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終焉幻想曲 NO.222
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熱帯びた瞼を開いて見たのは、夢もない眠りに落ちる前と同じ、フツウを破壊され尽くした町。
「あ、起きた?」
傍らから掛けられた黒髪の少年の声に小さく頷き、
城山 水樹
は泣き腫らした瞼と頬を擦る。心に黒くこびりつく不安を少しでも払い除けるべく、涙の跡が残る頬を両手でぱちん、叩く。
「ありがとうね」
手製の武器を作りがてらとは言え、起きるまで傍らにずっと居てくれたらしい少年に華やかな笑顔を向ける。階段の上に立ち上がり、不安に押し潰されそうな背筋をぐっと伸ばす。
「知ってる? いい女の条件はね」
小さく笑ってみせる。
「……最後まで諦めないってこと!」
艶やかな女性の笑顔に、
七峯 亨
は武器作る手を止める。希望失わぬ黒い瞳を明るく輝かせる。
「さっすが、いい女は言うことが違うぜ」
「でしょう」
おどける少年から手製の武器を譲り受けて後、水樹は教会の敷地へと視線を巡らせる。焼け焦げた芝生の上に横たわって呻く幾人もの怪我人、ひとりきりでうずくまる子ども、心細げに肩を寄せ合う兄弟。高校生らしい少年少女たちが懸命に立ち働いてはいるものの、手が足りているとは到底言えない。
(……少しでも慰められれば)
荒んだ町を見据え、淡々とした手つきで武器を作り続ける少年にもう一度謝意を告げ、水樹は教会の前庭に足を運ぶ。焼け焦げた蔦薔薇の下で膝を抱える幼子の前に膝をつく。
「お姉さんとお話してくれない?」
殊更に明るい声で話しかける。子どもの冷えた手を取り、小さな頭を抱きしめる。
そうしながら想うのは、安否の知れぬ家族。
(無事でいて)
儚い希望と分かっていて、だからこそ強く強く祈る。
思い出したように泣きじゃくり始める子どもの体をきつく抱きしめる水樹の痛みを堪えるような瞳に、崩れた鐘楼を眺める態で庭に立ち尽くす藍の着物纏った黒髪の少女が映る。
血と泥に汚れた着物の袖の手にしているのは、模造刀だろうか。
悲嘆と恐怖と、ほんの僅かな希望に染められたその場の空気に、彼女だけが馴染んでいなかった。まるで意思持たぬ人形のように微塵も動かず佇んでいた。
少女が纏う場違いな静寂に、水樹は思わず瞳を瞬かせて、次の瞬間、
「敵だー!」
階段の方角に響き渡る敵襲知らせる声に、次いであちこちに湧く人々の悲鳴に、大きく見開く。パイプに包丁を結わえ付けた武器を手に握り締め、もう片手に子どもに手を引き、水樹は立ち上がる。
「礼拝堂に!」
子どもの背を押し、怪我人を助けあげ、水樹はともかくも壁に囲まれた礼拝堂の内へと人々を誘導する。
階段の下から、群れたナニカの咆哮が聞こえる。ナニカの侵入を阻むべく階段の間際に立ち塞がろうとする人々、我先に礼拝堂に駆け込もうとする人々。悲鳴と怒号と、混乱に満ちる前庭の中、それでもただ立って動かぬ和装の少女の手を、水樹は掴む。
「しっかりしなさい! 逃げるなら逃げる、戦うなら戦う!」
叱咤されて、けれど少女は茫洋とした表情を崩さなかった。
「それは、……命令、かい?」
呟いて、
哀坂 子夜
は黒い瞳を瞬かせる。必死の表情をする水樹を見、階段の下から徐々に姿を現す獣のかたちしたナニカを眺める。
敵意を向けられない限り、戦う必要はない。徹底した傍観者の瞳で、子夜は水樹を再度見つめる。
「命令、って……」
「君は、私に命令、するかい?」
命令さえ下れば、それがどんなものであろうと従う。子夜はそう『教育』された。自分の命さえ関わる修羅場にあって、否、だからこそ、子夜に施された『教育』は確固として揺らがない。
人形のような子夜に鼻白む水樹の背後、悲鳴があがる。教会に至る階段を守っていた人々の一角が、黒狼のかたちしたナニカの群によって押し崩され、荒ぶる獣が数体、教会の敷地内に侵入する。
逃げる背後から押し倒され、うなじに食いつかれた男が断末魔をあげる。瓦礫を背に追い詰められた子供達が抱き合って泣き叫ぶ。逃げ遅れた人々が次々と獣の牙に、爪にかかって倒れてゆく。
獣の一体が庭の半ばに立ち尽くす子夜と水樹に迫る。
「っ……」
獲物を定めた歓喜に鋭い牙を剥き出して笑う獣に、水樹は手にした武器を握り締める。子夜の手を離し、獣と相対するには如何にも頼りなく見えるパイプ薙刀を決死の思いで構える。
「……生きて」
震える瞳で獣を見据え、水樹は少女に命じる。
「生き延びなさい」
「……分かった」
命令を躊躇わずに受け入れる少女の声を耳に、水樹は微かに笑う。己を殺し喰らおうとする獣に向け、笑おうとしてみる。
「タダで殺されてあげるほど、私は親切じゃないわ」
少なくとも、彼女が逃げ延びる時間稼ぎくらいはしてやらなくては。
(死ぬつもりはないけど)
ヤケになったつもりもない。ただ、この身を挺さねば守れぬ人々がいる。そう判断しただけ。
「ッ、ぅあぁああ!」
震える足を精一杯の声で励まし、地を蹴る。刃を構え、死に物狂いに獣に体当たりをする。
「子夜ちゃん!」
与えられた命令に従い、その場を離れようとする少女の反対側の手を、小さな手が包み込む。感情のない子夜の瞳が、己を覗き込む黒髪を結い上げた少女を写し取る。
「若菜君」
顔と名を知る高校の後輩の名を呼んで、それでも子夜の感情は微塵も動かない。
この状況にあってほんの僅かな感情の揺らぎも見せぬ子夜の手を、
十文字 若菜
はきつく握り締める。もう片手に持った、ろっこんを発動させるための硝子をきつく握り締める。
「っ……!」
敷地内に侵入し人々を蹂躙する、人よりも大きな体躯した獣に、若菜は短く息を呑む。
崩れ去るフツウに、最初は恐怖した。
(でも)
子夜と水樹を、その後ろの礼拝堂を背に守り、若菜は襲い掛かる獣に立ちはだかる。手にした鏡を高く掲げる。
(このろっこんで守れた命があった……だから、)
誰かを守ることができる。その思いは若菜を奮い立たせた。
(もう怯まない)
怖くないわけではないけれど、それでも、この力で守れるものがあるのなら、
(私はこの力で皆を守る)
掲げた硝子を地面に叩きつける。力を使うときに備えてポケットに持っていた幾つもの鏡も取り出し、続けざまに割る。子夜の前に、獣に振り払われて地面に倒れ伏す水樹の前に、出来る限りの広範囲に、硝子片を撒き散らす。
散らばる硝子片が、若菜のろっこんの力を帯びる。
「ここは絶対に通さない!」
若菜の決意を顕すが如く、硝子片の散らばる範囲に、なにものも通さぬ見えない壁が生み出される。
「守ろう、子夜ちゃん」
若菜の作り出した防御結界に狼じみた巨大な体をぶつけては怒り狂う獣を見つめたまま、若菜は掠れた声で告げる。
「皆を守って、皆で生き延びよう」
「それは、命令かい?」
「……そう取られても構わないよ」
若菜から肩越しの真摯な瞳を向けられて、子夜は無表情のままに頷く。先に下された命令と、若菜から下された命令。矛盾があるのならば優先させるは先に下された命令であるけれども、ふたりから与えられた命令に矛盾はないように思える。
(生き延びて、皆を守る……)
そのためにすべきことは、ただひとつ。
手にした模造刀を鞘走らせ、若菜の防御結界の前に唸る化物じみた獣を見遣る。この刃で魔物を相手にするにはいかにも不足。
ろっこんの力を作用させるべく、抜き放った刀を地面に突き刺す。模造刀を媒体にろっこんの力を纏わせれば、模造刀は鬼をも断ったとされる名刀となりかわる。
天空の暗雲渡る怪しい紫電さえ白々とした透き通る光に変えて、子夜は鬼切りの刀を構える。命令は下された。なれば両腕がもげようと敵の首を取ってみせよう。皆を、守ろう。
「サァカモォン!」
悲劇さえ吹き飛ばそうとするかのような、
志波 武道
の明るい声が朗々と響き渡る。
「この教会の平穏が今の俺が護るべきフツウダゼィ!」
生徒会長の瓢けた声の裏側に潜む、生に対するどこまでも真摯な願いを聞き取って、若菜は全身に力をこめる。背筋を伸ばして立つ。
階段の際、これ以上の獣の侵入を防ぐべく、武道が立っている。既に侵入した獣からの挟み撃ちを嫌ってか、日本刀を手にした
楪 櫻
が武道と背中合わせに立っている。
背の護りを武道に預け、櫻はろっこんで具現化した日本刀を腰だめに構える。真直ぐに突っ込んでくる獣の姿を見据え、気息を整える。
抜刀術の師範である祖父に鍛えられた己が一番役にたてそうなのは、料理でもなく怪我人の看病でもなく、やはり襲い掛かる敵への対応だと彼女は信じる。
教会にいる人々も、一緒に戦う人々も、己の背を預ける武道も、
(守る)
それが武器を持てる己の、刀を振るえる己の務め。
(私は、守るために戦う)
ここで怯んでしまえば、教会にいる戦えぬ人々に被害が及ぶ。それだけは避けたい。
(だから……)
己が己であるが故に、力及ぶ限り、守らなくてはならない。
(私は一歩も退かない)
退くわけにはいかない。
櫻の喉元を狙い、目前で獣が跳躍する。圧倒的な重量と速度でもって押し倒そうとしてくる獣の、だからこそ無防備な胴に向け、
「……ッ!」
櫻は抜き放ち様であるが故になにものよりも速く重い刃を振るう。獣の力を圧する一撃で、獣の胴を半ばまで切り裂く。獣が血に落ちるよりも早く血脂に汚れた日本刀を捨て、模造刀を手にする。続けざまの一撃を、横合いを駆け抜けようとした別の獣の首に突き立てる。
「やっぱ凛々しいね、おねーさん。助かったぜ」
軽い口調で話しかけられて視線流せば、顔を知る少年が階段に腰をおろしたまま、武器に縋るのとは反対の片手をひらひらと振っている。
敷地内に満ちていた悲鳴や怒声が絶えていることに気付き、櫻は息を吐きだす。ぐるりを見回し、教会に侵入した獣のかたちしたナニカが全て斃れていることを確かめる。階段を駆けて来るナニカも、今は絶えた。化物の牙に傷負わされた人々がいる。それどころか食い殺された人々もいる。
それでも、今回はどうにか耐え凌げた。
「ホラ立て少年、傷は浅いゾ」
「おう、何てことねぇ」
武道に腕掴まれ、
七峯 亨
はパイプ薙刀を片手に立ち上がろうとして、立てずにその場に膝をついた。ぼたぼたと、大量の血が腹から地面に落ちる。
「……あーあ」
獣の一陣に襲われた際に食い破られた脇腹を押さえ、亨は手製の薙刀を投げ出す。
「くそ、ざまぁねぇ」
吐き出す罵声に血の味が混じって、亨は黒い瞳を歪める。
「血が……」
「パンチラでも見せてくれりゃ血くらい止まるぜ」
駆け寄ってくる若菜に、
「しっかりしなさい!」
「あ、胸チラでもいいぜ」
青褪めた顔で手を握ってくれる水樹に、笑いかける。
水樹の傍ら、人形じみた白い顔で立つ子夜に血塗れの手を伸ばそうとして、やめる。思考の全てを奪って襲い来る痛みに息を詰める。
「……頼み、が」
最期の願いを託そうとする声さえ痛みに掠れて、膝をついていることも出来なくなって、亨はその場に体さえ投げ出す。どうしようもない痛みが悔しくて呻いて、
とん、と傷口に衝撃。
堪えようもない痛みが襲いくるはずの衝撃は、けれど反対に亨の身から痛みを消失させた。
「ほら痛くなくなったでしょー、手品だよ☆」
手刀のかたちにした手を亨の血で濡らして、武道が淡く、悲しく笑う。
「大したもんだぜ」
ろっこんで痛みを麻痺させてくれた武道に目礼し、亨は身を起こす。透徹した瞳で子夜を見つめる。お菓子でもねだるように、軽く、
「介錯を」
請う。
「それから、――姉さんの持つ全手段を以て、生存を」
「それは、命令かい?」
問いには答えず、ただ微笑む。
命令に従うことしか出来ぬ彼女に、己が願いを命令と取らせることも厭わなかった。そうすればきっと彼女は己の言葉通りに生き抜こうとしてくれると解っていたから。
「生き抜いて、そうして、」
口にするのは、今は行方知れずの好敵手に対する言伝。
亨はただ静かに、想い人への最期の言葉を子夜に託す。
「貴方の弟と、また想い競い合ったかの人に。力及ばず先に逝きます」
痛みはなかった。ただ、力ばかりが体から抜けた。早く、と亨は思う。こんなところで皆の足を止めさせているわけにはいかない。
だから早く言伝を済ませよう。命を、愛しい人の姉に預けよう。
「咲く月は何時も綺麗でしたよ、と」
命令である言伝を一言も洩らさず胸にしまい、子夜は無表情のままに頷く。介錯のために刀を抜き、亨の前に跪く。
「……私は、命令に従うだけの、ネジが壊れた人形だ」
だから、と零す。だから、死に逝くものへの言葉がよく解らない。
子夜の感情の無い言葉を受けて、武道が小さく応じる。武道から告げらけた言葉をそのまま、子夜は受け継ぐ。
「ついててあげるから、ゆっくりおやすみ……」
亨を抱きしめるようにその腕に捕らえ、――囁く声と同じに、その胸の鼓動を奪う刃を滑り込ませる。
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SF・ファンタジー
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定員
15人
参加キャラクター数
15人
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シナリオガイド公開日
2015年09月22日
参加申し込みの期限
2015年09月29日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年09月29日 11時00分
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