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社交界の帰り、そのような装いの二人が並んで通りを歩いていた。
エレノア・エインズワース
は気品を漂わせた黄金のドレスに夜が染み込んだような紫を纏う。白いアームロングを嵌めた手で小気味よく日傘を回した。描かれた黒い蝶は頭上を舞い、周囲に怪しげな鱗粉を振り撒いているかのようだった。
花風 冴来
はフリルをふんだんに使用した純白のドレスで軽やかに歩く。金色の長い髪は癖がなく、天から射した一条の光を思わせた。
「エレノアはどうして、今のような嗜好になったの?」
青い髪飾りの薔薇と同色の瞳がエレノアの目を子供っぽく覗き込む。冷ややかな緑色の目を細めて、ふふ、と微かな笑みを漏らした。
「あ、ちょっと待って」
冴来は目にした店に駆け寄る。壁面のプレートに『あなたが見せる過去』と刻印されていた。何度か文字を目で追って、あなた、過去? と深い記憶の断片を拾い上げるように呟いた。
「面白そうですね」
エレノアが冴来の背後に忍び寄って金色の髪に指を刺し入れた。ハープを奏でるような手付きで店の中に入っていく。ぼんやりと見ていた冴来が慌てて駆け込んだ。
白い空間を背景にタキシードの人物がにこやかに立っていた。冴来は目を丸くして大きく頷く。
「やっぱり、そうなのね」
「はい、お久しぶりです。過去創造館にようこそ、いらっしゃいました」
エレノアは畳んだ日傘を杖代わりにして歩く。
「何もありませんね。ですが無限の可能性を感じます。違いますか?」
「恐れ入ります」
深々と頭を下げたタキシードの人物は今回の趣旨の説明に入る。聞き終えたエレノアは微笑を浮かべて冴来に目を向けた。
「私の嗜好を知るには過去を見せた方が早いと思いませんか」
「え、本当に。でも、私が見ても、いいの?」
一瞬の喜びを抑え込んで冴来が聞いた。
「貴女の底なしの心を満たす内容かはわかりませんがね」
妖しく微笑んだエレノアは一気に両手を広げた。
「私に柔術と日本語を指導した師匠との日々をお見せしましょう」
エレノアの声と共に広々とした部屋が出現した。置かれた調度品の数々は一目で格調の高さを思わせた。
豪壮な机に向かっているのは可憐な横顔の少女であった。鉛筆を持った手でノートに文字を書き込んでいく。隣には黒髪の女性が付いていて時に助言を与えていた。
「あれが小さい頃のエレノアなのね」
「そうです。隣の女性は日本人で私に日本語を教えてくれました。柔術の時には師匠で、また養親でもあります。齢の離れた姉妹のような関係という表現が適切でしょうか」
「とても仲が良さそう」
寄り添う二人の姿に冴来は羨望の眼差しを向ける。その様子を一瞥したエレノアは笑みを深めた。
「傍目にはそのように見えるのでしょうね」
含みのある言葉に合わせて場面が一変した。
畳を敷いた道場で少女が道着姿で型の練習をしている。腕を組んだ女性は師匠の面構えで静観していた。
本格的な道場の作りに冴来は忙しく目を動かした。奥の方には先程の部屋と同様の扉が見える。
「これって家の中なの? 凄いとしか言えないわ」
「成り行きはすっかり忘れましたが、彼女の前の養親から引き継いだ屋敷なのであまり実感はありませんね。よく覚えているのは不法行為の養子縁組で籍が無くて学校に行かなかったことでしょうか」
エレノアは他人事のように話した。合間に楽しそうな笑みを浮かべる。
「さらりと言うところがエレノアらしいわね」
「見せ場が来ましたよ」
愉悦を含んだ声に冴来は道場の二人に目を移した。
女性の指示で少女が掴み掛る。流れるような動きで払い除けて瞬時に逆の方法へと押し返す。少女はろくに受け身も取れず、派手に引っくり返った。すかさず厳しい声が飛ぶ。
少女は起き上がって構える。慎重に間合いを詰めて女性の襟首を狙って手を出した。逆に袖口を取られ、流れるように引き倒されて背後を許した。
少女の顔が苦痛で歪む。女性は腕の関節を取った状態で膝を首に落としていた。ギロチンの刑に
「ここで止めてください!」
エレノアは興奮した様子で叫んだ。
過去の時は止まった。彫像と化した二人の元にエレノアが駆け寄る。うっとりとした表情で彼女を見詰めた。
「わかりますか、花風さん! 彼女の榛色の両眼が怒りに染まるのが!」
「確かに怖いくらいの輝きが見えるわ。悲しいことだけど」
冴来の沈んだ声を耳にしてエレノアは不敵に笑う。
「出来の悪い冗談ですね。私は彼女の人格には何の興味もありません。その裏に隠れている彼女の本質はとても人間らしくて、どのような宝石よりも強い輝きを放っていて美しい。そうは思いませんか?」
「……それは」
返答に困りながらも冴来は制止した彼女に目を移す。異様にぎらつく双眸を見つめていると自然に口が動いた。
「美しいかも」
「その通りです。ですが、残念なことにこの輝きは間もなく失われてしまいます」
突如として白い幕が下りた。過去は記憶の彼方に消え去った。エレノアは神妙な顔で冴来の側に戻ってきた。
「詳細はわかりませんが、彼女は私を復讐の駒に仕立てようとしていました。ですが、長い時間を共に過ごしたせいで愚かにも愛情を抱いてしまったようでしてね」
エレノアは冴来の頬に手を当てた。もう片方は何かを握った形で片目に近づける。眼球に触れるくらいの近さで手首を回した。
「温い感情が彼女の瞳を濁らせる前に、私は美しい輝きを一つ、スプーンでいただきました」
エレノアはとても人間らしい顔で笑った。冴来は青い瞳で受け止める。仄暗い底から沸き上がる感情に身を震わせた。
「……エレノア、過去をありがとう。今度は私の過去を見せてあげる」
可愛らしい部屋が出現した。たくさんの縫い包みに囲まれたベッドには少女がぺたんと座っていた。金髪の頭にちょこんと青い帽子が乗っている。白いブラウスに青いケープを纏い、少女自身が縫い包みのように愛らしい姿をしていた。
エレノアは部屋を眺める。見切りを付けて少女に目を向けると、急に艶めいた笑みを作った。
「作られた幸せに囲まれた幼少期の花風さん、沈んだ表情がとても人間らしいですね」
「童話の内容を聞けば理由がわかるわよ」
冴来の青い瞳が昔の自分を捉えて静かに冷えていく。
ベッドの上で少女は本を開いた。泣きそうな顔で朗読する。たどたどしい言葉の中で人が切り裂かれた。血飛沫と怨嗟の声が上がる。
少女は自分の両方の耳を手で塞いで読んだ。血腥い展開に涙を流し、やがて放心したような表情で読み終わる。枯れ木が風で折れるように少女はぱたりと横に倒れた。顔を布団に押し付けて肩を震わせた。
少女は身体を起こし、ベッドから下りた。すたすたと歩いてドアノブを掴んだ。何回も回して肩をぶつけて諦めた。
「私は義理の両親に監禁されていたの。言うことを聞かないなら捨てるって脅されて、どんな残酷な本でも我慢して読んだわ」
「花風さんが両親を捨てれば良かったのではありませんか」
「そんなこと、無理よ」
恐怖で震えるかのように冴来は頭を左右に振った。
ノックする音が聞こえた。冴来は動きを止めた。ドアの方に目だけを動かす。
薄ら寒い微笑を貼り付けた両親が室内に入ってきた。母親が小さなウサギを少女に渡した。室内で飼うように命じられ、少女の顔が綻ぶ。ウサギを胸に抱えると自己紹介を始めた。
「随分と小さな友達ですね」
「友達なのかな」
冴来は自身の掌に目を落とす。白くて艶やかな手を組んで握り締めた。力んで震える指先が赤く染まる。
過去では少女の手が赤く染まった。両親がナイフを強引に握らせ、ウサギを一突きにさせたのだ。少女は血に染まった手で涙を拭う。頬は赤く染まり、血の涙をいつまでも流し続けた。
その凄惨な光景は幾度も繰り返された。日々は少女から涙を奪っていった。冷ややかな目でウサギを飼い、ある日、渡されたナイフで息の根を止めた。
「あれが両親の望んだ良い子の姿よ。愛という名の餌を私の前にぶら下げて、小さな命を奪う度に心が冷えて、目の前のものもよく見えなくなったわ。愛ってなんだろうね」
「愛は一つの感情に過ぎません。人間らしさの追求こそが本質ではないでしょうか」
エレノアの自信に満ちた言葉に、わからないよ、と冴来は力なく笑った。
「でも、貴女のことは嫌いじゃないわ。生き方も大きく間違っているとは思わない。その、共感できるところもあるし」
「そうですか」
エレノアは澄ましたような顔で冴来の髪に触れた。指の中で弄ぶ。
「……今の生き方は本当に楽しい?」
「充実した日々を送っている自負はあります」
エレノアは金色の髪を小指に巻いた。冴来も同じように小指に絡ませる。二人の小指は金色の髪を介して繋がれた。
「今のような生き方じゃなくても、人間らしく生きることは出来ると思う。他の生き方には、少しも興味がないの?」
冴来の青い瞳が訴え掛ける。奥底には温かい光が揺蕩っていた。
「花風さんが望む生き方を私が選択したとしましょう。それは本当にエレノア エインズワースと言えるのですか?」
「それは――」
一瞬の躊躇いでエレノアは離れていった。スカートの裾を膨らませて回り出す。
「私の興味は人間らしさにあります。嘘偽りが蔓延する生活に私は全く興味がないのですよ!」
自由奔放に回りながらエレノアは声を上げて笑った。果てのない白い空を見上げて翡翠色の双眸を輝かせた。
「――どうしてなのかな。そんな貴女を見ていると、なんだかとても悲しくなるの……」
金髪に繋がれたままの小指に冴来は届かない声を呟いた。
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15人
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15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年07月30日
参加申し込みの期限
2015年08月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年08月06日 11時00分
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