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黒い人形
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【5】暴走
そのころ。
尚子と瓢は街灯すらない小路を、麻衣のアパートを目指して歩いていた。
と、脇道からやって来る人影に気づいて、思わず尚子が息を潜める。だが、現れた人影は、倫理子だった。
「……よかった、無事だったのね」
「ええ、なんとか逃げ回ってまいたわ」
安堵の息をつく尚子に、倫理子はうなずいて言う。
それへ尚子は、彼女が持っている人形を見て思い出したように問うた。
「それ、本物?」
「偽物よ。もちろん、私が夏目 麻衣を恨んでいるというのも嘘よ。ああ言えば彼ら、混乱すると思ったのよ」
かぶりをふって言う倫理子に、瓢が笑う。
「やっぱりそういうことだったんだねぇ。攪乱するには、巧い手だよぃ」
「ありがとう。……それより、急がないと。麻衣が戻るより先にアパートに着いていないと、意味がないわ」
瓢の賛辞に礼を言い、倫理子は尚子を促す。尚子もうなずき、三人になった彼らは、歩き出した。
だが、しばらく行くと。
「森山 尚子、だろう?」
尋ねる声がして、彼らの前に立ちふさがる人影があった。
雲に隠れていた月が姿を現し、その人物を照らし出す。
篠宮 六花
と
毒島 林檎
だ。
尋ねたのは、六花だった。
彼は里美の話を聞き、尚子の何もかもを受け入れてやりたいと思った。一方で、尚子にはまだ帰れる場所があるのだと、そう知らせてやりたいとも思った。
「今回のタネは、お前さんだ。……説得ができなかったからと、あきらめるのは早いだろう」
発破をかけるつもりで彼は、里美に言ったものだ。
「大切だと思うのなら、泣いて喚いて足掻いて、なりふりかまわず森山を止めろ。それができるのは、早川、お前さんだけだ」
とはいえむろん、里美とて手詰まりになったがゆえに、他人に助けを乞うたのだということは、彼にもわかっていたけれど。
だから、尚子とも話したいと思った。話して、何をしても帰れる場所があるのだと、自分もまたそうだと、そのことを彼女に伝えたいと思った。
一方、林檎はたまたま非公認オカルト研究会に遊びに来ていて、里美の話を聞いてしまったのだが――性格的に、聞いてしまった以上は見過ごせず、手伝うことになったのだった。
とはいえ、尚子と戦うつもりのない彼女は、自分を回復要員とみなしている。彼女のろっこん『オモルの腕』は、怪我や病気を治癒させることができるため、誰かが怪我をした場合に備えようと考えたのだ。
月光に照らされ、静かに佇む二人を、尚子は戸惑ったように見やる。
倫理子はその隣で明らかに警戒した顔つきで二人を睨みすえており、瓢は一歩後ろに下がって様子を見る構えだ。
それへ、六花が口を開いた。
「森山、気に入る能力を手に入れることはできたか? 復讐というからには、それなりの能力なんだろうな。だが、夏目だけじゃない、お前の将来も失う覚悟はできているのか?」
「私の……将来……?」
まだ戸惑いが去らないように、尚子は問い返す。
「そうだ。復讐することで、夏目の将来を奪えば、お前も一生拭えない罪を追うことになる」
「ろっこんで成したことを、罪には問えないわ」
うなずいて言う六花を、尚子はきつい目で見返して言った。
「『かまいたち』は、自然現象だもの。それで傷を負ったり死んだりしても、運が悪かったとしか、他人は思わないわ」
「だとしても、そんなのはだめだ!」
叫んだのは、林檎だった。
「そもそも君はなぜ、早川先輩に復讐計画を話したんだ? ……本当は、止めてもらいたかったんじゃないか? ……本当に復讐したいんだったら! こんな手段を取らないで……夏目より幸せになって見返してやれよ! 断じて……君を想う人を泣かせる手段が……正しいわけがないんだ!」
(そんなの、尚子ちゃんも幸せになれないもん!)
心の中で付け加えながら、林檎は言い募る。
彼女は、尚子のことが他人事とは思えないでいた。いじめられたこともあれば、理不尽を嘆いたことも、そして見返すために暴力をふるったこともある。
だから、気持ちはわかる、と思うのだ。
けれども、これは違う、とも思う。何より、尚子自身が本当にこんなことをして、満足するのだろうかと。
それを聞いて、戸惑ったように見返して来る尚子に、林檎は更に言った。
「もし君が望むなら、俺のろっこんでその顔の怪我も治すよ。だから、復讐なんてもうやめよう」
途端に、尚子は目を見張った。
「治せるの? ……この傷を?」
「ああ」
林檎が大きくうなずく。
「この傷が……治る……」
尚子はそれを聞いて、信じられないように火傷のある方の頬に手を触れる。
「やはり、傷も治したいと思ってはいるんだな」
そこに、今度は別の声が響いて、新たな人物が姿を現した。
双葉 仄
だ。彼女も、里美の依頼を受けた者だった。
「復讐と聞いた時、私は残念でならなかった。その人形で、その顔の傷を治せる能力を得ようとは思わなかったのか?」
ゆっくりと尚子の方に歩み出て、仄は問う。
「望むとおりのろっこんが得られるわけじゃないわ」
きつい目でそちらを見返して答える尚子を、仄は笑った。
「かもしれないが、望むくらいはできたはずだ。……まあいい、安心しろ。貴様が何を選ぶにしろ、私が絶対にかなえてやる。報酬は、『黒い人形』でいい」
なんとも強気な言いようだったが、尚子が本気にしたのは最後の言葉だけだった。
「あなたも、狙いは人形を奪って破壊することなのね!」
斜め掛けしたバッグをしっかりと抱きしめ、叫ぶと尚子はそのまま後ずさる。
「壊す気はない。ただ報酬として、それがほしいだけだ。――それよりも、選べ。夏目と共に地獄に落ちるか、それとも解放されるか」
言って仄は、彼女が下がった分だけ歩を進める。
「さあ、どちらがいい? 救われたいか? 復讐したいか?」
「そんなこと……」
「復讐なんて、やめろ。さっきも言っただろ。傷は、俺のろっこんで治してやるから!」
答えに窮してかぶりをふる尚子に、林檎が叫ぶ。
「あ……」
その声に、尚子はそちらをふり返って、低くわななくような声を漏らす。
(復讐をやめるのは勝手だけどねぇ……人形が他人の手に渡るのは、困るよぃ)
成り行きを見守っていた瓢が、胸に呟いた。倫理子の方も、人形を渡せと言う仄に、眉をひそめている。
だが、行動に出たのは瓢の方だった。
「森山はん、奴に何をされたか、忘れたのかい?」
彼は、尚子を別の方向に揺さぶるように、言った。
「ヒトハはんはたしか、他人の望みをかなえられるようなろっこんは持ってなかったよぃ。傷は、毒島はんのろっこんで治せるかもしれないけどねぇ……今復讐をやめたら、後悔するのは森山はんじゃないかい?」
「それは……」
そちらをふり返り、息を飲む尚子に、瓢は更に続ける。
「それとそっちの、篠宮はんは、以前に夏目 麻衣とつるんでたのを、見た覚えがあるねぇ」
「なっ……!」
もちろん嘘だが、その言葉が尚子に与えた衝撃は大きかった。
「そう……それで、あんな、責任だの将来だのって言葉を持ち出して、私を怯えさせようとしたのね……」
呟いて、六花に向けた尚子の目は、激しい憎しみに満ちていた。
「違う、俺は夏目のことなんて知らない……!」
慌てて否定する六花の言葉も、彼女の耳には入っていない。
「もう、あなたたちの言葉なんて、聞かないわ。……私の邪魔をする奴は全員、『かまいたち』の餌食よ」
低く押し殺した声で言って、尚子が更に口を開きかけた時だ。
「森山、復讐のために傷つけたいならナイフでも使え。人形に頼るのは怖いからだろう?」
そんな言葉と共に、現れた者がいた。
御剣 刀
だ。同じく里美から依頼を受け、尚子を探していた者の一人だ。手には、小さな袋と刀を持っている。
「あなたたちの言葉なんて、聞かないと言ったでしょ!」
尚子はそれへ、苛立ったように叫ぶ。だが、刀はかまわず続けた。
「相手を傷つけるのが、傷つけた時に反撃されるのが、傷が治ったあとに報復されるのが、怖いんだろう? ろっこんっていう圧倒的な力がないと、その恐怖をふり払えないんだろう?」
「怖くなんてないわ! ただ、確実に復讐を果たしたいだけよ!」
叫び返す尚子に、刀は小さく肩をすくめる。それから、思い出してスマホを取り出すと、エレノアに電話をかけた。
少し話してから、スマホを尚子の方に差し出す。
「エインズワースが、話したいそうだ」
尚子は眉をひそめて彼とスマホを見比べたあと、意を決したようにそれを受け取り、耳に当てた。
「もしもし?」
『早川さんは、預かってます。復讐はやめて、屈辱を噛みしめながら夏目さんにごめんなさいして下さいよ! さもなきゃ、早川さんが残念なことになります』
突然流れて来た脅迫の言葉に、尚子は顔をしかめる。
「あなた、何言ってるの? 私に復讐をやめさせるにしても、陳腐すぎるんじゃないの?」
もちろん彼女は、エレノアの言葉が嘘だと思っているのだ。
『嘘じゃありません。いいですよ、早川さんと話させてあげます』
エレノアにしてもこのあたりは、想定済みだ。すぐに電話の相手は里美に変わる。
『尚子ちゃん、復讐なんてやめてちょうだい。人形のことを話した私が悪かったわ。だから……』
「里美さんこそ、やめてよ。こんな、拘束されたマネまでして……。私は、誰に何を言われても、やめないわ!」
スマホの向こうから流れて来た里美の声に、尚子はカッとなって言い募った。
『拘束されているのは本当よ。でも……これも、あなたに人形のことを話した私が悪いんだから、しかたがないわ。それより、本当に復讐なんてやめて。復讐は――』
言いかけた里美の言葉が、悲鳴に変わる。
「里美さん?!」
尚子は驚いて叫ぶが、しばらくの間、悲鳴は続いた。
ややあって、再びエレノアの声が響く。
『今の悲鳴、聞こえてますよね? 早川さんを、少しばかり痛めつけさせてもらいました。……これでもまだ信じないなら、写メを送ってもいいですが、どうします? 復讐をやめて、夏目さんにごめんなさいしてくれますか?』
だが、尚子はそれに答えられなかった。スマホを握りしめる手が、小さく小刻みに震えていた。噛みしめた唇が切れて、血が伝う。
やがてその手からスマホが落ちて、地面にころがった。
バッグの中から『黒い人形』を取り出し、胸元にきつく抱きしめる。
「消えろ……」
地面を見つめ、低く呟いた彼女は、すぐさま顔を上げた。
「消えろ、消えろ、消えろ、消えろーっ!!」
まるで獣が咆哮するかのように、絶叫する。同時に人形が、不気味に赤く光ったように見えた。
途端、あたりに見えない風の刃が荒れ狂う。
「エインズワースの奴、何をしたんだ……!」
エレノアの目的を知らなかった刀は、小さく舌打ちしてぼやくと、手にしていた袋の中身をぶちまけた。
あたりに、夜目にも白い粉が舞い散る。袋の中身は小麦粉だった。
彼は同時に手にしていた刀、『刃引き刀』を抜くと、ろっこん『加速』を発動させた。
宙に舞う小麦粉が、風の刃の軌道を描き出す。
もともとは、めくらましに使おうと持って来た小麦粉だったが、『かまいたち』をよけるのにも役立っていた。
そのさなかに、新たに駆け込んで来た巨大な影が一つ。
尾鎌 蛇那伊
だった。
実は彼、倫理子にまかれたふりをして、気配を消し、ずっと彼らのあとを追って来ていたのだった。
斗南や勇樹と同じく、彼の目的も人形を奪って破壊することだった。
少なくとも彼は、尚子の復讐心そのものは、否定するつもりはなかった。
(復讐したあとに、自分の罪を認めるなら、手助けはしないけど、見逃したいぐらいよ。ただ、『黒い人形』が関わっているなら、話は別ね。止めなきゃいけないわ)
そう考えて、里美の依頼を受けた。倫理子のあとを追ったのも、人形が本物なら、こちらも奪って破壊しなければと考えたからだ。
だが、彼らの会話で、倫理子のものは偽物だと判明し、彼の目的は再び尚子の持つ人形へと戻った。
アリーセからのメールで、人形の力は神魂とは関係ないと知ったが、それでも彼の目的は変わらない。
彼は気を練り上げると、一気に尚子に肉薄した。
降り注ぐ風の刃はあえて受け、彼女に拳をふるう。
彼女が気絶するか、暴走状態から脱するまで、打撃を加えて行くつもりだ。
「この状態じゃ、言葉では止まらないわ。心を鬼にしてでも、力でねじ伏せるしかないのよ!」
そう叫んで、彼は拳をふるい続ける。
彼の参戦に力を得たように。
小麦粉によって描き出される『かまいたち』の軌道をかいくぐり、六花と林檎は尚子を取り押さえようとし、仄は人形を奪おうと尚子に飛びかかる。
『加速』した刀は、そんな彼らの誰より早く間合いを詰め、首を刈るように人形へと斬撃を叩き込む。
だが、風の刃は一同に更なる激しさを増して襲いかかって来た。それはまさに、刃を持った嵐のようだ。
「つっ……!」
なんとか『刃引き刀』で防いだものの、さすがの刀も後退するほかはなかった。
六花も林檎も仄も、降り注ぐ『かまいたち』になぎ払われ、傷を負って道の端に倒れた。
最後まで戦おうとしていた蛇那伊も、今は体中ズタズタで立っているのもやっとの状態だ。
瓢と倫理子は、なんとかその嵐を逃れて電柱の影に身を潜めていたが、もはや敵味方の区別すらつかないらしいその刃は、下手に飛び出せばすぐにも襲いかかって来そうだった。
そんな嵐をまとったまま、尚子は歩き出す。目的地である麻衣のアパートに向かって。
その一部始終を、少し離れたところから見やっていたのは明日斗だった。
「暴走モードに突入ってところかなぁ」
小さく口笛を吹いて呟く。
戦っていた斗南と勇樹、雅也の三人からは、尚子たちが充分離れたころを見計らって、逃れて来た。
彼の目的は、三人の足止めであって、倒すことではないからだ。
「……ともかく、僕は最後まで尚子君の復讐を見届けよう。麻衣君に逃げられても困るしねぇ」
再度呟き、そのあとを追って行く。
一方、瓢と倫理子も。
「私は、彼女のあとを追うわ」
歩き出す尚子を見やって言うと、倫理子は電柱の影から歩み出た。
「あっしも、最後までつきあうよぃ」
言って、瓢もそのあとを追う。
(でないと、目的のものは手に入らないからねぇ)
と胸に呟きながら。
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ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
バトル
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年09月26日
参加申し込みの期限
2015年10月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年10月03日 11時00分
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