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蝋燭の赤い光が揺らぐ。傍らに立つ日本人形の影が膝元に這い寄る。
久須部 紀伸
は黄昏に届いた手紙を膝に背筋を正す。
「私はある絵の話をしましょう」
ナニカに呼び出されて廃屋の座敷に揃った人々の視線が集まるのを感じて、紀伸は薄闇に瞳を細める。蝋燭の光に浮かび上がる人々の姿を、それぞれの表情を丁寧に見つめる。
「通称『机上の生首』。作者も正式な題名も不明な絵です」
人形の傍らへいざり寄る際にも服の袖を掴んでついてきていた
後木 真央
が、小さく息を呑んだ。
「机の上に置かれた生首がこちらをじぃっと見つめているというもので、ネット上では発狂した画家の遺作だとか、四回見ると死ぬとか言われているいわくつきの絵です」
「み、見たことあるのだ……」
怖いもの好きな癖に怖がりで最新情報チェック好きな真央が、横で欠伸する三毛猫のがおーを腹に抱き込み絶望の呻き声を洩らす。話の先に怯えて耳を塞ごうとする真央の肩を叩き、紀伸は申し訳なさそうな眼差しを向ける。
「ここだけの話ですが、実は私が描いた絵なんです」
真央から涙目で見上げられ、紀伸は困ったように眉を下げる。ナイショですよ、と僅かに微笑む。
あの絵を描いたのは二十年ほども前になるだろうか。
「無名で行き詰っていた頃、ウサ晴らしに誰かを怖がらせたくてオカルト系の匿名掲示板に投稿した力作です」
「四回見ても死なないのだ?」
紀伸は頷く。怪奇なものばかり描いているが、そんな力が己に宿っているとは思えない。
「誰かが悪乗りをして呪いの絵として他所へ転載したようです」
いつのまにか大層な噂がつくも、放置した方が面白いと口を閉ざし、ネットに飛び交う噂や検証を見守っていた。噂はそのうち生首の瞳が画面上で動いただの、夢に出てきて予言をしただの、作者である紀伸の意図とは違う方向に流れ出し、挙句の果て、
「最近になって、なんと私でない作者が現れたのです」
安堵の息を零しかけた真央が話の邪魔にならぬよう潜めた悲鳴をあげる。
「大昔に病死した画家の未発表作品が近年新たに見つかったのですが、それがあの絵と瓜二つなんですよ」
今まではあの絵を画家の習作だと主張する意見が出るほどに、構図も色合いも、表情までもが酷似した『机上の生首』。
「でも、お互い真似なんて出来る訳がありません」
最近まで表にも出ていなかった作品である上に、画家は紀伸が匿名掲示板に投稿するよりも前に死んでいた。
「偶然にしては何とも不気味なのですが、」
紀伸は瞼を閉ざす。
見る人に恐怖を与えるような絵をたくさん描いて来ていて、あの絵の時のような背筋が冷える不気味さを感じたのは初めてだった。それと同時、心が踊りもしたけれど。
「思い返せば私は何かに憑かれたようにあの絵を描き上げました」
くすり、笑みを零す。絵筆を握っている間の熱に浮かされたような感覚を、今も覚えている。
大昔に死んだ画家も同じ思いをしたのかもしれない。
探せば他にもあの絵と同じ絵が見つかるのかもしれない。
「もしかしたら私達は同じものにそれを描かされたのかもしれませんね」
心底楽しげに微笑み話を終える紀伸の隣、真央は紀伸に生首を描かせたものが何なのか真剣に考え、真剣に怯えてがおーを抱きしめる。締め付けの強さに暴れたがおーから猫パンチを頬に食らい、半泣きの顔を上げる。
「さあ、次のお話をどうぞ」
手近に灯る蝋燭を吹き消した紀伸に笑顔で請われ、真央は手を上げる。手紙に書かれた『ふしぎな おはなし』の文字を思い出す。怖い話でなくともいいのは正直とてもありがたかった。
「寝子島で体験した不思議な話をするのだ」
手の甲で瞼を擦り、真央は紀伸の傍らに立つ日本人形の澄ました横顔を見る。寝子島に住む人々に手紙を配り、寝子島の話を欲した、誰か。
(貴方はだぁれ?)
寝子島のことを知らぬが故に知りたがる誰かに語り掛けるように、真央は人形の瞳を見つめる。
「寝子島にはもともと神さまが落ちてきたって民話があって、そのせいで不思議なことが多いのだ」
例えば、と記憶を探って言葉にする。
例えば、お菓子を食べたらお菓子になりかけたり、二足歩行の猫に会ったり、ミイラに宝さがしに行こうと誘われたり。
「……夢でないと証明できないけど」
真央は翠玉の瞳を伏せる。
今こうしてここに生きていることさえ、こうして皆の前で話していることさえ、もしかしたら夢なのかもしれない。寝子島で体験した不思議なことも、友達と出会ったことも、もしかしたら――
真央は首を横に振る。がおーを抱きしめ、ふくふくの猫の温もりを確かめる。紀伸にくっついて来る際、一緒について来てくれて反対側に座ってくれた
八神 修
の姿を確かめる。
(夢なんかじゃない)
迫る暗闇に抗うように顔を上げる。
「不思議なことは見方を変えれば怖いけど、怖いばっかりでもないのだ」
言葉を探して首を傾げ、もう一度前を向く。座敷に集まった人々を確かめ、見つけた言葉を声にする。
「違う世界が近いんだろうなって思うのだ。そう思う時は、……不思議だけど怖くないのだ」
今も、同じなのだろう。
真央は笑う。何の恐れ気もなく笑うことが出来るのが、怖くない何よりの証拠。笑顔のまま、真央は左右を守っていてくれる紀伸と修の横を離れる。人形の前に膝立ちで進み、ぺたり、座りこむ。
「狒々のお面をかぶってるグレちゃんに会ったのだ」
不意に迷い込む、黄昏空の下の不思議な町の話をする。
「あそこは何をするにも記憶が対価で、……」
こうして皆の口から語られる話は、記憶と何が違うのだろう。
「話を聞きに来た貴方も、同じ世界の、……」
真央の脳裏にあるのは、あの世界の奥、白霧に隠された不思議な巨木。集めた記憶を素にして、あの世界を支え続ける、
「神木かなって、思ったのだ」
瞬きもしない人形の黒い瞳に己を映しこむ。応えを待って見つめるも、人形は身動ぎもしない。紅さされた口を僅かも開かない。
真央は小さな溜息で側の蝋燭を吹き消す。指定席の紀伸と修の間に座り込み、次の語り手を待つ。
「後木」
知った声に呼ばれて真央が顔を上げれば、蝋燭の光に照らされて人形の前に進み出る
御剣 刀
の姿。
「黄昏空の世界も、不思議なお菓子の世界も、猫の国も、宝探しの冒険も、」
指折り数え、刀は淡く笑む。
「俺も行った。だから、夢じゃないぞ」
絶え間なく揺れる火のせいか、ただ単に怖いだけか、泣き出しそうな表情をして見える真央を真直ぐに見て言い切り、刀は人形の前に胡坐をかく。
「俺も、黄昏空の世界の話をしよう」
揺らぐ蝋燭の光を宿した、揺らがぬ黒い瞳で人形を見据える。刃を正眼に構えるが如く、人形に宿ろうとするナニカを見破ろうとするが如く、瞳に力をこめる。
「黄昏空の世界と、そこにある町の話だ」
座敷の人々に背を向け、人々の視線を背に受け、刀は幾度と迷い込んだ『あの町』を物語る。
迷い込んだ土の路地には古びた長屋が連なっていた。雨が降ればすぐに溢れそうな溝を塞ぐ木板、外と内を隔つものは油紙の障子だけの古民家。家々に囲まれた井戸端、黄昏の光に照らされて赤々と咲く椿。
井戸端に集まるのは人ではなかった。溝にはまってもがく一反木綿、家の窓から覗く禿頭単眼の老翁、椿の梢に止まる木っ端天狗。
路地から大通りに出ればうだつを掲げた立派な商家。紅色格子の宿を窺えば、黄金の尻尾を憂鬱に振り煙管を吹かせる遊女たち。螺鈿細工の小さな箱の対価に恋心を求める土産屋。
「黄昏の町に夜が来れば、記憶を食らう鬼が現れる」
刃で叩き切ろうが殴り飛ばそうが笑いながら起き上がり追い縋る鬼。殺しても殺しても蘇り、町に住まう人ならざる者も迷い込んだ人間も、誰彼構わず追い駆けて来る、『鬼』たち。
「俺は逃げ切ったけど、……町の物の怪が記憶を食われる瞬間を、見た」
あの時見た場面を再現しようと人形の頭に手を伸ばして、友人の少女たちが丁寧に整えた黒髪に触れたところで動きを止める。鬼がしたように人形の頭を掴んだりして乱暴に扱えば、きっとまたすごく叱られる。
伸ばそうとした手を胡坐の膝に戻しがてら、刀は鼻の頭を引っ掻く。
「記憶を食われた人は何かを失っている事には気付くんだけど、それが何かが分からない」
あの町で記憶を失ったらしい真央や修、
桜庭 円
をそっと見遣る。
奪われた記憶は、その世界の、おそらくはずっと奥まった場所にある巨木の幹におはじきのかたちとなって埋まっていた。
「……ご神木」
あの世界の入り口でよく会う面掛けた男は確か、そんな風に呼んでいた。
「鬼に食われた記憶は、ご神木に取り込まれるんだ」
色とりどりのおはじきが光る神木の幹には、記憶を食う『鬼』たちすら埋まっていた。おはじきを、未だ神木に完全に取り込まれていない記憶を取り戻そうとすれば、神木はさせじとばかりに『鬼』たちを放った。
『鬼』から上手く逃げ切れば記憶を取り戻せる、男はそう言っていた。神木の前の鳥居では確か、能に言う翁面を掛けていたか。
そこまで言って、刀は小さく首を傾げる。
「『鬼』から上手く逃げ切った時に戻った記憶は本物なのかな?」
「な……」
他の人々と同じに刀の話に耳を傾けていた
桜庭 円
が黄昏色に赤い瞳を瞠る。何かを言おうとして口を閉ざす円を真直ぐに見遣り、刀は些かも怖じずに切り込む。
「そして、記憶を取り戻して幸せかな?」
思うたままを口にする。
「奪われた記憶は忘れたかった記憶かもしれないのに、忘れたらそれも分からないからな」
首を横に振る円に微笑みだけを返し、刀は真央や修に静かな瞳を向ける。
「記憶を奪われるという事は自分を形作っているものそのものを奪うという事だ。それは今の自分を殺される事と一緒じゃないかな」
真摯な表情の修と、どこか苦しげな表情の真央を見つめる。
「おまえ等も気をつけろよ? 自分が自分だと思えるものがいつの間にかなくなっているかもしれないぞ」
「肝に命じよう」
「……たとえ殺されても、真央ちゃんは真央ちゃんなのだ」
並んで座りながら方向を違える修と真央の言葉に刀はただ静かに唇を引き結ぶ。二人に対しては何も口にせず、刀は再び日本人形と向き合う。僅かに柔らかさを取り戻した口調で語り掛ける。
「もしも何か危ないと感じたら、」
ポケットから手紙を取り出して示し、力強く微笑む。
「こんな風でもいいから俺達に助けを求めな、応えるからさ」
(実際、)
伝えたい事を伝え終えて蝋燭を吹き消し退がりながら、刀は瞳を鋭利に細める。
(鬼がなにかの切っ掛けでこちらへ降りてきたとしても俺は驚かない)
この島に落神が住まう以上、何が起ころうと不思議ではない。
(ただそれが俺のフツウを侵すならば)
そうなればいつものように剣を振るう、それだけだ。
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阿瀬春
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
ホラー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年07月06日
参加申し込みの期限
2015年07月13日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年07月13日 11時00分
参加キャラクター一覧
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