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終焉幻想曲 NO.222
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寝子島大橋の袂に立つ。
ここに至るまで、多くの死を見た。破壊と暴虐と絶望を見た。
(……ここもか)
毒の血の色に染まった海を足元に、暗雲蠢く血色の空を頭上に、
御剣 刀
は鋭利な刃思わせる黒い瞳を憮然と細める。
昨日までは透き通る青の海が橋の下に広がっていた。
昨日までは澄んだ晩秋の青空がどこまでも続いていた。
それなのに。
大橋の央に大胡坐で居座る黒い影を見遣る。身の丈は人の倍ほどの黒毛の大猿のその周囲には、僅かな希望求めて大橋を渡ろうとした島の人々の遺体。
大猿が歯を剥き出して嗤う。足元に転がった死体のひとつを無造作に掴み上げ、橋の下に広がる毒の海へと投げ捨てる。気紛れに死体の腕や足を食い千切る。
「ッ……!」
はらわたの煮えくり返るような怒りに駆られ、刀は腰に差した刀剣の柄を握り締める。鞘走らせ今にも切りかかろうとした刀の動きを止めたのは、橋の欄干に縋りつき、そうすることでようやく立ち上がっていられる女。女の腰にしがみついて、自分のものでない血に全身を濡らした幼子。
おとうさん、と叫ぶ子どもの視線の先には、大猿とその周囲に転がる幾つもの死体のひとつ。
生きたい。
当たり前のことを当たり前に願い、その願いを叶えるため、僅かな希望を頼りに本土に渡ろうとした男の末路と男の家族を眼前に、刀は奥歯をかみ締める。
女が子どもの手を握り締める。縋っていた欄干を離して自分の足で立つ。
死体を弄ぶことに気をとられる大猿の隙を縫い、橋を渡ろうとする女を、
「やめろよ、どうせ本土も同じに滅んでる」
橋の手前、ひしゃげた車の影に座り込んでいた若い男が止めようとする。
「あんたが縋っている希望に意味なんてねぇ」
夫を失ってすら縋ろうとした微かな希望を真っ向から否定され、女が青褪めた顔を引きつらせる。
「そんなの知るか」
女に尚も言い募ろうとする若い男を一瞥し、刀は低く吐き捨てる。
「それはそこにたどり着いた奴らが自分で決めることだ」
だから、と低く低く、今度は大橋の央に陣取る大猿に向けて吼える。
「橋を渡らせろ」
「無駄だ、やめろよ」
悲鳴じみて喚きたてる若い男を見もせず、白刃を抜き放つ。
「邪魔するな、死ぬぞ」
「それ、違法だよね」
キ、と車のブレーキが軋む音と共、物静かな声が掛かる。
「そんな話のできる状況じゃないだろう、気にするな」
不機嫌に眉寄せて振り返れば、灯油の赤いポリタンクを大量に荷台に積んだ軽トラックが背後に停まっている。開いた窓からちらりと手を振る白銀の髪の少年に、刀は破顔した。
「デイジーカッター」
「今日は、御剣」
フツウの放課後に偶然出会ったかのように微笑む
サキリ・デイジーカッター
に、刀は今度は苦笑する。
「そっちも違法だろう」
「上手いものだろう」
道端で見つけた車を見様見真似で運転し、途中のガソリンスタンドで見つけた灯油缶を大量に積み込んだ。
「……それも」
刀剣を手にしながらも至極落ちついた眼差しの刀に助手席に投げ出したマチェット二本を指摘され、サキリは銀髪の下の紅の瞳を細める。
「キャンプ用品だ」
少なくとも、教会を出てすぐのキャンプ用品店で調達したことに間違いはない。
お互いの目的を同じとするふたりは短い笑みを交わす。
「とりあえず突っ込むけど、乗るかい?」
「ああ」
血塗れの饗宴を繰り広げる大猿の後ろ、退屈そうに伏せる大猿よりも更に巨大な黒犬の姿を睨み据えたまま、刀は頷く。迷わぬ動作で軽トラックの荷台に飛び乗る。
「それも違法だね」
「……気にするな」
エンジンが唸る。サキリがアクセルをめいっぱい踏み込むと同時、荷台に掴まる刀の身に風と振動が押し寄せる。
微塵の恐れも見せず向かい来る少年ふたりに、大猿が死体を投げ出して嗤う。大犬が億劫そうに立ち上がる。
刀は揺れる軽トラの荷台から化物を見据える。猿の濁った黄色い眼の動きを捉える。引き締まった筋肉で鎧われた大犬の四肢の動きを、呼吸を見つめる。
白刃を片手、車の荷台に仁王立つ。脳内に拳銃を思い描く。
「行くよ」
「おう!」
ふたりを敵と定め、大猿が吼える。毛むくじゃらの太い腕を振り回し、車に飛び掛る大猿のその動きよりも一呼吸早く、刀は頭に描いた拳銃の劇鉄を落とす。
瞬間、世界が動きを止める。
実際はその逆、刀の身と精神が凄まじい速度を得る。
動きを止めて見える世界を置き去りにして、刀は荷台を蹴って飛び出し駆ける。
(遅い)
ゆるゆると動きはするものの、
(止まってみえる)
鋭い爪の初撃を刃に受け流す。軽トラックに向けられる攻撃の軌道を逸らすと同時、心に呟いて、ろっこんの作用を止める。速度を取り戻す世界で、刀は受け流した力を反対に利用さえして大きく跳び退る。
地面を汚す血糊に靴底を滑らせながら着地する。その瞬間に刀が見たのは、アクセルを緩めず大猿に激突する軽トラック。刀の動きに気を削がれ、避ける間もなく重さ八百キロはある鉄塊の衝突を受け、大猿が地に這う。荷台に満載されていた灯油缶が宙に舞い、次々に大猿にぶつかる。鼻を突く臭気を撒き散らし、灯油が大猿の被毛にかかる。
「特攻かよ」
「違うよ」
体勢を立て直しつつ眉を寄せる刀の傍ら、ろっこんの『斬空舞踏』で軽トラの運転席から瞬間移動し脱出したサキリが立つ。灯油の臭いに困惑し両腕を振り回す大猿を見つめたまま、ポケットから取り出したマッチを擦る。流れる動きで炎を放る。
橋を黒く濡らす油に炎が奔る。気化した油が轟音たてて爆ぜる。灯油塗れの大猿の身を、大猿に弄ばれていた何体もの遺体を、一瞬にして炎が包み込む。断末魔の咆哮が橋上に響き渡る。
押し寄せる熱風を、けれどサキリは浴びない。
抜き身のマチェットで空間を切り裂き、踊る炎の奥で猛る大犬の目前に瞬間移動する。華奢な両手に似合わぬ山刀を、手慣れた仕草で、甘やかな笑みさえ唇に滲ませ振るう。
小柄な全身を使い、黒い被毛に覆われた大犬の腹を分厚い刃で削ぐ。大犬が唸り牙を向けるよりも速く、ろっこんを使う。攻撃の届かぬ位置に飛び、息つく間もなく再び敵の死角に己が身を転移させる。続けざまに犬の肉を削ぐ。
殺傷能力の高いマチェットであっても、柔らかな被毛と皮肉に包まれた犬の身に致命傷を負わせることはできない。サキリの一撃は化物に対しては軽い。それでも。
視力では追えぬ素早い動きに翻弄され、大犬が焦れる。蓄積してゆく傷に犬の動きが鈍る。前肢が直前までサキリの居た空を掻く。牙剥き出した顎が、鞭じみてしなる尻尾が、無闇に暴れる。
大猿を包む炎を背後に立って、サキリは吠える大犬を静かに睨む。乱れぬ息を鋭く吐き出し、大犬の血で滑る樹脂の柄を握り直そうとして、
「デイジーカッター!」
刀の声と共、背に降り掛かる熱を感じた。振り返るより先、手にした刃で空を裂く。
「危ないね」
炎に巻かれてさえ動く大猿の攻撃から空間を渡って逃れた先は、大犬の死角である頭上。三角耳の頭を滑り、筋肉に覆われた頸に分厚い刃を突き刺し止まる。急所に刃を深く突き立てられ、大犬が悲鳴を上げる。痛恨の一撃に暴れる犬の背に、サキリは小柄な全身でしがみ付く。
「そう暴れるな」
低く、嗤う。
激しく揺れる視界の端、燃え盛る炎を跳び越し駆け寄る刀の姿。強靭な前肢の攻撃を掻い潜り、一切の惑いもなく振るわれる白刃が、大犬の目玉を貫く。
瞳を潰され、犬がよろめく。
犬の血を纏うた刃が閃く。
「今、楽にしてやるから」
囁きかけ、サキリは刀が犬の喉に刃を向ける動きに合わせ、満身に力を籠める。筋肉の隙間に捩じ込んだ刃を両手に掴み、身を捻る。
刀が犬の頸を斬りあげる。サキリが犬のうなじから己が身ごと刃を引き落とす。
犬の首が落ちる。一拍遅れて大量の血が噴き出す。
鮮血浴びつつ地面を転がり、サキリは素早く起き上がる。脂が巻いて切れ味の鈍ったマチェットを無造作に捨て、白い頬を汚す犬の血を掌で拭う。
「これで大丈夫だろう」
「そうだね。僕は本土に渡るけど、御剣は?」
「念の為に橋を渡るまでは一緒に行く」
「島に戻るのなら、星ヶ丘教会へ行ってくれないかい」
血に塗れた銀髪をかきあげ、サキリは暗雲轟く島へと視線を送る。星ヶ丘教会に立てこもる人々が居ることを伝えれば、サキリがかなりの使い手として一目置く同学年の少年は力強く頷いた。安堵を示して、サキリは小さく笑う。
「頼むよ」
「……恐いの嫌だもんな」
恐ろしいほどの刀術を使うその癖、少年じみた述懐を洩らす刀に、サキリはまた笑った。
「必ず帰って来い」
「それ、志波先輩にも言われた」
肩を並べ、少年ふたりは本土へと続く橋を渡り始める。橋の先にあるものが希望であると一途に信じて。
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阿瀬春
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年09月22日
参加申し込みの期限
2015年09月29日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年09月29日 11時00分
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