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台所で母親が食器を洗っている。そこに
小島 海美
が駆け込んできた。手にはクレヨンの箱を持っている。
「おかあさん、今日はクレヨンでなんでもかいていい日なの!」
側にきた海美に母親は顔を向けて柔らかい笑みを見せた。
「まえにねこでんの
ラッピングコンテスト
があって、かきわすれてたものをでん車にかきにいくの!」
母親は洗い物の手を止めて、ダメです、とはっきり言った。瞬時に海美は頬を膨らませる。
「あぶなくないようにかくから!」
母親は最後まで頭を縦に振らなかった。水の音が強くなり、洗い物に専念した。
説得を諦めた海美は部屋に戻って青い長袖シャツに着替えた。下は動き易いピンクの半ズボンを選んで玄関に向かう。
「なぎさせんせーに、ゆるしてもらいにいこっと!」
台所に向かって声を張り上げた。急いで運動靴を履くと海美は外に飛び出していった。
「いってきまーす!」
相棒のマウンテンバイクを尻目に
柚瀬 玲音
が元気に家を出た。クレヨンの紙箱はハーフパンツの後ろのポケットに無造作に突っ込んだ。猫耳の付いたキャスケットを目深に被ると笑顔が零れて走り出した。薄い水色に見える銀髪が猫の尻尾のようにしなやかに振られる。
その足を止めたのは信号機であった。赤い歩行者信号を青い目が見詰める。逸る気持ちが抑えられないのか。玲音は足踏みを始めた。
「うれしのさんはそこなのに!のに!」
「れーねちゃん、わたしもいくところだよ!」
隣にいた海美がクレヨンの箱を見せた。
「ボクもだよ!」
玲音は背中を向ける。ポケットから箱が飛び出していた。
海美は笑顔で玲音に近づく。
「なぎさせんせーにゆるしてもらって、ねこでんのでん車にクレヨンでかくんだね!」
「ちがうよ。きょうはうれしのさんで、いろいろかいていいってことだからいくんだよ!」
「そのはなし、きいてない!」
「あ、しんごうがあおになったよ!たよ!」
玲音は猫のような俊敏な動きで飛び出した。まって、と海美が腕を大きく振って追い掛ける。徒競走のような状態で二人は保育園の敷地に駆け込んだ。すでに園内は子供達の嬉々とした声で溢れていた。
海美は平屋の一点に向かって走り出す。渚が背中を見せた姿で立っていたのだ。
「せんせー、あそびにきたよー!」
「あそびにきたよ!たよ!」
負けない声で玲音も続く。
「二人とも、いらっしゃい」
渚はクレヨンを持った手で振り返った。壁にはたくさんの音符が描かれていた。見ているだけで陽気な曲が聞こえてくるようだった。
「そっかー、せんせーもおえかきするんだ!」
「今日はそういう日だからね」
「ボクもおえかきにきたよ!」
玲音はポケットから箱を抜き取った。渚は微笑みを浮かべた顔で頷く。
「いっぱい描いていってね。床や壁でもいいし、沐浴室、あとはお便所もそうだけど、そこの掲示物にうっかり描いちゃっても大丈夫だから。ラミネート加工されてるからね」
「ラムネかこうはすごいんだね!だね!」
玲音は興奮した様子で返した。渚は微笑んだ状態で固まり、別にいいかー、と気の抜けた声を出した。
三人で話している合間にも子供達はじっとしていない。クレヨンを手に園内を走り回っている。
その様子を見た海美は渚に向かって言った。
「子どもたちがいっぱいで大へんそうだから、わたしが手つだってあげる!」
「本当に大変なの。みんなお絵かきに夢中だから話を聞いてくれないかも」
「しんぱいない! わたしにはれーねちゃんがいるから!」
海美は隣に目をやり、あれ? と声が出た。いつの間にか、玲音がいなくなっていた。周囲を走り回る子供に目を向けるが、そこにも姿を見つけることは出来なかった。
「おおきいグルグルひまわりがかけたよ!たよ!」
玲音は平屋の壁に大きな向日葵を描いた。中心の部分が渦を巻いている。黄色い花弁は尖っていて窓にまで達していた。海美は目にした瞬間、はみ出てる、と指摘した。
渚は朗らかに笑って絵を間近で見る。
「大きなひまわりね。そう言えば、こんな丸い的のような絵を描いて水鉄砲で遊んでいたわね」
「おもしろそう! それ、どこどこ!」
「保育室かな。廊下かも。たくさん描いてあるからねー。冒険みたいな感じで中に入って探してみて」
「冒険だよ!だよ!」
玲音は声を上げて駆け出した。まって、と言いながら海美が後を追い掛ける。
玄関で靴を脱いだ二人は廊下に出た。無数の落書きが一斉に目に飛び込んできた。子供達は顔を引っ付けるようにして描いている。廊下には色とりどりの花が咲き乱れ、窓には動物の群れが躍動していた。
「こんなところにかいたらあとが大へんだ! おねえちゃんのわたしの出ばんだね! えっと、れーねちゃんもきょうりょく、ってどこ!」
再び玲音の姿が見えなくなった。海美は方々を歩き回って保育室の一つに入っていく。
玲音は子供達に交じって床に猫の絵を描いていた。角張った自転車は横幅が広く、自動車のようにも見える。
「れーねちゃん、すぐにいなくならないで!」
「ボクはちゃんといるよ!」
玲音は親指を立ててにかっと笑う。
「それならいいけど。みんな、あつまって!」
海美は子供達に向かって大きな声を出した。
「なぁに?」
「いそがしいのに」
子供達は不満を口にしながらも集まってきた。目にした海美は廊下にも顔を出して呼び集める。
「真央ちゃんを呼んだのだ?」
赤いジャージ姿の真央が廊下から現れた。海美は目を丸くして、なんで、と叫んだ。
「真央ちゃんも絵を描きにきたのだ。海美ちゃんは何を描くのだ?」
「ねこでんにかけなかったもので、いろいろだよ!」
一度、話を打ち切った。集まった子供達を前にして海美が咳払いをする。
「風邪なのだ?」
「ちがうから、大じょうぶ! ゴホン、みんなはいろんなものをかきたいよね!」
海美は子供達を見回すようにして言った。
「でんしゃがいいー」
「わたしはおはな!」
「えっと、おにんぎょうさん」
「真央ちゃんはねころぼっくるなのだ!」
理解を示して頷く海美は最後で、それ、しらない、と首を傾げる。真央は堂々とした態度で床に後ろ向きの猫を描いた。当然のように蕗の葉を持たせる。不思議な構図に子供達の興味が集まった。
「こんなねこいるの?」
「ねころぼっくるはいるのだ! 真央ちゃんはいろんなところに描かないといけないので、これで失礼するのだ!」
猫のような俊敏さで真央は走り去った。突風のような出来事に少しの間が空いた。
海美は中断していた話を進める。
「えっと、かくのはたのしくていいんだけど、かくばしょはきめないとね。あとのおそうじが大へんだから!」
話の途中で女の子がクレヨンを手に握った。二組の来客用のスリッパを持ち込んで全体を赤く塗る。それらの踵の部分を組み合わせて十字を作った。
「おはなだよ!」
「おはなにみえるー」
「そうだね」
海美は顔を綻ばせ、思い直したように頭を振った。
「スリッパはぬのっぽいし、ちゃんときれいになるのかな。れーねちゃんはどう、またいない!」
今度はすぐに見つかった。玲音は窓ガラスに向かって何やら手を動かしていた。海美が呼び掛ける前に振り返ると子供達が一斉に笑い出した。
「このクレヨンはどこでもかけるんだね!だね!」
玲音の鼻は黒く塗られている。頬には白い髭が何本も描かれていた。
「ねこみたい!」
「ぜったいねこだ!」
「ボクはねこだにゃん!」
玲音は素早く両手を丸める。片方の手で顔を洗う仕草を見せた。女の子の一人が自分の顔に髭を描いた。元気な男の子は他の子供の頬に線を付けた。
けたたましい笑い声を上げて子供達はクレヨンを振るった。
「みんな、かってなことしちゃダメ!」
注意することで子供の目を惹いた。逃げる海美を子供達が追い掛ける。頬には赤や黄色の髭が何本も描かれた。側では玲音が楽しそうに走っている。
「どうにもできない! せんせー、たすけて!」
「これがぼうけんだね!だね! ボクもたすけてーにゃん!」
二人は騒々しく廊下を駆けていった。沐浴室に逃げ込むと渚が待機していた。
「あら、二人の顔が素敵なことになってるわ。このクレヨンは本当にどこにでも描けるのねー」
「せんせー、きれいにして!」
余裕のない声で海美が言った。
「きれいになったら、こんどはパンダになろうかな」
玲音は呑気な声を出す。
渚はシャワーで二人の顔のクレヨンを洗い流した。ふかふかのタオルで顔を拭く。
海美は自分の顔を撫でて表情を緩めた。
「いまの子どもは、こんなかんじなの? せんせーって大へんだ!」
「そうね。大変だけど遣り甲斐があって楽しいわ」
大人びた海美に渚は笑みを込めて言った。
「もっとかきたいから、はやくいこうよ!」
玲音は足踏みを始める。乗り気でない海美の手を引っ張って戻っていった。
「きょうはとてもたのしかったです。ありがとうございました!た!」
見送りに出てきた渚に玲音は元気に言った。横に並んだ海美は疲れた様子で項垂れ、ありがと、とか細い息のような声を出した。
「先生も楽しかったわ」
小さく手を振る渚に玲音は大きく振り返す。余力のない海美は背中を丸めてとぼとぼ歩いた。
やがて二人は別々の道を帰っていく。
一人になった玲音は大きく腕を振りながら、ぽつりと口にした。
「きょうのにっきは、えにっきにしようかな」
家が見えてきた。玲音は今日、最後の走りを見せた。
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3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年07月04日
参加申し込みの期限
2015年07月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年07月11日 11時00分
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