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寝子島高校
エメラルドの迷宮でお茶を
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茉莉花の白い花が零れるように咲くアーチを潜る。鼻先に触れる茉莉花の甘い香りに空色の瞳を細め、
宇津野 京
は温室内に設けられた小さなカフェを見回す。
黄色い煉瓦が敷き詰められたカフェの壁際には黒髪眼鏡の目立たぬ青年がひとりと、今しも席から立ち上がり温室の奥へと足を運ぼうとしている長い黒髪の少女がひとり。
翡翠を溶かし込んだ色あいで波打つ黒髪に、重ね合わせたレースのひらめく黒のワンピース。翡翠色の瞳には物憂げな色浮かべ、少女は気配を感じさせぬ足取りで蓮池に掛かる石橋を渡ってゆく。
入り口に近い木製のカウンターには、趣味も造作も違う椅子が三脚。その内の一脚、無骨なアンティークの樹椅子に腰掛けて、黒髪の少年がひとり。
頬を薄紅に上気させ、少年は漆黒の瞳を縁取る長い睫毛をしばたたかせる。膝に抱えた継ぎ接ぎだらけの黒猫の縫いぐるみの頭を撫で、柔らかく微笑む。
「君もお行儀よくするんだよ?」
癖のない黒髪をさらり揺らし、カウンターの上に置かれたメニューを手に取る。瞳を楽しげに輝かせ、歌うような口調で紅茶と今日のオススメケーキを頼む。
カフェの雰囲気に慣れないのか、少年はほんの少し緊張した表情で縫いぐるみを抱きしめ、周囲へ視線を流す。床に届かぬ足をぶらぶらさせながら、カフェでのんびりする人々や温室を見て回る人々の背中を眺めていて、ふと、温室の入り口に立つ京と視線がぶつかった。
視線を離さず見つめられ、ひとの良さそうな空色のたれ眼を瞬かせる高校生のお姉さんに向け、少年は人懐こい子猫のような笑みを浮かべる。
「こんにちは。お洒落なカフェってドキドキだね!」
白い手をひらひらと振る、ひとつかふたつ年下っぽい少年に、
「うん、ドキドキだね」
京は重たい鞄を抱え直して屈託なく笑い返す。少年はちらりと視線を逸らし、照れた仕種で縫いぐるみを片手に抱いた。
「あ、別にナンパじゃないよ」
ひとこと断ってから、
三夜 架月
だよ、と短く自己紹介をする。笑みを零して名を告げる京に、どこか子どもっぽい仕草でお辞儀する。
「よろしく、宇津野さん」
「よろしくね」
カウンターにほど近い、藤で編まれたゆったりとした椅子に居場所を定め、京は藤椅子の半ばを占める麻のクッションに小柄な体を埋める。昼下がりの長閑な光を集める温室の透明な天井を仰ぐ。透明な天井を横切る骨組みに架けられ、鮮やかな色彩を揺らすアザレアの花に小さく息を零す。そろそろ寒くなってきて、吹きさらしの外にずっと居るのは辛いけれど、ここは丁度いい感じに温かい。
傍らの藤と硝子の卓にお冷と紙ナプキンを置きに来た店員に、カフェオレを注文する。
「ミルクとお砂糖いっぱいで!」
甘いものは脳の栄養になるからね、と笑う。
鞄からバイクの専門雑誌を取り出す。教科書やノートよりも、女子高生らしからぬバイク専門雑誌やカタログの方が多い。
レーサーレプリカにクラシックにネイキッド、どの機体も格好いいけれど、幼少の頃よりモトクロスに興じてきた京が一番惹かれるのは、
「あ、このバイク……」
緑色のオフロードバイク。いかにも取り回しの良い車体の細さと悪路走行にも強い車高の高さに、京はたまらなく楽しくなる。
「かっこいいなぁ」
憧れまじりに呟いて、穴があくほど写真見つめる。舐めるように説明文を読み込む。そろそろ公道を走れるバイクが欲しいけれど、
(まずは免許をとらないとね!)
志も新たに、欲しいバイクがたくさん掲載された雑誌を閉じる。
(ほむ、この雑誌はもういいかなー)
次はどの雑誌にしようかと鞄を探る京から少し離れたカウンター席で、架月は目の前に並べられた透明度の高いアイスティーとベリーソースも色鮮やかなレアチーズケーキに歓声を上げる。
「ありがとう」
無邪気な笑顔を店員に向けながら、架月は手袋を嵌めた指先で除菌シートを取り出す。何気ない風を装い食器やフォークを拭き清め、何もなかったかのように両手をあわせる。
「いただきまーす」
切り分けたケーキを口に運びつつ、架月は黒い睫毛を伏せる。窺うような横目で、カフェから先に伸びる黄色の煉瓦道と、道を覆い隠すように繁る濃緑の温帯植物を見遣る。
(……きり兄)
恋い慕うように想うのは、従兄の
三夜 霧人
。隠し撮り写真満載のきり兄観察日記によれば、今日は医者である霧人が星ヶ丘のお墓に参る日。
(きり兄に診てもらったのに何で死んじゃうんだよ)
墓に眠る霧人の患者を罵り、架月は黒い瞳を僅かに歪める。
瞳の奥に浮かび上がる暗い光を瞬きの内に再び押し込め、架月はケーキを頬張る。
本当は、霧人の背中をずっと見ていたかった。尾行して着いて行きたかった。
(けどそこまで野暮なことはしないもん)
ストーカーにはストーカーの流儀がある。
(何も知らない可愛い顔でおかえりって言うのが僕のお仕事)
健気なまで霧人を想いながら、架月は幼い表情に整えた顔をカフェへと巡らせる。
「これが最近噂の温室カフェなのだ?」
茉莉花のアーチを潜って、茶髪の少女が元気いっぱいの声をカフェの店員に掛けている。猫にも似た翠玉の丸い瞳の少女は寝子島高校の新聞部を名乗り、店員に取材の許可を取り付ける。
「早速取材なのだ!」
カウンターの真中の木製ベンチに陣取り、寝子高新聞部員
後木 真央
は首に提げたデジタルカメラでカウンター内に立つ店員を撮る。
「緑の中でうまうまオヤツなのだ」
撮ったばかりのデータを確かめて後、弾む声でぐるりを見回す。ひとつ離れた席に座す架月に満面の笑みを見せ、皿のケーキに眼を輝かせる。
「美味しそうなのだ」
「うん、美味しいよ」
「オススメなのだ?」
「ん、オススメ」
如才なく微笑む架月に大きく頷いて礼を言い、真央はメニューを店員に示す。
コーヒーに紅茶数種、ハーブティー数種と本日のフレッシュフルーツジュース。本日のケーキが三種類に、クッキーとブリュレのセット。品数はそう多くない。
「これ全部テイクアウト可なのだ?」
店員が肯えば、真央は意を決したようにメニューを掲げた。
「全部、くださいなのだ!」
真央の勢いに押されて店員が思わず拍手する。そうして、茉莉花のアーチを潜って現れた新しいお客を迎え、ちょっと慌てた様子でいらっしゃいませとお辞儀する。
店員に挨拶を返し、
桧垣 万里
は相変わらず元気そうな真央の隣に立つ。
「腹が減っては戦はできぬ、ってね」
「こんにちはなのだ、万里ちゃんセンパイ!」
バイト先のメイド喫茶の店長代理に、真央は顔を輝かせた。
「万里ちゃんセンパイも果物狩り……」
うっかり言いかけた唇を両手で押さえる。緩く束ねた柔らかな紅茶色の髪を揺らして優しく首を傾げる万里に、激しく首を横に振る。
「あわわなんでもないのだ」
「そう?」
店員にケーキと紅茶のセットを頼み、万里は緑溢れる温室へと視線をやる。ハーブを主体とした植物園の端に建つ温室の中にある小さなカフェ。
「オシャレでゆったりできる素敵な空間だって噂を聞いてから気になってたんだよね」
今日は叔父夫婦の経営するメイド喫茶でのバイトもない。カフェでのんびりしながら、
(レポート課題をやっつけちゃおうっと)
店員がカウンターに次々と並べるケーキの皿に興奮しながらデジカメを向ける真央に手を振り、万里は手近な席に着く。
布張りのソファに腰を下ろし、早速鞄からレポート用紙と資料を取り出そうとして、つと手を止める。
緑と花の香りの混ざり合った暖かく湿った空気を胸に満たす。髪と同じ紅茶色の瞳を淡く細め、カフェの向こう、蓮池に咲く薄紅の蓮や黄色い煉瓦道に沿って群青の花を咲かせるネモフィラの群生を眺める。そうするうちにテーブルに届いたポットサーブの紅茶とシフォンケーキの甘い香りに心を奪われる。
(レポートにとりかかる前に軽く腹ごしらえよね)
真央にも言った言葉を免罪符じみて繰り返し、紅茶のカップを手に取る。鼻先をくすぐる爽やかに甘い香りを楽しみ、口に広がり残る葡萄のような香りに思わず頬を緩める。
(うん、とってもいい香りだわ)
ふわふわのシフォンケーキに添えられた生クリームの滑らかさに笑みを深くしつつ、紅茶の茶葉に思いを巡らせる。何の茶葉を使っているのだろう。
(……うーん、この風味は……)
しばらく考えて、
「……あっと、」
いけないいけない、と我に返る。レポートを終わらせなくては。
暖かな紅茶を傍らに、今度こそレポート用紙と資料を木造の机に広げる。アンティーク家具なのだろうか、縁に細かな螺鈿細工が施されている。
虹色に光る縁飾りに指先を這わせ、ぼんやりとしかけて、慌ててペンを手に取る。
(えーっと後は、)
資料を捲り、机に広げる。事前に引いたアンダーラインに眼を通し、まとめるべき箇所をまとめ、展開させるべき箇所を展開させ、
(……あ、やだ私ったら間違えてる……)
文章の捩れに気付き、万里は唇を尖らせる。膝に頬杖をつき、気分を持ち直そうと紅茶を口に含む。
「下半分は戻ってから頂きますのだ!」
胃袋で取材するべくメニューを上から順番に制覇して掛かっていた真央が膨れた腹を擦って立ち上がる。腹ごなしに温室巡りに繰り出そうとする真央におっとりと声を掛ける。
「行ってらっしゃい」
「行ってきますのだ」
デジカメを首から提げ、ぱんぱんのお腹を擦りながら蓮池に掛かる石橋を渡る真央に手を振り、万里はどうにも集中しきれずぼんやりと視線を彷徨わせる。
「……あれ」
様々のかたちした椅子や机が無造作に並ぶカフェの隅、ひっそりと座る物静かそうな眼鏡の青年に気付いた。
眼鏡ばかりが妙に印象に残る青年の傍らの机には、茉莉花の花びらの浮く硝子ポットと金色のお茶の入った硝子カップ、濃厚カスタードのプチブリュレやバニラアイス添えガトーショコラやベリーソースのレアチーズケーキが盛り合わせられた大きめの皿。
資料に隠れたメニューを引っ張り出し、デザートプレートの存在に気付いて、万里は息を吐く。こっちにすれば良かったかな。
万里が食べ終えたケーキの皿を下げ、カウンター内に戻ろうとする店員に、
「あの、すみません」
セル黒縁眼鏡の位置を直し、
神代 千早
は声を掛ける。
「中をカメラで撮らせて頂いても構いませんか」
ジャスミンティーやお菓子をゆっくりと堪能しているうち、カメラを手にしたお団子頭の少女や同じくデジカメを持った茶髪の少女が蓮池の石橋を渡っていくのを目の端に捕らえていた。
咲き乱れる色鮮やかな花や旺盛な生命力で繁る草木を写真に収めれば、もしかしたら作品のインスピレーションを得られるかもしれない。
自己表現の手段としての造形をほとんど暗中模索している千早は、眼鏡の奥の黒い瞳に力を籠める。
店員から快諾を得、どちらかといえば無愛想な頬に僅かな笑みを浮かべて礼を伝える。デザートを平らげ、白い花の切り込まれた硝子カップの持ち手を指先にひと撫でして、愛用のデジカメを手に腰を浮かせる。
立ち上がり様にふと落とした視線の先、カップソーサーに刻まれた『Oz』のカフェ名。もたげた視線の先に続く黄色の煉瓦道と広がる濃緑の景色に、千早は眼鏡の奥の瞳を細める。
(確かに、『オズの魔法使い』だ)
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年06月19日
参加申し込みの期限
2015年06月26日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年06月26日 11時00分
参加キャラクター一覧
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