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沈む夕陽の最後の光が途切れて消える。夜の藍と夕の茜とにまだらに染まる鱗雲の隙間、金色に光る宵の明星。
(秋の日はつるべ落としって上手い表現だよね~)
晴れた夜空と同じ色に染まる路地をほとほとと歩き、
猫島 寝太郎
は金星輝く空を見上げる。学校を出るまでは町の全部が夕陽の茜に染め上げられていたのに、今はもうこんなに暗い。
寝子祭の準備が長引き、随分と遅くなってしまった。
朝から寝癖のついたままの灰の髪をひと撫でして、大きく伸びをする。ついでに大欠伸もひとつ。お祭りの準備は楽しくて頑張れるけれど、普段ほとんど猫と一緒に寝て暮らしているためもあってか、体はぐったり疲れている。
亜麻色の瞳を眠たげに瞬かせ、片手で擦る。
シャッターの降りた煙草屋の前、光点けたばかりの外灯に白く照らされた自販機を見つけ、のんびりと近づく。緑茶にコーヒー、果物ジュース。品揃えを一通り確かめて、首を捻る。
「……ないなぁ」
疲れた身体は甘いものを欲しているけれど、今飲みたいと思うメーカーのとんでもなく甘いコーヒーはこの自販機には見当たらない。
(やっぱりあの自販機しか売ってないんだよなぁ)
家までに道ひとつ遠回りだけれど、今日はどうしてもあのコーヒーが飲みたい。
(よし、回り道決行)
山寄りの道へと足を向ける。緩やかに山へと続く黄昏の道を急がずのんびり辿ったその先、ふわりと眩しく灯る自販機の光。
「おや、寝太郎さん」
その光の前、缶コーヒーを片手に立つ茶色の長髪をうなじで束ねた青年が寝太郎に気付いた。
「こんばんは」
偶然出会った顔見知りの男子学生に向け、
天動 記士郎
はおっとりと微笑む。
「天動さん、こんばんは~」
声を掛けてくれた知り合いの青年に、寝太郎はぺこりとお辞儀を返す。
「マタフェスの時はありがとうございました!」
「いえいえ、寝太郎さんもお疲れさまでした」
以前開催された寝子島最大の演劇祭で、記士郎は寝太郎と顔を合わせている。大道具を運ぶ作業をしていたときに手伝ってくれた好感持てる学生との再会に、記士郎は表情を和らげた。
「今日はお仕事終わりですか?」
「はい、早々に」
今日はお客が少なくて、と記士郎は少し離れた自宅兼店舗を指し示す。一見普通の民家にも見える雑貨屋に、
「あれが天動さんのお店なんですねぇ」
寝太郎は眠たげな瞳をくるりと丸めて納得し、ふと本来の目的を思い出す。失礼します、と自販機の前に立ち、目当ての缶コーヒーを購入する。ミルクと砂糖たっぷり、黄色と茶色のデザインが目印な背の高いコーヒー缶。
『HOT』が並ぶ品揃えに、思わず冬の近さを思う。そういえば風も随分と冷たい。
「おや、同じですね」
記士郎の楽しげな声に視線を上げて、記士郎が手にしたカフェオレの缶が自分と同じものであることに気付く。
「時々どうしても飲みたくなるんですよねぇ」
おっとりと頭を掻く寝太郎に、記士郎はますます親近感を感じる。前にも感じたけれど、
(なんていうか、流れている時間が近い感じで話し易い子だな)
「寝太郎さんはこんな時間まで学校ですか?」
「寝子祭の、……学園祭の準備だったんです」
「学園祭、ですか」
「今ばたばたしてて」
「少し前は選挙でしたよね」
記士郎が選挙に纏わるバザーに顔を出したことを思い出して口にすれば、お祭り好きらしい寝太郎は楽しげに大きく何度も頷いた。
「選挙管理委員もやったんです~。腕章つけてトランシーバー持って、会場動き回って、……ふふふ、ちょっとシークレットサービス気分でした~」
にこにこする寝太郎の様子につられて、記士郎も思わず楽しい気分になる。
「ペーパーフラワー作ったり、お祭りごとは楽しいですねぇ」
頬にえくぼ浮かべ、心底楽しげに語る寝太郎に、
「学生さんも忙しいですね」
学生時代をとうに過ぎた記士郎は目を細める。
小学生の頃までは寝子島に住んでいたものの、最近になるまでは本土で暮らしていた。本土の高校に通っていた頃はそんなに忙しかったかなあと自分の高校時代に思いを馳せる。
(力仕事くらいはできたけれど)
「あまり難しいことはやらなかったなあ」
寝太郎はどこか懐かしげな記士郎の横顔を見つめる。そう言えば、いつだったか父親に引っ張られて町内会の集まりに出たときに耳に挟んだことがある。
(天動さん、小さい頃この島に居たんだっけ)
そうして最近こっちに戻って来たのだと。彼に関して知っていることと言えば、それくらい。
自販機の前で肩を並べて同じ缶コーヒーを口にしながら、寝太郎は同じ町内で商店を営む年上の青年を見やる。折角出来たご縁、ここは大事にしなくては。
「天動さんって元々寝子島の出身なんでしたっけ? 寝子高のOBだったり?」
「小学生まではこっちに住んでましたよ。高校は本土でしたが」
気さくな雑貨屋の店主に、同じ商店街の寝具店の息子は興味津々頷く。
「本土の高校! 本土の高校とこっちの高校って雰囲気違ったり?」
「うーん、どうでしょう……でも、寝子高校の学生さんたちは充実しているように見えますね」
「部活動とかはされてました?」
「……ええ、と……」
何気なく聞かれた疑問に、記士郎はちょっと躊躇いを見せる。
記士郎の躊躇を目敏く見つけ、困惑したような申し訳無さそうな顔をする寝太郎に、記士郎は慌てて首を横に振る。大丈夫ですよと笑い、ほとんど空になった缶を片手、ひょいと拳をつくる。腰を軽く落とし、両の拳を顔の前に構える。
「へぇぇーっ、ボクシング!」
温和そうな物腰と外見からは見当もつかなかった、意外すぎる記士郎のファイティングポーズに、寝太郎は思わず吃驚する。照れ臭そうにポーズを解く記士郎に思わず一歩踏み込む。
「もう一回! もう一回、見せてください」
「いいですよ」
驚かれたことに驚きながら、それでも寝太郎の反応が面白くて、記士郎は片手に持って居たほとんど空の缶を自販機の横の地面に置く。ねだられるがまま、もう一度ファイティングポーズをとる。
そうすれば、自然と腹に力が篭もる。
ふと思い出すのは、本土の高校でボクシング部に所属し、体や心を鍛えることに躍起になって居た、あの頃。お前ならやれる、とコーチに推されて受けたプロテストと、合格して後のプロボクサーとして過ごした短い期間。
プロボクサーとしての天動記士郎を知る人は、おそらくほとんど居まい。
(向いてなかったな)
プロボクサーとして過ごしたあの頃を否定する気はないけれど、今こうして雑貨屋の主人として過ごしていて、つくづくそう思う。
拳と拳の間、目をキラキラさせた少年の顔。
高校生の頃の己も、こんな顔をしていただろうか。記憶を探ろうとして、
「腕のつけねとか、腹筋とか触っていいです?」
歓声さえ上げそうな顔で寄られ、記士郎は戸惑い気味に小さく頷く。おっとりしているように見えて、この少年は興味のあることにとても積極的だ。
「ありがとうございます」
元プロボクサーの許可を得て、寝太郎は記士郎の缶の隣に自分の缶を並べる。心底感心した瞳で記士郎の周りをぐるり、一周する。
「では、失礼して」
まず固めた拳を支える上腕に触れる。服の上からも感じられる筋肉に目を丸くする。ぎゅっと力の篭もった腹筋にも触れる。ぱたぱた軽く叩き、
「おぉぉぉ……」
生半可な力ならあっさりと跳ね返しそうな腹筋の固さに感動の声をあげる。思うさま鍛え上げられた体に触れて後、寝太郎はまるで誰かに打たれたように悲しげに顔をしかめた。
「……殴られたら、やっぱり痛い、です?」
「そうですね」
記士郎は体から力を抜く。ファイティングポーズを解き、自販機の隣にふたつ並んだ缶を拾い上げる。ひとつを寝太郎に手渡し、自販機脇のベンチに腰を下ろす。
「戦っている間はそんなに感じなかったように思います」
「アドレナリン、ですっけ?」
「そう、脳内麻薬ってやつです」
缶を両手に包み、記士郎は背をのけぞらせて晴れた夜空を仰ぐ。いつのまにか、夜空に星が輝いている。
「冷えてきましたね」
呟く記士郎の、高校生の自分よりもずっと引き締まった筋肉の体が、けれど妙に疲れて見えて、寝太郎は口を噤む。
寝太郎の表情に気付いてか気付かずか、記士郎は缶コーヒーの残りを一気に飲み干し、いつも通りの柔らかな表情で立ち上がった。
「寝太郎さん、良い体しているんだから鍛えた方が良いですよ」
良い体、と言われて、寝太郎は首を傾げる。記士郎を真似て腕や腹に力を籠めてみて、一向に浮き上がらない自分の筋肉に思わず苦笑する。
寝太郎の様子を眺め、何なら寄って行きますか、と記士郎はのんびりと微笑む。
「店の奥にたくさん健康器具がありますから」
「健康器具です?」
「ぶら下がったり逆立ちしたり、自動的に腹筋したりできます。楽しいですよ」
軽い口調ながらあながち冗談でもなさそうな筋肉鍛錬の誘いを、
「あはー。自分は家でゴロゴロしてるのが好きだけど、考えておきます」
縁側でのんびり漬物を噛みながらお茶をすするのが趣味のひとつな寝太郎は猫のような笑顔浮かべてスルリとかわす。
まったりこってりと甘いコーヒーを飲み終え、満足げな息をひとつ。
「それじゃあ、失礼します」
缶をゴミ箱に捨て、出会った時と同じようなお辞儀をぺこりとする寝太郎に、
「はい、お休みなさい」
記士郎はゆるゆると手を振る。自販機の光にも負けず寒空に輝く星々を見上げながらひとりきりで住まう家へと足を向けようとして、寝子島神社の方角から駆けて来る顔見知りの黒髪の少年を目にした。
「おや、剣士さん」
「こんばんはー、御剣君ー」
同じ足音を耳にした寝太郎も顔を知っているのか、のんびりとした声が背後から聞こえる。
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年07月27日
参加申し込みの期限
2015年08月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年08月03日 11時00分
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