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御剣 刀
は鮮烈な赤の上着にダーク系を合わせた服装でキャットロードを足早に歩く。建ち並ぶ店に頻りに視線を飛ばす。
「ここらにあると思うのだが」
投げ込みチラシの情報によると、今日は新しく開店したスポーツ店の特売日に当たる。該当商品の中には剣道の道具も含まれていた。
刀が店に顔を向けていると側を長い黒髪が通り抜けた。
一瞬で向きを変えた刀がピンクのブラウスの背に声を掛ける。
「千歳なのか?」
赤いチェックスカートを広げて
橘 千歳
が振り返った。
「刀君、こんなところで会うなんて珍しいわね。何か用事でも?」
「いや、特に急ぐ用事ではないよ。千歳は買い物に来たのか」
「何も考えてなくて、ただの散歩みたいなものよ」
千歳はサイン会と書かれたチケットを手の中で丸めた。
二人は何かを言いたそうな顔で向き合う。
「少し歩かないか」
「ここに立っていても仕方ないよね」
千歳は刀の提案をそれとなく受け入れた。
二人は通りを並んで歩く。周囲には若い恋人達が多く見られた。大半が手を繋いでいる。腕を組んでいる者もいた。
目のやり場に困った刀は素朴な外観の店を見つけた。木造の作りに表情が和らぐ。
「千歳、あの店に寄っていかないか」
「ロッジみたいね」
落ち着いた雰囲気に引き寄せられ、二人は店の中に入っていった。
無限の白さに包まれた瞬間、刀は思い出したように口を開く。
「ここは過去創造館なのか」
「刀君、ここを知っているの?」
「知っていると思うんだけど、前の時はラーメン屋で……」
話を聞いていた千歳が悩むような表情を作る。説明の難しさに刀は言葉に詰まり、目が周囲に助けを求めた。
白いタキシードを着た人物が、いつの間にか側に立っていた。
「過去創造館に足を運んでいただき、誠にありがとうございます。今回は外観を個々の好みには合わさずにロッジ風に限定しております」
「そう、そういうことなんだよ」
「そんなことが出来るなんて、凄いわね。それで過去創造館の目的は?」
「案内役である私がご説明致します」
タキシードの人物が早々に説明に入る。二人は内容に真剣な表情で耳を傾ける。疑問で話が中断することなく、数分で話が終わった。
刀はタキシードの人物に向かって話を切り出した。
「俺が幼い時に一緒に過ごした祖父との過去を見せて欲しい」
「もしかして、
あの時
の話に関係ある?」
千歳の問い掛けに刀は頷いた。
「千歳が幼かった頃に過ごした神社を俺に見せてくれたよな」
「人が少なくて寂しいところだけど」
「俺は嬉しかったんだよ。だから、今度は俺の番だ。実際に連れていく機会がなくて、悪いとは思うが」
「そんなことないよ。私も昔の刀君の姿を見てみたいわ」
「お決まりのようなので席をご用意しました」
ピンクの二人掛けのソファーは小ぶりでベルベットのような光沢を纏っている。先に刀が遠慮なく座った。柔らかい感触に驚き、千歳に身振りで伝える。
「座り心地が良いのは嬉しいけど、私には少し小さいように思えるわ」
恥ずかしそうな表情で躊躇う千歳にタキシードの人物が耳打ちした。
「サービスでございます」
にこやかな表情に千歳は何も言えなくなり、呼ばれるままに刀の隣にちんまりと座った。
大きな門構えの奥にどっしりとした平屋が建っている。武家屋敷のような重厚な作りであった。
刀は顔を近づけるようにして見入った。
「これは凄いな。本物みたいだ」
「ここが刀君のお祖父さんの家なのね」
「そうだよ。俺が小学校低学年の頃に暮らしていた時の家だ。瀬戸内海の島の一つにあって、小さい俺には無意味に大きく思えたな。あの横にあるのが道場だ」
本宅に並ぶようにして建てられた道場を指差す。少し大きめの道着に身を包んだ幼い刀がボサボサの頭で走って向かう。目にした千歳は笑みを浮かべた。
「この時、少し遅れてしごかれるんだよな」
幼い刀は道場に駆け込んだ。祖父は声を荒げることなく、鋭い眼光を浴びせた。急いで壁際に置いてある木刀を右手に掴んだ。素振りをしている門下生の中に走って加わり、小さい身体ながらも大きな声を発して練習に打ち込む。
見ていた千歳は気付いたことを口にした。
「道場の大きさにしては人が少ないわね」
「ここは小さな島で元々の島民の数が少ないんだ。その中で剣術を学ぼうと思う人は本当に少数で、祖父さんの門下生に俺と同じ年齢の人は誰もいなかった」
祖父の声を受けて素振りが終わる。次に二人一組の打ち込み稽古が始まった。幼い刀の相手は道場主の祖父であった。
「木刀なのに防具は付けないの?」
「そう言えば付けなかったな。稽古では竹刀じゃなくて木刀をよく使っていた」
道場のあちらこちらから澄んだ音が連続で響き渡る。木刀の一閃を手首に受けて蹲る者もいた。祖父は目敏く見つけて冷水の用意を別の門下生に指示した。
目にした千歳の表情が歪む。
「見ているだけで痛みが伝わってくるわ。刀君は大丈夫だったの?」
「祖父さんは強いだけじゃなくて上手かった。だから大体は痣くらいで済んだよ」
刀は気軽に不穏な内容を口にした。
「大体ってことは――」
甲高い叫び声が言葉を掻き消した。幼い刀が力強い踏み込みで祖父に木刀を振り下ろす。易々と胸元で受けられ、横へと流された。自身の勢いで体勢を崩し、派手に前に倒れ込んだ。
祖父は下半身の弱さを指摘した。幼い刀は悔しそうな顔で相対し、拙い足捌きを交えて斜めから打ち込んだ。祖父の真横の一閃で木刀は簡単に弾かれ、下半身にまで及んだ。ふらついた一瞬を見逃さず、風切る一撃が幼い刀を襲う。
額まで数センチ。木刀は見事に停止した。幼い刀が安心した直後にゴツンと鈍い音がした。
「なんでだよぉ」
幼い刀が頻りに額を摩る。祖父は涼しい目で、気を抜くな、と注意した。
「この時は少し痛いくらいで済んだけど、俺の受け方が悪くて額が割れたり、骨を折ったりもしたんだよな」
「そんなに厳しい練習なのに耐えたのよね。逃げたくならなかったの?」
「逃げることは考えなかったよ。稽古で力が出せなくて、ただ悔しくてさ。その気持ちは何をしても忘れられなくて、そうなったら練習するしかないだろう?」
「忘れたくて、一つに打ち込む気持ちは、私にもなんとなくわかるわ」
千歳は途切れがちな声で言った。
「それで早朝や深夜に一人で木刀を振っていたんだよな」
刀は木刀を握る真似をして振り下ろす。何かを思い出したのか。僅かに表情を緩めた。
「俺からしたら精神修行の方が辛かったよ」
「そうなの?」
「広い敷地の全ての掃除と草刈りを一人でやらされたんだ」
刀の言葉で場面が一変した。幼い刀が首にタオルを下げた状態で突っ立っていた。握る拳が震えている。
「こんな広いところ、一人で出来るか!」
言葉の通り、裏庭は雑草で緑の草原と化していた。
「そう、はっきり思い出した。こんな感じで朝から日が落ちるまで頑張ったんだ」
「それで、最後はどうなったの」
千歳の声で辺りは夜になった。幼い刀は仰向けになって星空を見ている。周囲には幾つもの雑草の山が出来ていた。
「案外、何とかなるもんだ」
刀は千歳に向かって微笑んだ。
映画を観た余韻を味わうように二人は白い空間を眺めていた。
「あの、刀君。私の話を聞いてくれる?」
「俺で良いなら」
白い空間が一気に色付く。遠方には海に浮かぶ島々が見える。晴れた空が微かな海風を運んで千歳の長い髪を揺らした。
「懐かしいな。稽古のあと、よくここで夕陽を見たよ」
「穏やかな風景を目にすると心が軽くなる感じがするわ」
「そうか」
刀と千歳は凪の海を眺めていた。
「……私は刀君みたいに純粋な気持ちで剣道をしていなかったわ」
「そうなのか?」
刀は千歳の目を見て言った。
「今はね。でも、最初は違ったわ。優秀な姉と比べられるのが嫌だったからよ。母には乗馬やテニスを勧められたけど、それでは比較されてしまうものね」
「そんな理由があったのか」
「それで中学の時に剣道部に入部したわ。七歳まで住んでいた京都の神社には道場があって、そこで稽古している人達を見たのも少しは動機になっているかもね」
千歳は視線を外して自嘲気味に笑った。
「剣道の稽古はそれなりに頑張ったわ。一つに集中すると、他のことは忘れられるから。こんな不純な動機で剣道を始めた私が純粋に稽古に打ち込む刀君と、一緒にいる資格はあるのかな……」
弱々しい目で海を眺める。
「千歳が剣道を始めた理由を俺は不純とは思わない。それに毎朝、俺と一緒に練習に励んでいるのは千歳の意志だよな」
「それはそうだけど……」
刀は千歳の両肩に手を置いた。強引に自分の方に振り向かせる。
「資格とか、そんな難しいことはどうでもいいんだよ。今の気持ちが大切なんだ。俺は千歳に傍にいて欲しい。だから、傍にいろよ」
熱い想いを言葉に乗せる。千歳は驚いた表情から突然に笑い出した。逆に刀が動揺して、どうしたんだ? と戸惑いの声を出した。
千歳はソファーから立ち上がり、数歩を歩いて振り返る。
「あのね、刀君。私を励ましてくれているのは分かるけど、今の台詞はプロポーズに聞こえるわよ」
「え、傍にいろよ、ってところか。いや、でも、そうなのか?」
深い悩みに突入する寸前で千歳は刀に向かって言った。
「刀君、ありがとう。少し元気になったわ。姉と比べられるのを嫌がったのに、今度は刀君と比較するなんて、ね」
瀬戸内海の素晴らしい眺望は白い波に攫われた。
白い空間で二人はタキシードの人物に礼を言うと出口へと歩き出した。前を行く刀の背中を見ながら千歳は頭の中に思い浮かべる。
――朝練を終えた、この一時が楽しいの。頬の緩みは自覚しているわ。きっと締りのない顔で刀君を見つめているのよね。本人はお握りに夢中で気付いていないと思うけど。
「……私の剣道は、やっぱり不純なのよ」
千歳は寂しそうな笑みで呟いた。
「千歳、早く来いよ」
「刀君が早いのよ」
千歳は怒ったような態度で刀の元に走っていった。
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グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年07月30日
参加申し込みの期限
2015年08月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年08月06日 11時00分
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