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【対なればこそ】
まさしく、本の虫。何かにつけてそう呼ばれた子供時代を、
山野 無花果
は思い返します。『思ひ出』に収められている古書たち、とりわけ純文学に類するそれらが無花果の胸へと、店の名が示す通りの懐かしい日々を、ありありと蘇らせてくれました。
(本当に、本ばかり読んでいたな。ああ……これも。これも、あの頃に読んだ……)
つ、と背表紙をなぞると伝わる、その感触すらも思い出の中、何度と無くそうした記憶が浮かんできては、泡沫のように流れていきます。
まるで芸術作品のような、美しく滑らかな文字運び。そこへ登場する人物たちの語る、生、死、それに愛も。踊るような言葉のひとつひとつが胸を打ち、少年の頃という時をかけ、無花果の中へと染み付いていったのです。
けれど。だからこそ。
(ああ。これも……)
タイトルは、『肖像』。美しい顔を持ち自己を偏愛する潔癖症の男が、ひょんなことから自分のルーツの一端に触れ、それを突き詰めていくうちに自身の出生にまつわる忌避すべき秘密を知り、真実に耐え切れず、次第に狂気へと堕ちていく……そんな話です。
手に取った表紙の装丁の感触を楽しみながらにページをめくり、どちらかと言えば暗い物語に反して、朝日に美しくきらめく大河のように連なる文字の並びを堪能するたび……ちくり。胸を刺す思いがありました。
無花果はまだ大学生でありながら、少女小説レーベル『ニャーンズハート』の押しも押されもせぬ人気の小説家、看板作家です。つい先ほどにも、執筆を終えた原稿を担当者へと手渡してきたところであり、少しばかり締め切りよりも早く書き上げることができたもので、予期せず空いたこの時間を、以前より気になっていたこの『思ひ出』で過ごそうか。そんな風に思い、立ち寄ってみたのでした。
子供の頃、あれほど純文学に胸をときめかせていた自分が、今は到底かけ離れた甘酸っぱい恋物語など執筆しては、主に低年齢層の少女たちの胸をときめかせている……そんな過去と現在における対比が、やんわりと、無花果を締め付けるのです。
「何を書いてるの? 今日も小説?」
ふと。カウンター席のほうから、届く声。
(……小説を?)
つい、視線をそちらへ向けると、先客である少年少女の、初々しい姿が目に入りました。
初めて入るお店だというのに、あの見知った背中を見かけるなんて。知らずのうち、胸がとくんと高鳴ったことに、
青龍寺 琴理
は気づいてはおりませんでしたけれど。
ともかく彼女は、図書委員会での付き合いも長い
日野 満
へとこっそり近づくと、背中を軽く、ぽんっと叩きました。
「満くん、何してるの?」
「ひっ!?」
いつものように良い声で鳴いてくれるもので、琴理はやっぱり、楽しくなってきてしまいます。
「ほらほら、大きな声を出したら、周りの迷惑になっちゃうわよ?」
「せ、青龍寺さん……!? ああ、びっくりした……!」
どうにも臆病な、そして図書委員長を務める彼の背中をこうして叩いてしゃっきりとさせてあげるのが、いつの間にやら、ふたりの定番のやり取りになっていたりするのでした。
琴理は断ってから満の隣の席へ腰掛けると、カウンターの上、彼が持ってきたらしい本に、その脇に広げたノート。彼の手に握られたシャープペンシルを順に眺めて、
「それで、何を書いてるの? 今日も小説?」
「いや、あー。うん。そのネタ集め、みたいな感じかな……ちょっとね、スランプでさ」
琴理が肩越しに覗いてみれば、本は海外の古い戯曲集を翻訳したもののようで、彼はその中から気になるワードをピックアップしては、ノートに書き写しています。
作家を目指しているという満が執筆中であるらしい小説を、琴理は、完成したら読ませてね? といつもお願いしていたりするのですけれど、今回はどうにも、難航しているのだとか。
「こういう舞台の脚本なんか、良いヒントになったりするかなって思ってさ……で、青龍寺さんは? 何か、探してる本でもあるの?」
「そうね、ここにあれば良いなと思うのだけど……でも、随分昔に読んだものだから。記憶がすごく曖昧なのよね」
内容はおぼろげで、タイトルも思い出せない、小さい頃に読んだきりの冒険小説シリーズ。このお店を訪れて、琴理が真っ先に探したのは、そんな懐かしい本でした。
旅する少年が、可愛らしい一匹の猫を相棒に、様々な土地を旅しては数々の困難に立ち向かい、出会いと別れを経験し、成長し、そして旅を続けていく……最後まで読み通したのかどうかもあやふやではありましたけれど、それでもそんな少年と猫の大冒険は、琴理の胸へ、ひとつの思い出となって残っています。
(満くんに、聞いてみようかしら?)
何かインスピレーションが降りてきたのか、忙しくかりかりとペンを動かし始めた、彼の横顔をじっと見つめて。けれど、邪魔してしまうのもためらわれて……それに何だか、こんなのも悪くは無いかも。琴理は、そんな風にも思います。
彼の隣で過ごす、こんな何も無い時間も……これはこれで、悪くは無いのかも?
それから、しばらくの後。カウンター席へことりと置かれた、カップがふたつ……きょとんとした顔を浮かべた満が店主さんを見返すと、彼が掲げた手のひらは、琴理のほうへ。
「飲まない?」
彼女は、にっこりと笑いました。
「あ、え……い、いいの? ありがとう、青龍寺さん……!」
「ええ。小説、完成したら読ませてもらうの、楽しみにしてるわね」
そう広くは無い店内で、ふたりの会話は無花果へも届きます。どうやら恋人同士、というわけでは無いようですけれど、高校生らしき彼らの瞳は輝いていて、まるで、そう……無花果の書く、恋愛小説にもどこか似て。
少女が手に取った本を片手に、ぽつり、
「恋人、欲しいわね……」
「えっ? 何か言った?」
「……ふふっ。何でもないわ」
なんてやり取りにも、無花果は初々しくきらめく、青春の輝きを感じるのです。
ふと思い出し、懐から彼が取り出したのは、ひとつの封筒。ピンク色の可愛らしいそれは、先に原稿を提出した際に渡された、作家『九太郎(いちじくたろう)』への読者からのファンレターです。
かつて読み耽り、憧れた純文学の世界。今でもそれは眩しいものとして、彼の目には映ります……けれどこの封筒の中にだって、きっとそれに勝るとも劣らない、きらきらとまばゆいきらめきが満ちていることでしょう。
それを思うなら。
(……こうしてはいられないな)
無花果は注文したコーヒーを最後まで味わうと、先ほど手に取った『肖像』を購入し、帰路に着きました。
再び湧き上がる、次なる作品への創作意欲に、背中を押されるままに。
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担当ゲームマスター
墨谷幽
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ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
恋愛
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年07月03日
参加申し込みの期限
2015年07月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年07月10日 11時00分
参加キャラクター一覧
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