this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
寝子島百物語
<< もどる
1
2
3
4
5
…
8
つぎへ >>
湿気った畳を踏みしめ、
碓氷 真理
は前に進み出る。生者を威圧するように暗がりの周囲を睥睨し、打って変わって柔らかな眼差しを日本人形に向ける。人形の前に正座する。
「呼んでくれてありがとう」
幼子の頭を撫でる優しい仕種で人形の頭をそっと撫でる。誰に語るでもなく、ただ一人、目の前の人形だけに向け、『ともだち』として微笑みかける。
「何の話をしようか」
九夜山の中腹に位置する落神神社よりも更に奥、獣道と化した山道を辿った先にひっそりと眠る廃神社の話をしようか。仮宿として間借りしているあの神社で、夜な夜な跋扈する愛すべき物の怪たちから聞いた話をしようか。
それとも、守護霊である亡き姉と共に赴いた幽霊ホテルでの一夜を語ろうか。怪談話としてはきっと申し分ないだろう。
それとも、今回と同じように百物語のために寝子島高校に集まった人々と、そこで起こった少女の霊による現象でも話そうか。
「そうだな……」
片手にしたままの『ともだち』からの手紙に薄墨の瞳を落とす。
「今回はとある娘の話をしよう」
人形を優しく見つめ、真理は昔語りをするかのように唇を開く。
「ある所に霊感の強い娘が居ました」
語り始める真理の背後、ふうわりと白い影が浮かび上がり、真理と同じ蒼く長い髪持つ女性のかたちとなるも、それに気付いたのは真理のみ。
『真理ちゃん』
真理にだけ聞こえる声で、真理の亡き姉である千佳が心配げに囁く。
人形と向き合ったまま、真理は千佳にだけ分かるほどに静かに微笑み、僅かも揺らがぬ声音で話を続ける。
「その力故に迫害されていた彼女には、家族以外の信頼する者……友達は居ませんでした」
少しの間、薄墨の瞳に睫毛の影が落ちて、すぐに持ち上がる。真直ぐに人形を見つめ、唇を笑みのかたちする。
「家に保管されていた、夜な夜な啜り泣いては動く一体の市松人形以外は」
除霊対象として持ち込まれた『呪いの人形』と、今目前にしている人形はとてもよく似ていた。
真理は手を伸ばす。着物の袖からちょこんと覗いた白い小さな手を指先で掴む。あの市松人形からは、こうすると動き得ぬ無機質な体に渦巻くどうしようもない孤独と悲しみが感じられた。
「彼女は、『呪いの人形』と言われたそれと心を通わせました」
彼女は人形の心に共感し、慰めた。人形も彼女の孤独と悲しみに共感し、慰めた。そうして二人はお互いを唯一無二の『ともだち』とした。
――ずっと一緒に居る
寂しさのあまり夜に零した涙の跡が黒い血じみて残る人形の冷たい頬に触れて誓った言葉を、今でもはっきりと思い出せる。
その誓いが果たされずに終わったあの日のことも。
その誓いを燃やした無慈悲な炎のことも。
「けれど、ある日。彼女を厭う生者が彼女の家に火を放ちました」
――逃げて、真理!
家に放たれた火に、迫る炎に、家族の誰よりも先に気付いた人形が真理の心に飛ばした思念の声を思い出して、己に向けられた生者の醜い行いを思い出して、真理は顔を顰める。
己と引きかえにその身を炎に捧げて滅した『友達』を思い、祈るように瞼を閉ざす。
(……花子)
「彼女を助けて、人形は燃えてしまいました」
あれ以来、初めての『友達』と同じ存在の救済を忘れたことはない。
真理は人形の小さな手をそっと両手に包み込む。
「……君の寂しい気持ちを少しでも埋められたら私は嬉しいよ」
語る間中、励ますようにずっと背中を擦ってくれていた姉の霊に微笑み、目前の『友達』に微笑みかける。
「私は君の成仏を願うよ」
柔らかな声で語り終える真理の背後、人目に触れ得ぬ姉の霊が音もたてず炎を消す。
「ん……?」
間近で不意に立ち消えた炎に、
久須部 紀伸
はちらりと眼を瞬かせる。それと同時、己の膝に握り締めた片手を置き、哀しげな瞳をする華奢な体に長い髪を纏わりつかせた半透明な少女の姿を見た気がして、もう一度瞬く。
不機嫌な顔した霊媒師が座敷の隅に移動し、その姿が蝋燭の光の影に隠れると共、痩せた少女の姿は紀伸の視野から消えた。
「おやおや」
(やはり此処の空気は良いですね)
雰囲気を心行くまで堪能し、楽しげに笑う紀伸には気付かず、開け放ったままの障子の際、
劉 瑞麗
と手と手を取り合って座っていた
岡野 丸美
がおっとりと手を上げる。先に立った瑞麗に手を引かれて立ち上がり、座敷の半ば、炎燃える蝋燭が二本並ぶ位置に移る。
「怖い話じゃなくて悪いけど」
そう前置きして口にするのは、彼女が二学期に入ってすぐに体験した不思議な出来事。
「その夜はね、あくる日に提出しなきゃいけない美術の課題が残ってて、私は夜明け前までずっとそれにかかりきりだったの」
網戸の向こうの夜に、虫の声が聞こえ続けていた。
恐いものは苦手だったけれど、桜花寮に寝起きしていれば夜は恐くなんかなかった。壁を挟んだ幾つもの部屋には、自分と同じ寝子高生がたくさん居たから。緩やかに揺れるカーテン越し、どこかの部屋で同じように夜更けまで起きている寮生たちの気配が確かに感じられたから。
「桜花寮の同室の子が、島内の親戚のおうちに行ってて留守にしてたから、部屋には私一人だけでね」
でね、と丸美は優しく垂れた目尻をふわふわと細める。
「ほら、真夜中過ぎまで起きて勉強とかしてたらお腹空くでしょう?」
おかっぱの黒髪の頭をちょっとだけ傾げる。隣に正座して寄り添っていてくれる瑞麗に同意を求める。
青紫に翠散る神秘的な瞳した大陸の少女は、丸美の瞳をじっと見つめたまま、無邪気に笑った。いとけない少女に見つめられ、まるで話の続きをねだられた気分になって、丸美は頷く。
「私もお腹が空いたから、お菓子をちょっとずつ食べてたのね」
机の引き出しに隠したお菓子箱からたった一袋だけ取り出したお菓子をひと齧りしては絵筆を走らせ、一つまみしては色を作り、のんびりのんびり課題を片付けた。
「ようやく終わって、一眠りして、それで朝起きたら……」
その時の光景と驚きを思い出して、丸美はくるりと目を丸くする。傍らでじっと話に聞き入っていた瑞麗がつられてぎゅっと肩を強張らせる。
「お菓子の箱と袋が、部屋中に一杯!」
「……丸美、いっぱい食べちゃった?」
お団子頭を傾げて考えた末に瑞麗が発した言葉に、丸美はおかっぱ頭を何度も横に振る。
「そんなに食べてないもん」
それにあの頃もダイエット中だった。だからちょっとだけね、と口にしたのはたったお菓子一袋分だけ。
けれど部屋中に散らばったお菓子の箱や袋は、机の一番下の大きい引き出しに詰め込んでいたお菓子の全部だった。食べ切れない量ではないものの、
「そんなに食べたらお腹いっぱいになるはずでしょ?」
丸美は丸い頬を真っ赤にして真剣に考える。
「でも私、朝ご飯だってちゃんと食べれたんだもん!」
白いご飯と若布と豆腐のお味噌汁とハムエッグ。美味しく全部頂いた。
「よく思い出したらね、夜中に部屋の中で誰かがクスクス笑う声が聞こえてたような気がするの」
それにね、と丸美はとっておきの恐怖を語るために声を潜める。
「私、その日カーマインを買い忘れてて、仕方ないから別の色で塗ったはずだったのに、」
画用紙の上に描くつもりだったのは、どこまでも赤く艶やかに咲き誇る花。けれど肝心の赤が手元になくて、まあいいかと描きあげた花はふうわりと柔らかな黄色。そのはずだった。
「机に広げて乾かしてた課題、ちゃんとカーマインで仕上げてあったんだよ!」
陽の下で見たあの花と同じに輝く赤に塗り上げられた絵は、課題締め切り当日なこともあってきちんと提出した。結構いい評価を貰った。
「不思議でしょ?」
座敷の奥、蝋燭の光に照らされて立つ日本人形に向けて言い、丸美は近くにあった蝋燭の炎を吹き消す。
消した分だけ迫る闇に怖じるまいと、瑞麗は小さな背中を伸ばす。語り手たちの顔を見つめ続けてきた瞳を正面の人形へともたげる。
「るいり、怖いのへいき」
呪文を唱えるように呟いて、話し終えても立たずに隣に居てくれている丸美の手をぎゅっと握る。
(……うそ)
本当は、本当のところは、まるきり平気というわけでもなかった。でも、それよりも朧な蝋燭の光の中に語られる色んな話に引き込まれた。話をしている人の目や顔を見つめることが面白かった。
嘘も本当も、色んな事がわかる気がした。
丸美が手を握り返してくれるのに勇気を得て、瑞麗は唇を開く。
「るいり、上海に住んでた」
人に胸を張って言えぬ職にある父は、それが故か住処を転々とした。広い屋敷を幾つも所持していた。
あの出来事に遭遇したのは、蜘蛛の巣のように入り組んだ水路と土産物屋が雑然と軒を連ねる石畳の路地の果て、人気の絶えた石橋の先の白壁に青煉瓦の古いお屋敷。
「庭の片隅、一本の木」
不思議な瞳の色した大陸の少女が慣れぬ日本語で懸命に語ろうとする話に、人々は耳を澄ませる。
「名前は知らない、でも毎年綺麗な白い花が咲く」
父に仕える幾人もの使用人たちは、その樹木に咲く白い花を葬儀に使う花として厭うたけれど、それでも、瑞麗はその花を美しいと思った。花が咲く頃にはその樹の下を通ってよく散歩した。
「ある日。木でインコが鳴いた。誰かが逃した? 迷い込んだ?」
その樹の下であの日にしたと同じに、瑞麗は首を傾げる。
「わくわくしながら探してみた」
ごつごつとして無骨な幹に抱きつき、青々と繁る葉を掻き分け、声のもとを辿った。
「そしたら、あいやーびっくり」
瑞麗は両手を広げて驚きの仕草をしてみせる。語り初めは緊張したけれど、闇に白く浮かび上がる日本人形の顔を見つめて話始めてみれば、言葉は滑らかに喉から飛び出た。
「女の人、木に生ってた」
これくらい、と瑞麗は小さな白い掌を揃えて宙に差し出す。
「真っ白い玉の肌、綺麗な綺麗な女の人。インコの声で啼いてた。あいやー」
今よりずっと幼かった瑞麗は叫んで逃げ出した。木から飛び降り、怖くて布団に包まった。ぶるぶる震えて夜泣きして、お守りの番の使用人のお婆さんを困らせた。
「次の日、おそるおそる戻ってみた。女の人は干からびて死にかけてた」
玉の肌は茶色く日に焼け、美しく艶めいていた顔は骨に皮が貼り付くだけになっていた。瑞麗は慌てて碗に水を汲む仕草をしてみせる。そうっと水を注いで、女の人の様子を看るように身を乗り出す。
「生き返った。潤いを取り戻して、艶々」
あの日の安堵のまま、白い頬に笑みを浮かべる。
「るいり、その事を使用人のお婆さんに話してみた。そうしたら教えてくれた」
再び背筋を伸ばし、少女は語る。
死人の花を咲かせる樹に宿った、花魄なる木の精霊を。
三人以上が首吊り自殺した木に、自殺者達の生前の無念が凝り固まって誕生するその恐ろしい因縁を。
使用人の老婆に花魄を見せた時の老婆の驚愕を。
――お嬢さま、どうかこの婆にお約束してくださいまし
皺くちゃの顔を青褪めさせ、老婆は声を震わせた。
――お父上には決してお話されませぬよう
花魄の顔は、屋敷の先住者であった豪商の妾と同じなのだと、ほとんど生まれた時から屋敷に仕える老婆は語った。そうして、豪商が同じ木で首を吊ったとも。
「言っても信じてもらえないから」
瑞麗は唇に人差し指を押し当てる。
「この事は使用人のおばあさんとの秘密」
瑞麗は音もなく立ち上がる。通りがかりに蝋燭の火を消し、日本人形の前に座す。膝に抱き上げ、黒髪を撫でる。
「るいり、おばけ信じる」
冷たく動かぬ人形を抱きしめ、囁く。
(おばけだってひとりぽっちは寂しいって思う筈)
この島に来て友達になった子たちを思う。
たくさん友達ができた。だからもう寂しくなんかない。でもだからこそ、ひとりぽっちの寂しさをよく知っている。
「怖いねぇ」
背後に掛かった丸美の暢気な声に、瑞麗は真剣に頷く。人形の髪をもう一度撫でて、この怪談会の指定席とした丸美の隣に戻る。一見のほほんとした表情のその癖、本当はちゃんとゆっくり怖がって色を失くした丸美の頬を小さな掌でごしごしと擦る。
<< もどる
1
2
3
4
5
…
8
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
寝子島百物語
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
ホラー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年07月06日
参加申し込みの期限
2015年07月13日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年07月13日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!