振り上げた荒海。
　だが、それを小倉がしがみついて止めていた。
「駄目であります！　荒海さん、耐えるであります……！」
　小さな体で必死に荒海の暴力を食い止めようと、小倉は涙目で訴える。
「ごめんなさいであります……。荒海さんにはご迷惑をおかけしたであります……」
「いや……、そんなつもりじゃ」
　なかなかキスをしない荒海のことを、小倉は「強制されて迷惑だ」と勘違いしてしまった。
　荒海もそんな勘違いをさせてしまったことを察し、すぐに頭を振った。
「俺は、小倉に……その、キスをしないと」
「……ですから、やっぱり、無理やりはよくないでありますね……」
　荒海の体から離れてしまう小倉。
「私は、ここに残るであります！　私なんかより、どうぞ、荒海さんは他のお相手を探してくださいであります！」
　この時、荒海の心にとてつもない喪失感が襲った。
「……ふざけんなよ」
　そして思わず言葉が漏れた。
「ふざけんなよ、小倉……」
「……はい？」
　首を傾げる小倉に、荒海は湧き上がる気持ちを一気に吐き出した。
「俺がめちゃくちゃドキドキして小倉とキスしようとしてたんだ、それを今更、他の相手を選べ、だと……！？」
　荒海は小倉を強引に抱き寄せると、彼女の目を見てはっきりと答えた。
「俺は……！　小倉とじゃなければ……キスはしたくねーんだ……！」
　再び小倉の顔が真っ赤に染まっていく。
「外野の声なんて関係ねえ。俺は、……その、……小倉の、ことが……す……、す……」
　荒海も勢いに乗じてぶっちゃけようとしている！
　このままカップル成立か！？
「すっ……ごっく！　す……！！」
「す！？」
　小倉も、その言葉を待っている！
　さぁ、言ってやれ、荒海！
「……す――」

骨削「酢ダコォ！　そして『悋気の独楽』でシーユーネクストウィーク！　バイバァイ！」

　骨削が黄砂混じりの竜巻のろっこん『悋気の独楽』を荒海と小倉に向けて発動！！
　腹が立つほど流暢な発音とともに発生した竜巻が、２人を部屋の天井ごと外界へ吹き飛ばしていった。
　暗黒の闇の中、竜巻が２人を離れ離れに引き裂かんと猛威を振るう！
「きゃああああ！？」
　吹き飛ばされそうな小倉の腕を掴み、きりもみ状態のなか必死に自分の体に引き寄せる荒海。
「小倉！　小倉！」
　荒海は小倉を抱き寄せると、無我夢中でキスをした。
（これで脱出できる……。あ……っ）
　荒海は無事に小倉とキスをして、暗黒空間から脱出することができた。
　……おでこにしたつもりが、思いっきり彼女の唇だったのは計算外だったが。

【荒海藤吾・小倉杏子：脱出成功】