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- 00月00日生 00歳
- AAA000000
【お三夜】寝子島らんちゅう品評会〜お猫様はご遠慮下さい〜
【神速の剣士】
寝子島神社で朝晩と剣術修行している御剣 刀は、神社のイベントに関しては情報通である。
今日もらんちゅう品評会があることを聞いており、神社に足を伸ばしていた。
金魚鑑賞の趣味があるわけではない。屋台が出ると聞いていたからだ。
もともとお三夜まつりが近いこの時期は、神社近辺に屋台が出ていることが多い。
境内へ繋がる参道でさっそくたこ焼きを買った時、その側を駆け抜ける痩せた男がいた。
「手があいてたら手伝ってくれ、境内が猫で大変なんだ！」
「え、はい？」
「頼んだぜー！」
そのまま走り去った痩せた男、三夜の叫びに御剣は興味を引かれた。
どちらにしても食べ歩きしながら境内まで上がろうと思っていたから、ついでといえばついでだ。
しかし、状況は御剣の想像を越えていた。
「……なんだ、これ」
境内を埋め尽くすかと思えるほどの猫の群れ。寝子島は確かに猫が多いけど、ここまで集まっている光景はなかなかない。
その群れの中心には白い洗面器が30以上は並んでいる。どうやらあの中にらんちゅうがいて、猫達が狙っているようだ。
片隅では一生懸命猫達に呼びかけている御鏡の姿も見える。
「こっちにマタタビがありますよ〜、らんちゅうさん達よりも美味しいですよ〜」
お皿に載せたマタタビは確かに効果があり、一部の猫達が御鏡の足下で酔っぱらったように身をくねらせている。
「猫さん達もお猫様になって一緒にお三夜まつりに参加するんですか？ お猫様ならお魚を奉納しないとですね。煮干しでいいでしょうか？」
優しく話しかけながら煮干しも投入する御鏡。
猫達は満足したようにその場で寛ぎ始めた。しかし全体からみたら１割といったところ。
境内中央では城山が率先して声をかけ、飼育者達と共になんとか洗面器を移動しようと試みる。
「落ち着いて。焦らないでいきましょう」
「ああ、ありがとう、お嬢さん」
「どこに運べば？」
「あそこにあるプラ舟へ！」
「プラ舟？」
「緑の大きなプラスチック容器だよ」
「ああ、あれですね、わかりました！」
目的地は洗面器に入れる前にらんちゅうを待機させていた、水温合わせのための水をはってある容器。
らんちゅうを飼育するときにも利用される大型のプラスチック容器は、待機中の鳥害防止のためネットがかけられている。
あの中に避難させればひとまず安全が確保されるし、急な水温水質変化を避けられるだろう。
10や20ではきかない洗面器の数。動かさない判断もあっただろうが、何しろ猫の数が半端ない。男達には洗面器を守り通せる自信がなかった。
それに早くらんちゅうを安全な場所に動かしたいという気持ちのほうが強い。
たしかにらんちゅうにストレスをかけたくはないが、無傷で生きてさえいれば解消する方法はある。しかし猫に襲われて怪我をしたらまず治療は難しいだろう。
男達は半々に分かれて防御班がバリケードのようになって洗面器と運搬係を守っているが、どう見ても人数が足りない。
「放っておくわけにもいかないよな」
御剣はたこ焼きを一粒口の中に放り込むと、猫を踏まないように包囲網の中へと足を踏み入れた。
「お姉さん、手伝うよ。洗面器のほうは頼む」
「え？ ええ。ありがとう。中の魚のことを考えると、慌てて動かせないのよ」
「了解。とにかくなるべく猫をおさえるよ」
御剣は男達のバリケードを背にしてその場に仁王立ち。ただし、たこ焼きを口にしつつ。
どこかのんきなその姿に男たちは非難の声を上げようとしたが、次の瞬間黙り込んだ。
隙間をぬって飛びかかろうとした一匹の猫を、いとも簡単に御剣が捕らえたからだ。
背後の男に猫を渡しながら、御剣はうそぶく。
「よし、一匹確保。美味しそうなものを前にした気持ちはよく分かる。だがその爪、届かせるわけにはいかない。諦めろ」
猫達にしてみれば、これは暴言であったろう。なにしろ御剣はそう言いつつ、次のたこ焼きを口にしたのだから。
対峙した猫の一団から不満とも嘆きとも取れる鳴き声があがる。
御剣は御剣で、実はそれほどのんびり構えているわけではなかった。
猫の瞬発力は侮れない。少し油断すればすぐにでも脇を抜けられるだろう。
たこの弾力を味わいながらも、その視線は鋭さを増す。
猫の体勢、重心のバランス、鳴き声から呼吸を計り次の動作を読んで、わざとその動線を潰すように立ち位置をかえる。猫とすれば飛びかかろうとする瞬間に御剣が動くので、警戒して動きをやめてしまう。
「……これは思ったよりいい修行だな」
さらにたこ焼きを口にしながら、御剣はますます神経を研ぎすませた。
寝子島神社で朝晩と剣術修行している御剣 刀は、神社のイベントに関しては情報通である。
今日もらんちゅう品評会があることを聞いており、神社に足を伸ばしていた。
金魚鑑賞の趣味があるわけではない。屋台が出ると聞いていたからだ。
もともとお三夜まつりが近いこの時期は、神社近辺に屋台が出ていることが多い。
境内へ繋がる参道でさっそくたこ焼きを買った時、その側を駆け抜ける痩せた男がいた。
「手があいてたら手伝ってくれ、境内が猫で大変なんだ！」
「え、はい？」
「頼んだぜー！」
そのまま走り去った痩せた男、三夜の叫びに御剣は興味を引かれた。
どちらにしても食べ歩きしながら境内まで上がろうと思っていたから、ついでといえばついでだ。
しかし、状況は御剣の想像を越えていた。
「……なんだ、これ」
境内を埋め尽くすかと思えるほどの猫の群れ。寝子島は確かに猫が多いけど、ここまで集まっている光景はなかなかない。
その群れの中心には白い洗面器が30以上は並んでいる。どうやらあの中にらんちゅうがいて、猫達が狙っているようだ。
片隅では一生懸命猫達に呼びかけている御鏡の姿も見える。
「こっちにマタタビがありますよ〜、らんちゅうさん達よりも美味しいですよ〜」
お皿に載せたマタタビは確かに効果があり、一部の猫達が御鏡の足下で酔っぱらったように身をくねらせている。
「猫さん達もお猫様になって一緒にお三夜まつりに参加するんですか？ お猫様ならお魚を奉納しないとですね。煮干しでいいでしょうか？」
優しく話しかけながら煮干しも投入する御鏡。
猫達は満足したようにその場で寛ぎ始めた。しかし全体からみたら１割といったところ。
境内中央では城山が率先して声をかけ、飼育者達と共になんとか洗面器を移動しようと試みる。
「落ち着いて。焦らないでいきましょう」
「ああ、ありがとう、お嬢さん」
「どこに運べば？」
「あそこにあるプラ舟へ！」
「プラ舟？」
「緑の大きなプラスチック容器だよ」
「ああ、あれですね、わかりました！」
目的地は洗面器に入れる前にらんちゅうを待機させていた、水温合わせのための水をはってある容器。
らんちゅうを飼育するときにも利用される大型のプラスチック容器は、待機中の鳥害防止のためネットがかけられている。
あの中に避難させればひとまず安全が確保されるし、急な水温水質変化を避けられるだろう。
10や20ではきかない洗面器の数。動かさない判断もあっただろうが、何しろ猫の数が半端ない。男達には洗面器を守り通せる自信がなかった。
それに早くらんちゅうを安全な場所に動かしたいという気持ちのほうが強い。
たしかにらんちゅうにストレスをかけたくはないが、無傷で生きてさえいれば解消する方法はある。しかし猫に襲われて怪我をしたらまず治療は難しいだろう。
男達は半々に分かれて防御班がバリケードのようになって洗面器と運搬係を守っているが、どう見ても人数が足りない。
「放っておくわけにもいかないよな」
御剣はたこ焼きを一粒口の中に放り込むと、猫を踏まないように包囲網の中へと足を踏み入れた。
「お姉さん、手伝うよ。洗面器のほうは頼む」
「え？ ええ。ありがとう。中の魚のことを考えると、慌てて動かせないのよ」
「了解。とにかくなるべく猫をおさえるよ」
御剣は男達のバリケードを背にしてその場に仁王立ち。ただし、たこ焼きを口にしつつ。
どこかのんきなその姿に男たちは非難の声を上げようとしたが、次の瞬間黙り込んだ。
隙間をぬって飛びかかろうとした一匹の猫を、いとも簡単に御剣が捕らえたからだ。
背後の男に猫を渡しながら、御剣はうそぶく。
「よし、一匹確保。美味しそうなものを前にした気持ちはよく分かる。だがその爪、届かせるわけにはいかない。諦めろ」
猫達にしてみれば、これは暴言であったろう。なにしろ御剣はそう言いつつ、次のたこ焼きを口にしたのだから。
対峙した猫の一団から不満とも嘆きとも取れる鳴き声があがる。
御剣は御剣で、実はそれほどのんびり構えているわけではなかった。
猫の瞬発力は侮れない。少し油断すればすぐにでも脇を抜けられるだろう。
たこの弾力を味わいながらも、その視線は鋭さを増す。
猫の体勢、重心のバランス、鳴き声から呼吸を計り次の動作を読んで、わざとその動線を潰すように立ち位置をかえる。猫とすれば飛びかかろうとする瞬間に御剣が動くので、警戒して動きをやめてしまう。
「……これは思ったよりいい修行だな」
さらにたこ焼きを口にしながら、御剣はますます神経を研ぎすませた。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2015年10月21日
- 参加申し込みの期限
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- 2015年10月28日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2015年10月28日 11時00分
