しっとり、ぼんやりと照らし出す、落ち着いて暖かな照明の色。どこまでも静謐な空間は、まるでひっそりと閉ざされた聖域のよう。
ほのかに漂うバニラのような、あるいはアーモンドのような。ほんのりと鼻腔をくすぐる香りは、足を踏み入れた客がある特定の嗜好、その深みにあればあるほど、踊るような期待感を胸へと湧き上がらせてくれます。
右を見ても、左を見ても……上を見上げても。
本。本。本! ああ、本の山!
「……ん?」
訪れた客を、たまたま奥の住居へ引っ込んでいるらしい店主に代わって、
ひとりの少年が出迎えました。
カウンターの席に腰掛け、優雅に読書中らしい彼は、ついと広げた本から顔を上げて、
「ああ……いらっしゃい」
「何か、ご注文は? ここの珈琲の味はそこそこだけど……読書のお供としては、及第点だと思うよ」
店主の甥っ子で居候であるという彼は、何かあれば呼んで、とそっけなく言ってから、再び本へと目を落とします。
珈琲にサンドイッチのひとつも注文したなら、後はゆっくりと心行くまで、この宝の山を堪能するばかり。
店内の棚に収められているのはいずれも、年季の入った古めかしい本たちです。
年代もジャンルも様々、実に多種多様な古書たちに囲まれながら、ふと目に付いた革張りの滑らかな装丁など手に取っては、時も忘れてのめり込む……読書を嗜むなら、誰もがそんな幸福なひと時に、思うさま浸ることができるでしょう。
あるいは、読む人の人生を鮮烈に塗り替えてしまうような、運命の一冊との出会いが待っているかもしれません。
古書喫茶『思ひ出』。その懐かしくも素晴らしい至福の空間へ、あなたもぜひ一度、訪れてみてはいかがでしょうか?
墨谷幽です、よろしくお願いいたします~。
今回のシナリオでは、舞台として、古書喫茶『思ひ出』さんをお借りさせていただきました。津島 直治さん、ご登場いただきましてありがとうございました!
(もしご参加いただける場合は、上記のシーンに寄らず、ご自由にアクションをかけて下さって構いませんので!
なお、ガイド及びリアクションにて、もしコミュニティについて何か想定されていないシーン等があった場合は、本シナリオに限定した描写ということで、ご容赦をいただけましたら幸いです)
このシナリオの概要
今回は、古書喫茶『思ひ出』の店内にて、本を探したり、静かに本を読んだり、お店の店主さんが出してくれる珈琲や軽食などを頂きつつくつろいだり、といったまったり日常シナリオになります。
『思ひ出』の店内を見回せば、棚へ収められたおびただしい数の古書が目に入ります。古今東西より集められた本たちのジャンルは豊富で、探せばきっと、あなたの読みたい一冊が見つかるはずです。
特に目的を定めず、興味を惹かれる本を求めて本棚を物色するのもよし。お気に入りの一冊を見つけたら、思う存分堪能するもよし。
誰かと一緒に訪れて、一緒に一冊の本を読む……なんていうのも、素敵かも?
ただしお店の中では、あまり騒ぎ過ぎないよう、お願いいたしますね。
おしゃべりはこっそり、ささやき声で。
アクションでできること
アクションには、お店の店主さんに何を注文するか、どんな本を探すか、どんな本を読むか、といった行動をお書きください。
読みたい本の内容を指定していただいても構いませんし、特に思いつかない場合、お任せということにしていただいてもOKです。
●1.注文する
メニューはシンプルながら、喫茶スペースにて飲み物、軽食を注文することができます。
もちろん何も頼まないというのもOK。
なお、小中学生の方は無料でご注文いただけます。
<飲み物> <食べ物>
【珈琲】 【トースト】
【紅茶】 【サンドイッチ】
【ジュース】
今回は、サンドイッチは『ハムと卵と野菜』、ジュースは『オレンジ』or『アップル』ということにさせていただきます。
ちなみにお味は、店主さんいわく『絶品』とのことですが、その甥っ子さんにしてみれば『そこそこ』だそうです。
●2.どんな本を探す? どんな本を読む?
探したい本のジャンルや、読みたい本のタイトル、必要なら作者名などもお書きください。
特にこれといった一冊を定めず、本棚を流し見して、何か興味深い本を探してみるというのもアリ。思いもかけないものが見つかるかもしれません。
気に入った本があれば、もちろん購入することもできます。
お任せの場合は、こちらで何かしら興味を持っていただけそうな本をご紹介させていただきます。
その際はアクションに、【内容はお任せ】等の旨を入れておいていただけましたら。
読みたい本、見つけたい本を指定したい場合は、
【本のタイトル】
【作者名】
【大まかな内容】
【その他備考など】
といったあたりをお書きください。こちらも、一部お任せということでも構いません。
本というのは、お気に入りの一冊を探すというプロセス自体もまた楽しいものだと思いますので、『探す』アクションの過程を重視するか、『読む』内容やそれを読んでのリアクションを重視するか、といったあたりもちょろっとお書きいただけると良いかもしれません。
※なお、実際にある本などで、パブリックドメインでないもの(知的財産権の発生しているもの)は指定できません。
既存の似たようなものを指定したい場合や、判断の付かない場合は、ネコジマナイズ! してしまうのがオススメです。
※また、古書喫茶『思ひ出』さんの本棚に収められているのにふさわしくないと思われるような本のご指定も、できれば避けていただけましたら幸いです。
アクションには、上記に加えて、
・心情など
(読書好きで好奇心が抑えきれず、何となく暇つぶしに、など)
・お店の常連さん? 初来店?
・NPCと絡みたい場合は、かける言葉など
といったあたりもお書きいただければ。
その他
●参加条件
特にありません。どなたでもご参加いただけます。
●舞台
主に、旧市街の参道商店街から少し離れたところにある、古書喫茶『思ひ出』さんの店内が舞台となります。
お店の中はそう広く無いとのことですので、全ての参加者がぎゅうぎゅうに詰め掛けて……というのではなく、それぞれに別の日時での出来事を描写する、という形になるかもしれません。
●NPC
○永田 孝文
寝子島高校の古文の先生。お店には何度か訪れたことがあり、お気に入りなのだとか。
寝子島出身のとある文豪が書いた文学小説を、珈琲を飲みながら優雅に堪能しているようです。
○日野 満
寝子島高校の図書委員長。たまたまお店を見つけて興味を持ち、初来店してみました。
海外の古い戯曲集の翻訳版を広げつつ、ノートに何やら書き留めているようです。
○胡乱路 秘子
多分寝子島高校の生徒。しれっといます。今日はオフの日、だそうです。
どこかの小学校で使われていたという、古い音楽の教科書を眺めているようです。
●備考や注意点など
※上記に明記されていないNPC、及び今回のシナリオには参加していないPCに関するアクションは基本的に採用できかねますので、申し訳ありませんが、あらかじめご了承くださいませ。
以上になりますー。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております!