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星ヶ丘の片隅に三階建てのビル、
一之瀬探偵事務所
があった。そこに向かう一人の人物がいた。
「今日は良い天気だよね」
一之瀬 雨丸
は琥珀色の目を細めた。どこか寝起きを思わせる。髪は疎らに撥ねていた。スーツには大小の皺が目立ち、ネクタイの締め方はとても緩い。振り子時計の分銅のように左右に揺れている。
ビルに入ると事務所に向かった。そこには大型テレビやソファーが置いてある。冷蔵庫も完備で仕事場の印象はまるでない。
証明するように訪れた雨丸の表情が和らぐ。軽やかな足取りで自身の机に着いた。
「ここは落ち着くよね」
「あまりのんびりされても困ります」
柔和な笑みで
古苗木 美姫
が現れた。薄いピンクのカーディガンを押し開けるように黒いブラウスが迫り出していた。
「僕がいない間に何かあったのかな」
「はい、以前から頼まれていた調査の件でお電話をいただきました」
「あのヘンな依頼かぁ。知り合いなのに容赦ないよね。本当に人使いが荒くて困るよ」
雨丸は机に置いてあった観葉植物の葉を指で弄る。
「少し休んでからキャットロードに行きましょう」
「まあ、そうなるよね」
脱力した笑いで雨丸は答えた。
美姫は通りを歩きながらショーウインドウに目を向ける。楽器店の前では熱心な眼差しを送った。
間もなくロッジ風の店が見えてきた。美姫は隣でだらだらと歩いていた雨丸に声を掛ける。
「あのお店ですよね」
「見た目がそれっぽいね。でも、なんか嫌な予感がするんだよなぁ」
「お仕事、がんばりましょう」
緩い笑顔に励まされ、雨丸が先に店に入った。
「嫌な予感は当たるんだよね」
雨丸は一面の白に呆れたような笑みを浮かべた。美姫は目を丸くして、不思議なお店ですね、と口にした。
「本日はお越しいただき、誠にありがとうございます」
白いタキシードの人物の出迎えに美姫が急いで頭を下げた。
「このお店の方ですね。私は探偵助手を務めさせていただいています、古苗木美姫と申します」
「丁寧な自己紹介、ありがとうございます。私は過去創造館の案内役を仰せ付かった者です」
「過去創造、ですか?」
美姫の不安を払拭するかのように澱みない説明を受けた。頃合いを見計らって雨丸が話を切り出した。
「過去ねぇ。まぁ、適当に頼むよ」
「それではお客様、くつろいでご覧ください」
タキシードの人物が示したところに二人掛けのソファーが現れた。
「なんでもありだねぇ」
雨丸がソファーに深々と身を預ける。目にした美姫が隣にちょこんと座った。
入り組んだ道に男が逃げ込む。追い掛けるのは若々しい姿の雨丸であった。どこか表情には余裕が窺える。
男は目にした車に駆け寄った。ドアに手を掛けると抵抗なく開いた。エンジンを起動させるキーは挿したままになっている。
「それ以上、寄るんじゃねぇ! 轢き殺すぞ!」
振り返った男は怒鳴り、急いで車に乗り込んだ。エンジンを掛けると追い掛けてきた雨丸に向かって急発進させた。後部のタイヤが路面を滑って白煙を上げる。蛇行しながら突っ込んでくる車を雨丸は横っ飛びで躱した。
ソファーに座っていた美姫の背筋が瞬間的に伸びた。若々しい雨丸が片膝を突いた状態で目の前にいたのだ。
車は逃走を図り、速度を上げて丁字路に迫る。減速は全く見られず、車体が斜めに滑って壁に激突した。砕ける音にけたたましい金属音が鳴り響く。
ソファーに座っていた美姫は両耳を手で押さえた。直後に爆発音が起こる。赤黒い炎の塊が車体を包んだ。
「なぜ、あんなことに」
美姫は下がった眼鏡を押し上げて車の惨状を見つめた。すると横から、しんみりとした声が聞こえてきた。
「僕が新人の頃の話だよ」
「刑事をされていた時の話ですか?」
美姫の真摯な目に、ああ、と声を落として返す。
「強盗事件の犯人を追い掛けていたんだ。燃える正義感というのかなぁ。相手を追い詰め過ぎたんだよね。半ば路上に捨ててあるような車に乗り込んで壁に激突さ」
「速度を上げ過ぎて曲がり切れなかったのですね」
「それだけじゃなかったんだ。担当者の話では、どうやらブレーキが壊れていたみたいで、犯人はそのまま……」
雨丸は膝の上で両手を組んだ。これ以上は現場を正視できないのか。項垂れた姿で肩を小刻みに震わせる。
過去は無かったかのように白紙に戻された。
「とても辛い体験をされていたのですね……」
「……忘れたい過去だよ」
憔悴した様子で雨丸は顔を上げた。少し目を潤ませた美姫が慈愛に満ちた表情で身を寄せる。
「忘れられますよ、きっと。役に立つかはわかりませんが、私が応援しています」
「ありがとう、美姫ちゃん」
雨丸は微笑みを浮かべた。
ゆっくりとした旋律が流れる。美姫は驚いて正面を向いた。白い空間は広々とした室内に模様替えしていた。ピアノを弾いていたのは笑みを湛えた女性であった。
「お母さん? あれは私の母です」
食い入るように見つめる美姫に、そうなんだぁ、と雨丸はのんびりした声で言った。
ピアノの側には幼い美姫が椅子に座っていた。身体を覆い隠すくらいの大きさのチェロを股に挟んで懸命に弓を動かしている。
その微笑ましい姿に美姫は思案顔になった。
「おかしいです」
「なんでそう思うのかな?」
雨丸はそれとなく美姫の顔を覗き込む。
「あの頃の私は、まだチェロを弾けていなかったはずなのですが」
美姫は雨丸の方に顔を向けた。その向こうには白いタキシードを着た人物がひっそりと立っていた。美姫の視線を受けて静かに微笑んだ。
「……私の想いを酌んで」
「それにしても心が安らぐ曲だね」
雨丸の声に美姫は正面に向き直る。胸に手を当てて親子の演奏に聴き入った。
「この曲はショパン作の『夜想曲第二番』です」
「ショパンかぁ、どこかで聞いた覚えがあるよ」
「私が寝付けない時に決まって父があやしてくれました。そのあと、母が子守唄代わりにピアノを弾いてくれて。その一曲なのです」
「そうなんだ」
雨丸は相槌を打った。
二人は小さな演奏会に耳を傾ける。美姫の目は潤んでぽつりと口にした。
「私が物心ついた頃にチェロを始めました」
雨丸は横目で表情を窺う。敢えて口を閉じることで話を促した。
「いつか母のピアノと協奏するつもりでいたのですが――」
言葉が途切れた。美姫の閉じた唇が強張る。
「……母は病気で、私が中学の頃に、この世を、去ってしまいました」
押し出された感情は言葉だけではなかった。目からは大粒の涙が零れた。雨丸は胸のポケットからハンカチを取り出し、そっと美姫の頬に宛がう。
「一之瀬さん、ごめん、なさい」
小声で言って笑顔を見せる。余計に涙が押し出され、ハンカチの世話になった。
目の前の小さな演奏会が終わると美姫の涙が止まった。揺らいでいた声が少しの元気を取り戻す。
「今では毎晩のようにピアノの伴奏でチェロを練習しています。もちろん、この曲も含まれていて、涙が出てしまうのです」
「人の死は悲しいけれど、君が良い子に育ってくれてお母さんは幸せだろうね」
「そうでしょうか。今でも母を心配させているような気がして」
「大丈夫だよ。君の人柄については僕が保証するよ。だから、まぁ、今は心に素直になればいいよ」
その言葉に美姫は再び目を潤ませた。落ち着かせるように雨丸は頭を撫でる。良い子、良い子、と優しく目で語り掛けた。
白い空間に別れを告げる時がきた。二人は揃って立ち上がる。
「ご利用、ありがとうございました」
タキシードの人物が二人に向かって頭を下げる。美姫は進んで前に出た。
「母と演奏したことは絶対に忘れません。ありがとうございました」
笑顔に涙はなかった。続いて雨丸が声を掛ける。
「ほろ苦い過去ではあるけど、ありがとう。僕の心に響くものがあったよ」
「お客様に満足いただけたようで私も嬉しい限りです」
タキシードの人物は笑顔で二人を送り出した。
「本当に心に響けばいいのですが」
誰に聞かせるでもない声が白い空間に溶けていった。
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グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年07月30日
参加申し込みの期限
2015年08月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年08月06日 11時00分
参加キャラクター一覧
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