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明るい空の出番は終わり、煌びやかな地上の夜が始まった。人種まで変わったかのように派手な服装の人々が通りを行き交う。
人の流れに乗って
三夜 霧人
が歩いていた。少し酒が入っているのか。涼しげな黒いシャツにチェック柄のズボンを穿いていた。何とはなしに周囲に目を向ける。
正面の人波にピンクの頭が見えた。浮き沈みを繰り返しながら近づいてきた。現れたのは両手を青いズボンのポケットに突っ込んだ
三夜 雷一
であった。黄色いサングラスを掛けて耳には各種のピアスが光っている。金色の柄の入ったシャツの胸元を開けてアクセサリーの類いを見せ付けた。
偶然に出会った二人は人の流れを無視して対峙した。
「兄貴か。珍しいところで会ったな」
「そうだな」
霧人は目に付いたロッジ風の店に親指を向けた。
「少し話をしないか」
「まあ、いいんじゃね」
二人は横に並んで店へと向かう。
「おいおい、マジかよ」
雷一が呆れたような声を出す。
「俺もそう思ったぜ。珍しく意見が合うな」
驚いた表情を見せず、霧人は眼鏡の中心を指で押し上げた。
「お待ちしておりました」
白いタキシードの人物が二人の前で一礼した。
「兄貴、見えたか?」
「知覚した時にはいたな」
二人の会話にタキシードの人物がやんわりと口を挟んだ。
「お客様の過去をご覧になりませんか」
雷一は早々と考えることを放棄した。霧人に任せる、と言わんばかりに手を振った。
「誰か知らないが目的を聞かせて貰おうか」
「承知しました」
訝しい目に晒されながらも滑らかに目的を語る。
「説明は以上になります」
「そんなことが本当にできんのか?」
側で聞いていた雷一の刺々しい言葉に、可能です、と微笑んで返した。
「そんじゃー、俺様ちゃんの過去を頼むとしようか」
「こちらでご覧になってください」
大型のソファーが忽然と現れた。中央を境に黒とピンクの二色であった。
「気が利いてるねえ」
雷一は迷わずにピンクの方に座った。大きく股を開いた状態で背もたれの上部に後頭部を乗せた。
見届けた霧人は反対側に座ると速やかに足を組んだ。
白い空間に過去が色鮮やかに蘇る。
山を背景に二人の子供が網を持って虫捕りに走り回っている。太陽はかなり傾いて西の稜線に半ばまで没していた。
「そっちいったぞ」
「え、どこ?」
似たような顔と姿で草むらに逃げ込んだ昆虫を目で追い掛ける。その過程で一人が斜面を滑り落ちた。着ていたシャツの裾が少し破れた。何してんだよ、と笑っていた一人も草に足を取られ、派手に転んだ。
気付けば夕陽の時間帯をとうに過ぎて辺りは暗くなっていた。
「怒られるかな」
「怒られるだろ」
二人は空に敷き詰められた無数の星を見やる。見晴らしの良いところに移動して座って星空を楽しんだ。一筋の流れる星を見て興奮したように指を差した。
「流れ星が消える前にお願いしないと」
二人は慌てて目を閉じて手を合わせる。心の声が漏れて微かに口が動いていた。
「間に合ったかな」
「どうかな」
「それで何をお願いした?」
「家に帰っても怒られないようにって」
その言葉を聞いて一人が笑った。笑われた方は少しむくれて、そっちは、と願い事を聞いてきた。
「同じだよ」
二人は一緒に笑って帰っていった。
ソファーで見ていた雷一は呆れたような顔で顛末を仄めかす。
「流れ星にそんな力はねぇよ」
「そうだな」
霧人は星空を見ながら言った。
その後の展開は早かった。黒と白のように二人は明確に分かれていく。
テストの点数で雷一は霧人に大きく差を開けられた。得意の運動では勝ったが周囲の反応は薄かった。
「なんでだよ!」
怒鳴って物に当たることが多くなった。心が荒れることで成績は下降の一途を辿る。それに反して霧人の成績は上昇した。
「霧人には勝てねえ」
その頃の雷一の口癖である。
小学校のクラス替えが行われ、新しい担任が赴任してきた。若くて綺麗な女の先生に雷一は色めきたった。褒められたい一心で運動と勉強に励んだ。成績は上向いて雷一の心に平穏が訪れた。
ある日、休み時間に廊下を歩いていると、階段の方から声が聞こえてきた。見ると踊り場で担任が他の先生と話をしている。内容が気になった雷一は身を隠して盗み聞きした。
「霧人君は大人しくて手が掛からなくて助かるわ」
「私はハズレね」
聞いた途端、雷一は立ち上がった。廊下を全力で走った。
「俺はハズレかよ!」
直感で理解した。雷一が比べられる相手は、いつも決まって霧人であった。
「思い返しゃ、あれが俺の初恋だったんだな」
ピンクの前髪を掻き上げて詰まらなそうに言った。
それ以後、雷一は全ての願いを諦めたように荒れた。気に入らない人間は暴力で屈服させた。小学校に行くことが少なくなり、親を呼び出されることもあった。
中学生になる頃には一端の不良になっていた。生傷が絶えず、拳の皮は擦り剥けて治ることはなかった。
「まー、こんな感じだ。真面目にやってダメなら、おちゃらけて生きるしかねーよな」
雷一は隣に顔を向ける。霧人は前を向いた姿勢を崩さずに白い空間を眺めていた。
「次は俺の番だ」
ある種の覚悟を含んだ声で宣言した。
幼い雷一が倒れていた。苦しそうな顔で震えている。側では霧人が泣いていた。死なないで、と縋ろうとして駆け付けた救急隊員に止められた。
「大丈夫だ。私達が絶対に助ける」
運ばれていく雷一に、ごめんなさい、と謝りながら霧人は泣きじゃくるのだった。
「俺が兄貴を庇った時の話か」
雷一は少し上体を起こした。自身の両膝に両肘を突いて手を組み、その上に顎を乗せた。
場面が変わると霧人が部屋で勉強に励んでいた。机の上には教材が山のように積んである。睡魔に襲われているのか。問題を解く合間に何度も目を擦る。
「僕が医者になって雷一を守るんだ」
自身を奮い立たせる言葉で眠気を追い払う。
日付が変わる頃、霧人は疲れ果てた顔で机に突っ伏して眠りに就いた。
「これは本当の話なのか?」
雷一は横目で隣の霧人に聞いた。正面に目を向けた姿で、本当だ、と短い言葉を返してきた。
子供の言い争う声が聞こえてきた。部屋の中にはランドセルが転がっている。
「霧人に俺の気持ちがわかるわけねぇだろ!」
「わかるよ。雷一にしかない才能はたくさんあって、その価値はよく知ってる」
「なんでもできる霧人に、俺の気持ちがわかってたまるか!」
雷一は霧人の肩を手で強く押した。回るようにして相手は倒れ、苦痛の声を上げる。表情で謝りながらも雷一は部屋を飛び出していった。
二人の関係は悪化の一途を辿った。霧人が歩み寄れば雷一が突き放す。それでいて他の家族とは普通に会話を交わす。雷一が笑っている姿を霧人は何度も目にした。
「俺が雷一を苦しめているのか」
居間での談笑を霧人は廊下で見ていた。雷一に声を掛けることなく、その場を離れた。
その日を境に二人の会話は極端に減った。最小限の言葉を交わし、時に両者は辛辣な言葉を相手に浴びせ掛けた。
時は流れ、霧人は念願の医者となった。旧市街の片隅で三夜医院を開業するまでに至り、日々を忙しく過ごしている。
霧人の過去に雷一は間延びした拍手を送る。
「さすがは兄貴だ。めでたしめでたしじゃねぇか」
「幼い日に誓ったからな。俺が医者になって雷一を守ると」
霧人は雷一の目を見詰める。はは、と雷一は乾いた笑いで返した。
「俺を守ろうとした兄貴が、散々俺を苦しめて、今はこんな状態でざまあねえな」
「俺が雷一に優しく接していれば何かが変わったのだろうか」
「考えても仕方がねぇぜ。それに俺が過去を見せたのは、ただの当て付けさ」
上体の反動で雷一は立ち上がる。ズボンのポケットに両手を突っ込み、出口の方に歩き出した。
霧人は離れていく背中に声を掛ける。
「俺は雷一を嫌いになったことは一度もない」
「そりゃ、どーも」
雷一は片手を軽く上げてひらひらと振って見せる。出て行く直前、本音が口から漏れた。
「……うまくいかねーな」
タキシードの人物は二人の客を送り出し、深々と頭を下げた。
そして密やかに今日の営業を終えるのだった。
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あとがき
担当マスター:
黒羽カラス
ファンレターはマスターページから!
今回は過去を見せ合う、という内容のシナリオでした。
一人の場合は見せる相手がいないので色々と工夫を凝らした過去になりました。
それとシナリオに挿入できるイラストで大きいものは一つ、
アイコンのように小さいものは二つとさせていただきました。
私の独自判断なので他のマスターさんのシナリオに適用されるとは限りません。
ご了承のほど、よろしくお願い致します。
ここだけの話なのですが、実は白いタキシードの人物は以前のシナリオで名乗っていました(大量の汗)。
次元を渡る過去創造館なので複数の名前を持っていて「どれも固定の名前ではない」と私の頭の中で過去を改変しました(過去創造館だけに)。
今後、彼に出番がある時は「ノア」を通名で使用することにします(冷や汗)。
最後になりましたが、ご参加ありがとうございました。
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担当ゲームマスター
黒羽カラス
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年07月30日
参加申し込みの期限
2015年08月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年08月06日 11時00分
参加キャラクター一覧
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