シナリオ「あなたの見せる過去」

あなたの見せる過去

「ようこそ、いらっしゃいました。ここは過去創造館と言います。心配しないでください。初めての方は戸惑われて当然です。はい、これから説明致します。
　過去創造館は次元を移動して寝子島のキャットロードに着きました。余計に心配になる、とおっしゃられますか。新規開店したお店と考えていただいて構いません。

　それでは過去創造館の説明に入ります。お客様が要望する過去を創造して、その当時の姿になっていただきます。以前の選択で出た結果を遣り直すことで違った未来を見られるようにします。ただし過去が改変されて未来が変わる訳ではありません。過去を遣り直すのは結構、とおっしゃるのですか？　いきなり手厳しい意見をありがとうございます。

　では、少し趣向を変えてみたいと思います。どういうこと、ですか。過去を創造する点に差異はありませんが、今回はお連れの方と一緒に見るというのはいかがでしょうか。
　口では上手く伝えられない。でも、胸の裡に秘めた想いを相手に打ち明けたい。そのような欲求を抱いたことはありませんか？　恥ずかしがらないでください。誰もが思うことです。

　店の外観は自由に変えられるのですが、今回は親しみのあるロッジ風の店で統一します。壁面にはプレートを付けて「あなたが見せる過去」と端的に紹介しておきましょう。
　それとこれは私の好奇心から聞くのですが、お客様は誰に過去を見せたいのですか。少し顔が赤いのですが体調が優れないのでしょうか。
　心の準備が必要なのですね。わかりました、この話は相手の方がいらっしゃった時にします」

　さあ、あなたの見せる過去を教えてください

ゲームマスターより

担当ゲームマスター
黒羽カラス
マスターコメント

　今回のシナリオはシリーズ物ではありませんが、以前に書きましたあなたの望む過去と関連があります（読まなくても本シナリオには問題ありません）。
　今回は【ＧＡ】推奨のシナリオになります。お互いの過去を打ち明けて真の心を確かめ合う。吉凶の結果は二人のアクション次第です。
　詳しい説明を以下に記します。

◆過去創造館◆
　・別次元の高名な博士が作り上げた過去を創造する館。次元移動が可能で再び寝子島に流れ着いた。
　・キャットロードにロッジ風の店構えで一週間の滞在予定（ＰＣの望む曜日と時間に営業している）。
　・壁のプレートには「あなたが見せる過去」と刻まれている（一人のＰＣが自身の過去を再現することも可能）。
　・中は無限の白で訪れたＰＣの過去を瞬時に読み取って再現する。

◇案内役◇
　・白いタキシードを着こなす麗人。性別や名前は不明で館が創り出している。

　説明は以上になります。前回と同じで料金は発生しないので、どのような方でもご利用できます。
　結果が良好で謝礼として何かを渡したい時、タキシードの人は快く受け取ってくれるでしょう。

　あなたのご来店を心からお待ちしております。
　

サンプルアクション（1）

プレイヤーの目的・意図

本当の過去を知って打ちひしがれるＰＣの姿をお願いします。

キャラクターの目的・理由

俺の抜け落ちた過去に、何があったんだ。
俺はそれをどうしても知りたい。

キャラクターの行動・手段

高校が終わって制服姿で俺はロッジ風の店に入った。
これで二度目だ。店のことは話で聞いた。
前の時と同じで白いタキシードの人物がいた。

「俺は自分の抜け落ちた過去が知りたいんだ」

タキシードの人物は再現を約束してくれた。椅子を勧められたが、そんな気分にはなれない。

「いや、いい。俺はあの時を間近で見たいんだ」

その瞬間、白い空間は濁流の流れる川になった。黒雲に稲妻が真横に走る。
強い雨が降っていた。俺は濡れると思って頭を抱え込んだ。濡れることはなかった。その再現度に体が勝手に震えた。

「ここはあの時の場所だ！」

　俺は土手を見回した。昔の俺が雨に打たれて走っていた。向かう先には女の子がいた。下半身が濁流にのまれて必死になって川岸の草に掴まっている。

「そうだ、ここで俺は彼女の声を」
　俺は走った。昔の俺のあとを追い掛けて、その瞬間に立ち会った。

「もう大丈夫だよ。僕が助けてあげる」
　昔の俺が女の子に手を伸ばす。驚いた表情の女の子が叫ぶ。
「来ないでストーカー！」
　女の子は昔の俺の手を避けて濁流にのまれた。

白い空間。俺は真実に立ち尽くした。
声も涙も出なかった。

サンプルアクション（2）

プレイヤーの目的・意図

間違いから始まったという展開で最後はハッピーエンド。

キャラクターの目的・理由

出会いが彼で、次の彼がそうじゃなくて、
今の彼に過去を見てもらって告白したい。
うーん、ややこしい。

キャラクターの行動・手段

【ＧＡ】双子
日曜日の午後、お洒落したわたしは好きな彼と一緒に店にきた。
噂の通りでタキシードの人が迎えてくれた。
「わたしの過去を彼に見せたいんだけど……いいですか」
わかりましたと言ってくれたのでわたしはほっとした。
彼と一緒に椅子で見ることにした。

高校の廊下の場面が現れて、わたしが遅い全速力で走っていた。
何もない廊下でわたしは派手に前に倒れた。
音に気づいて教室のドアが開いた。出てきたのが彼にそっくりな弟さん。わたしを助け起こしてくれた。

「ありがとう」
小っちゃい声で言って自分の教室に急ぐ。ホームルームに間に合わなくて怒られた。
でも、それが切っ掛けで弟さんと話が出来るようになった。
ある日、道で弟さんに会った。
「いいなー、アイス。わたしも食べたいなー」
「そこに売ってるけど。君は誰？」
そこでわたしは気づいた。話に聞いていた双子のお兄さん。その場はなんとか誤魔化した。その時の印象が強くてわたしは彼と良い感じになった。

再現が終わって隣の彼に聞く。
「間違いから始まったんだけど、わたしと付き合ってくれる？」
彼は今の僕が好きなら、と言ってくれてわたしは泣いて喜んだ。

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あなたの見せる過去

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