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エメラルドの迷宮でお茶を
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メニュー上半分制覇で膨れ上がった腹は、温室を歩き回るうちにぺこぺこになってしまった。
「がおー、どう思うのだ?」
緑の葉陰に隠れ、ろっこんの力を借りて呼び出した三毛猫がおーのふくふくの腹を後頭部と肩に感じながら、
後木 真央
は首を傾げる。
手を伸ばし、頭にしがみつくがおーの腹を撫でる。
ポケットから取り出したスマートフォンを確かめれば、腹ごなしの散策を始めて半時間ほどが過ぎている。
「さすがに広すぎかなぁ」
植物園の入り口で貰ってきたパンフレットを広げる。小さな植物園の、小さな小さな温室。外側から見たときは、五分もあれば一周出来ると思ったのに。
確認したパンフレットにも『一周五分程度』の文字を見つけて、真央は翠玉の瞳を丸くする。
「……神魂なのだ?」
この寝子島で起こる不思議な出来事のほとんどは神魂で説明がつく。説明はつくものの、出口も分からず他の人も見当たらない緑のジャングルに迷い込んで、いつ出られるかも分からないとなれば、不安が先立つ。
それよりなにより、
(お腹空いたのだ)
こなれてぺたんこのお腹を押さえ、悲しい瞳で透明アクリル越しの秋空を仰いで、サボテンのような植物に実るトゲトゲの赤紫の果実を見つけた。
「ふおお! 神はいたのだ!」
思わず歓声を上げ、迷わず駆け寄る。腹の虫の命ずるままに手を伸ばそうとして、はたと気付いて周りを見回す。誰も居ない。
「……いただきますなのだっ」
周囲の無人を確認するなり、実った果実をもぎ取る。ジャージの腹で擦って躊躇なくかぶりつく。
「おぉー……」
外側の赤紫に反して、中身は白い。キウィの種に似た黒い粒々もある。
「思ったより酸っぱいのだ」
それでも、案外固い皮を歯でこそぎながら内側の果肉を全て食べ終え、とりあえず落ちついた胃袋と心に一息つく。
緑の匂いに満ちた空気を胸いっぱいに吸い込み、ついでに空気に混ざる甘い匂いに気付いて目を輝かせる。虎視眈々とぐるりを見回し、
「やったのだ!」
午後の太陽を燦々と浴びる緑影に赤くたわわに実る小さな果実を見つけるなり道なき道に踏み込む。羊歯の葉を掻き分け低い潅木の下を潜り、辿りついた果樹の下に陣取る。果実の重みで垂れ下がる梢に目を輝かせ、まずは一粒。
「甘うまなのだ冷やしたらもっと美味しそうなのだ……」
舌の上でとろける甘さが嬉しくて、思わずその場で飛び跳ねる。持って帰って寮の冷蔵庫に突っ込めばきっともっと美味しくなるに違いない。
「でも持って帰るのは神魂の域を超えちゃう気ががー」
食欲と心の葛藤にじたばた悶えつつ、果実をもいで口に運ぶ手は止まらない。目の前の果実が尽きてしまえば、次なる食糧を求めて果樹の幹に足を掛ける。猫じみた動きでするすると樹にのぼり、太い梢に腰を下ろす。
手近に下がる果実に手を伸ばして休まずもぐもぐ頬張りながら、高い位置から熱帯の森を眺める。
「……不思議なのだ」
空を覆うのは透明アクリルと鉄筋の人工的な空なのに、その空は果ても見えぬほどにどこまでも広がっている。濃緑の森が地平線まで地表を覆い尽くしている。
どこまでも広がる熱帯の森に果実の色を探していて、真央はちらり、首を捻る。
(明るいから?)
(ずっとやってみたかったから?)
どうして今、一人が怖くないのだろう。
小さな疑問が浮かんだ途端、無心に食糧を探していた瞳に影が差した。呼吸した息が溜息の熱を帯びた。
胸に生まれた冷たさから目を逸らし、スマホを取り出す。消去できずに保存したメールを呼び出そうとして、
「ッ!」
縋ろうとした温もりから身を捩り振り解くように、手にしたスマホを力いっぱい森へ投げ捨てる。
熱帯の分厚い木の葉にぶつかりながら落ちてゆくスマホから顔を背ける。
親を振り返る子供の行動だ、そう思うと同時に嫌悪する。
自分自身に対する怒りにぎらつく瞳を固く瞼に閉ざす。
(分かってる)
好き勝手に生きるということは独りで立たねばならぬということ。孤独に慣れねばならぬということ。
そのために必要なのは、
(強くならなくちゃ)
そうして人と触れ合い友人を作る。自分を変えてゆく。
今までのうちに、それを理解した。
それなのに、今の行動は何だ。友人に感謝するのと物に依存するのとは、
(全然違うのだ)
「……ってダメなのだ、」
真央は翠玉の目を見開く。咄嗟に梢から飛び降りそうになって慌てて幹にしがみつく。
「メーリングリストー!?」
悲鳴をあげて果樹から下りる。肩にしがみついたがおーが、大きく揺れる真央の頭に不満の声をあげる。
「ごめんなのだがおー、でもスマホが、メーリングリストがー!」
緑の迷路の空に響き渡る聞いたことのある声に、
「おや」
薄野 五月
は眼鏡の奥の黒い瞳を瞬かせた。
天然水のペットボトルを片手、もう片手を額に当てる。空を覆う緑の梢から降り注ぐ眩しい陽を遮り、声の聞こえた方向へと視線を伸ばす。
どこまでも重なる緑や、緑の間に鮮やかに咲く原色の花々の間、見つけたのは声の主ではなく、熱帯の分厚い木の葉をクッションに梢に引っ掛かったスマートフォン。
「落し物でしょうかー」
黄色い煉瓦道から少し離れ、羊歯の葉叢を掻き分ける。ブーツの底に感じるふかふかの腐葉土の感覚にちらりと笑って、梢に引っ掛かって事なきを得たスマホに手を伸ばす。
指先が届くか届かないか、やっと届いた指先がスマホの角に触れて、
「おっと」
転がり落ちたスマホを両手で受け止める。
「ふふふ、ナイスキャッチですー」
「あああ、五月ちゃんー!」
「おや、やっぱり後木さん」
喚き声が近くなると同時、重なる緑を掻き分けて、その拍子に地面を絡まり這う根っこに足を躓かせて、真央が五月の前に転げ出る。
「スマホっ、スマホがっ……」
息を切らせ、土下座の格好で蹲る真央の前に五月はしゃがみこむ。
「こちらですねー」
戦慄く真央の手に、拾ったスマホを握らせる。
「ありがとなのだー、助かったのだー」
「いえいえ、お気になさらずー」
必死の顔でスマホを抱きしめる真央の背中を軽く叩いて、五月は立ち上がる。
「星ヶ丘に最近できた植物園とカフェの噂を聞きまして、是非一度足を運んでみようと思っていたんですー」
旧市街の蕎麦屋に育った五月にとって、今日は月に一度のお楽しみ、名づけて『洋菓子の日』。
誰に言われたわけでもなく、洋菓子というのは何となくハレの日に食べるような、特別な食べ物だと幼い頃から信じていた。大きくなって、いつでも食べられるということは理解したけれど、今でも洋菓子はちょっと特別な存在。
なればこその、『洋菓子の日』。月一の楽しみを存分に堪能するべく、星ヶ丘にまで足を運んだ。一人でカフェを訪れるのは、最初は入り口の扉を開くのにもどきどき、席に着くにも案内を待つべきか勝手に座っていいのかにも迷ってまごまご、メニューを頼むにも頼んだ後待つにもそわそわ、一連の動きに緊張しっぱなしだったけれど、一度やってしまえば度胸がついた。
そんなこんなですっかり板についた月一おひとりさま、せっかくの温室を先に楽しもうとカフェを後回しに蓮池の石橋を渡った。温室を一周するため、道端に咲く斑入りの観葉植物やお辞儀草や淡紫の蘭を横目に黄色い煉瓦道を辿っていた。
「けれどこの温室、何だか考えていたよりも広いですね」
スマホに頬擦りする真央に言ってから、五月は心底楽しげに笑う。
「これもまた神魂の影響でしょうかねー。ふっふ」
「真央ちゃんも! 真央ちゃんもそう思うのだ!」
果て無く広がる緑の海で、意見を同じくする少女ふたりは笑み交わす。
「まぁのんびり歩いてみましょう」
「そうするのだ」
スマホを背中の赤猫リュックへ大事に仕舞い、真央は立ち上がる。スマホを探しながらポケットいっぱいに詰め込んだ固い皮の果実を取り出し、五月の手に乗せる。
「分厚い皮剥いて食べると美味いのだ」
「ありがとうございます」
洋菓子を食べるためにやってきて、うっかり迷路に迷い込んだ。お腹はすごく空いている。
「助かりましたー」
「ここなら遭難しても喰いっぱぐれないのだ」
赤紫の皮の中に潜んだいい香りの甘い果実を口にしつつ元気いっぱい歩き始めながら、
「どんと来いなのだ」
緑の迷宮に挑むように力強く笑う真央の背中を、五月はのんびりと追いかける。
「迷路なんて久々です」
視界を覆う鮮やかな緑を掻き分け、時折見つかる鮮やかな色した果物をもぎ取り、その甘さや酸っぱさに笑いあったり顔を顰めあったりしながら、ふたりの少女は迷路に遊ぶ。
カーテンのように気根を垂らすガジュマルの樹を越えた先に見つけた黄色い煉瓦道の傍、ぼんやり佇む案山子の置物。
「迷路で迷った時は左手が教えてくれると言いますー」
「左手なのだ?」
「はい、道沿いに歩いて曲がり角曲がり角で左側に曲がってみましょう」
不思議そうに自分の左手を見つめる真央に、五月は頷く。しばらく考えて、真央はぱちんと右手と左手を打ち合わせた。
「迷路道の全制覇なのだ!」
「はいー」
疲れれば道沿いの果物を口にし、葉陰に隠れるように蹲るライオン型のベンチに休み、道に転がる犬の置物を起こし、
「……ブリキのきこりさんですかね?」
最後にゴムの木に背中をもたれさせる銀色ロボットの樵を見つけて、五月は黒い瞳を瞬かせる。
「まるでオズの魔法使いみたいですねー」
「あっ、カフェの名前もオズだったのだ」
緑に溢れる迷路の上、五月は明るい瞳を楽しげにきらめかせる。
「ふっふ、では、黄色い煉瓦道を辿ってオズの魔法使いのもとに参りましょうー」
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阿瀬春
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年06月19日
参加申し込みの期限
2015年06月26日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年06月26日 11時00分
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