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エメラルドの迷宮でお茶を
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掛けた椅子の傍ら、ぴょこりと顔を覗かせる薄紅色の小さな花。銀色の産毛生やした幼子の掌にも似た鮮やかな緑色の葉に指を伸ばす。
触れた途端、ふわり、薔薇のような華やかな香が立ち昇る。素焼きの鉢に挿された蜂形ピックに記された植物名は、ローズゼラニウム。
ハーブの香の残る指をテーブルの資料に戻そうとして、
桧垣 万里
は息を零す。進まないレポートの文字を指先で弾き、椅子の背もたれに背を預けて天上を仰ぐ。
空中栽培の観葉植物が梁に下がる透明天井越しに見えていた青空は、いつの間にか黄昏の朱金色に染まっている。
気が散ってばかりの頭を指先で掻く。気分を切り替えようとポットサーブの紅茶をカップに注ごうとして、うっかり空になっていることに気付いた。ちらりと首を傾げ、メニューに目を走らせる。
(集中力を高めるためにはこれをいただくべきよね)
店員を呼び、ハーブティーを注文する。
お茶が届くまで一休み、と疲れた瞳を温室の奥へと向けて、
「あ、お帰りなさい」
「ただいまなのだー」
何だか長旅を終えた旅行者の顔でカフェに戻ってきた
後木 真央
に声を掛ける。
真央の後に続いて、黒髪眼鏡の少女がゆったりとした足取りで蓮池の石橋を渡り、長い散歩を終えた表情で大きく伸びをする。然程広くは見えない温室の緑のどこかで出会ったのだろうか。
「メニューの残り下半分、お願いしますのだ!」
「豪快ですー」
カウンター前の椅子に着き、胃袋取材の続きに戻る真央の隣に掛け、
薄野 五月
は思わず拍手する。
ちょっとの散歩のつもりが、思いがけず遠回りになってしまったけれど、緑の中を歩いて随分お腹も減った。メニューに並ぶ洋菓子の写真はどれも何割り増しかに美味しそうに見える。
「後木さんのおすすめはどちらでしょうか」
「全部うまうまなのだ!」
「流石に全部はいただけませんよー」
少し悩んで、本日の紅茶とシフォンケーキのセットを頼む。
「写真の生クリームがとても魅力的です」
「ふわふわしっとりでうまうまなのだ!」
「ふっふ、それはとっても楽しみですー」
心底楽しそうに笑いながら注文の品が供されるのを待つ五月の姿勢よく伸びた背筋を見てから、真央はテイクアウト用のクッキーも続けて頼む。デジカメに撮りためた店やお菓子の写真を確かめつつ、スマートフォンを取り出しメールを作成する。
「取材結果持って遊びに行きたいのだ……っと」
スマホを高く掲げて送信ボタン。
バイト先と同じに天真爛漫な様子を見せる真央の背をぼんやりと眺めていて、万里は店員が届けたハーブティーの湯気と香に睫毛をしばたたかせる。空のポットとカップを下げる店員に礼を言い、ハーブティーのカップソーサーを持ち上げる。
頭をスッキリさせる香りと味に瞳を細めて一服する。一息入れてレポート作成に戻るつもりが、
(この味をだすためには……)
ハーブの配合が気になってしまった。
(えっと、使われているハーブは……)
メニューに小さく書かれた文字に視線を落とす。
ローズマリーにミント、レモングラス。ガラスポッドの中に浮くハーブも眺め、目分量で配合を読み取ろうとしていて、
(……って、今やるべきレポートとハーブのことは全く関係無いんだったわ)
しばらく考えた後に我に返った。カップをテーブルに戻し、頬杖をつく。いまいちやる気がでないせいで、どうにもレポートが進まない。どうしようかと温室内の緑に視線を泳がせていて、
「……あ、」
ふと思いついた。
(そうか、家に帰ってメイド服を着てレポート書けばいいんだわ)
こんなにやる気が出なくても、メイド服さえ着ればきっとやる気が湧くはず。
(メイド服の私ならレポートも終わる!)
強く言い聞かせる。
(……たぶん!)
そうと決まれば、緑溢れる静かなカフェで必死になってレポート作成なんてナンセンスだ。万里はひとり大きく頷く。空白だらけのレポート用紙も、なかなか頭に入って来ない資料も鞄に仕舞ってしまおう。
スッキリと片付いたテーブルの真中にハーブティーを据える。無粋なレポート用紙や資料の束がなくなってスッキリしたテーブルに、万里はふふっと笑みを零す。
(現実は忘れて、)
今はもう少しのんびりしていよう。
黄昏の色に染まる緑の木立の中、黒髪の青年が、日傘の少女と黒髪の少女が、それぞれの足取りで順繰りに歩いて来ている。
石橋に続く黄色い道に立ち止まり、
神代 千早
は背後に広がる温室の森を振り返る。手にしたカメラのファインダーを覗き込む。画面に映る温室が、何の変哲も広さもない、至ってフツウの温室に戻っていることを確かめる。
千早の脇を会釈して過ぎ、
桜 月
は石橋の上に黄昏空を仰ぐ。日傘を畳み、スカートの裾を揺らして蓮池を渡る。エメラルドの迷宮で出会った
宮祀 智瑜
を伴い、夕暮れ空のカフェの片隅の席に着く。
店員に紅茶を頼む月に倣い、智瑜も紅茶とケーキを注文する。
「日の落ちた空と植物も綺麗だ」
「はい、いい色ですね」
紅茶とケーキが届くまで、と智瑜はカフェに辿り着くまでに携帯電話で撮った花や緑の写真を呼び出す。
「このお花、綺麗でした」
「ああ、……デルフィニューム、だったか」
隣の月と並んで見れば、月は道々に書き留めたメモを確かめて紅色の瞳を細めた。
「あ、ケーキの写真も撮っておこう」
「そうだな」
うっかり零す独り言に律儀に言葉を返してくれる月に笑みかけ、智瑜はカウンターに飾られた土産用の花束や瓶詰めポプリへと目を遣る。
祖父母へのお土産には花がいいだろうか、ポプリがいいだろうか。
(どれにしようかな)
沈む夕陽の色に染まる寝子電に乗って家に帰ったら、祖父母にこの植物園の温室のことをたくさん話そう。撮った写真を見せて、教えてあげよう。
(迷いそうなところだった、って)
そうして、今度は三人で来ようと誘おう。
新しい計画を立てながら、智瑜は温室で出会った少女とふたり、並んで紅茶を楽しむ。
温室を一巡りしてきた客で賑わい始めるカフェをひと眺めして、
宇津野 京
はお代わり自由のカフェオレを口にする。口いっぱいに広がる甘い美味しさに空色の瞳を細め、
「やっぱり甘いものはいいね!」
隣のテーブルで紅茶やケーキを楽しむ少女ふたりに明るく笑いかけようとして、ちょっと目を丸くする。
「宇津野さん」
「今日は」
「読書の秋、ですか?」
同じクラスの宮祀智瑜が教室に居るときと同じ柔らかな笑みを浮かべた。手を振る智瑜に手を振り返し、京はテーブルに積み上げたカタログを智瑜に示して見せる。新しいカタログを鞄から取り出す。自分の大好きなものを同級生に教えたくてたまらない、ちょっぴり子どもっぽい笑顔を浮かべて、
「このメーカー、みんなダサいって言うけど、機能性とかお値段とか考えるとこれほど良いものはないんだけどね!」
バイク関連のアイテムが並ぶページを指先で弾く。
(今年の新作は結構いい感じだね~)
「……お」
順調にページを繰っていた手が好みぴったりなジャケットの上で止まる。
「このジャケット可愛いかも!」
「君はそういうデザインが好みなのか?」
智瑜の隣で紅茶を飲んでいた、物静かそうな白い髪の少女が興味深そうに紅色の瞳を向けてくれるのが嬉しくて、京は力いっぱい頷いた。
あんまり嬉しかったこともあり、小腹が減ってきたこととお小遣いに余裕があることを理由にクッキーを頼んで隣のふたりにもお裾分けする。
上機嫌でクッキーを齧り、
「甘いものっていいねぇ」
幸せな溜息を吐いて賑わうカフェを眺める。
茜色に染まる温室の緑も、夕暮れになって香りを強める花も、お菓子の甘さも、ぜんぶ楽しい。
もう少し、長居をしてしまおうか。
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あとがき
担当マスター:
阿瀬春
ファンレターはマスターページから!
お待たせいたしました。
エメラルドの迷宮でのお話、お届けにあがりました。
みなさまがそれぞれにのんびり過ごされる様子、とても楽しく書かせて頂きました。ありがとうございました。
迷宮からの脱出方法ふたつ、なのですが。
ひとつは『踵を三回鳴らす』、
ひとつは『黄色い煉瓦の道を辿る(辿って最奥に着く)』、
でした。みなさま正解ー!
ご参加くださいましたみなさま。
エントリーくださいましたみなさま。
読んでくださいましたみなさま。
本当にありがとうございました。
またいつか、お会い出来ますこと、楽しみにしております。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年06月19日
参加申し込みの期限
2015年06月26日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年06月26日 11時00分
参加キャラクター一覧
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