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エメラルドの迷宮でお茶を
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黄色の煉瓦道を歩めば、足は自然と跳ねる。
赤いハイビスカスの色した見事な赤毛を揺らし、
ジェレミア・ベルトーニ
は夏草の緑色した瞳に頭上覆う濃緑を映す。
(素晴らしいね)
歩を進めるごと、羊歯の間から顔を出す極楽鳥花の鮮やかな青紫と橙が、雪崩れるように咲き乱れるブーゲンビリアが、いくつもの南国の植物たちが、目を楽しませ心を弾ませてくれる。
星ヶ丘に動物病院を営み、隣接して居も構えるジェレミアは、暇を見つけては近隣の散歩に出掛ける。
星ヶ丘には素敵な庭を擁する邸が多く、軽く散歩をするだけでいくつもの庭を楽しむことができる。その上、ネコ島というだけあって、同じくらい多くの猫たちに出会う事ができる。彼にとって、正にここは天国のような場所。
その天国の片隅に見つけた小さな植物園と小さな小さな温室。入らない手はない。
(是非、楽しませてもらわなくちゃ)
緑の中に迷い込んだ途端、ありえぬほどに広がったジャングルに気付きもせず、ジェレミアはぐるりを囲んで笑う植物たちに夢中になる。
足もとを行儀よく飾る柔らかな桃色したアザレアに視線落とし、淡く微笑む。腰を屈め、可憐な花びらにそっと指先で触れる。
「とても綺麗だね」
花は褒めるとより美しく咲く。
(女性と同じだよね)
何のてらいもなくそう思うのは、母国のお国柄だろうか。
「君も、とても美しい色をしているよ」
夏草の瞳と指先を、伸びやかに花開かせるハイビスカスへと向ける。いくつもの蕾をつけ、いくつもの深紅を青空に咲かせる南国の花。
「良いこだね」
手を掛ければ次々と花を咲かせる素直で健気な花を優しく愛でる。
(自宅の庭でも育てているけど)
珊瑚、薄桃、白色、クリーム。踊るように咲き乱れる何色ものハイビスカス。
(実に良いね)
大切に世話をされているとよく解る花々に、ジェレミアは白い頬が薄く色づくように微笑む。
花を見つける度に足を止め、それぞれに違う色や形を夢中になって見つめ、時に愛を囁くように褒め称えていて、
「……ん?」
ふと見仰いだ透明アクリル越しの太陽が、思いがけず傾いていることに気付いた。我に返って見回せば、端が分からぬほどに厚くぐるりを囲む温室の植物たち。
(外から見たよりも中は広いんだね)
恐ろしく増殖して見える草木は、
(思ったより植物量が多くてとても嬉しいよ)
けれど植物に目がくらむジェレミアにとっては恐くもなんともない。むしろ喜びに目を輝かせ、実際よりずっと広すぎる温室を躊躇いなく歩き回る。
分厚い葉と強靭な幹のゴムの木、高く伸びて緑揺らす沙羅双樹、梢に掛けられた鉢から零れ落ちるように伸びるグリーンネックレス、団扇のようなパナマ草、草叢からおどけて顔出す玉サボテン。見上げれば生命力旺盛な緑、見下ろしても光集めて伸びる緑。
(若葉、萌黄、常盤、松葉、……)
緑を表す日本語を心に並べる。日本人が緑によせる色彩の繊細さは、この地の気候が穏かで植物たちの生育が素晴らしいためだろうか。
花形だけでなく緑の色の変化さえ楽しみながら、ジェレミアは夏草の瞳を細める。
咲く花の造作や色に、つやめく葉の緑や輝きに、そのひとつひとつに目を奪われながら緑に迷うジェレミアの足が止まった。花を愉しむ瞳に捕らえて、群青のネモフィラに足元を彩らせて膝をつく翠の黒髪の少女。
白い頬に細い鼻梁、どこか儚げな印象を受けるのは物憂げな翡翠の瞳のせいか、華奢な身に纏うた黒の衣装のせいか、それともジェレミアには目もくれず、手元にスケッチブックを抱え一心に色鉛筆を走らせているせいか。
肩を滑り落ちて胸元に流れ落ちる波打つ黒髪にも構わず、髪に揺れる黒いリボンのさやめきにも気にとめず、
三宅 葉月
は目前に据えたネモフィラの群青を七十二色の鉛筆で紙に写し取る。
紙よりも白い花の央、花びらよりも蒼い蕊、青空よりも青く蒼く、紫さえ帯びた花の色。天上からの光を受けてますます鮮やかに色づく蒼に目を凝らす。光と花の色の交響を心に焼きつかせる。
心の赴くままに花を色鉛筆で象り紙に閉じこめてゆきながら、想うのは星ヶ丘寮に戻った後、それらに服飾デザインとしての新たな命を吹き込み羽ばたかせる瞬間のこと。
運動を苦手とし、時に寮に籠もりがちな彼女が外に出たのは、最近できたばかりの植物園が心の琴線に触れたためか。それとも、時には仕立て屋に頼み、時には自身で裁縫さえする自身の衣装の服飾デザインのインスピレーションを花葉から得るためか。
色鉛筆を走らせながら、翡翠の瞳の内に花葉の色や形を刻む。印象に強く残ったものは寮に帰ってキャンバスやタブレットの上に描き再生するために。
「麗しい森の魔女さん、お茶をご一緒しませんか」
花々に差す人影に、傍らに降る男性の声に、葉月は黒い睫毛を僅かに震わせる。光に謳う花の色が翳り、花の蒼を紙の上に閉じ込める手が止まる。
描くために知らず潜めていた息をそっと吐き出し、翡翠の目をもたげる。柔らかな笑み浮かべ傍らに立っていたのは、青空の光を受ける深紅の髪と、夏草の緑の瞳の青年。
「思っていたよりも広いよね、ここ」
感情を映し難い翡翠の瞳に見上げられても穏かな笑みを絶やさず、ジェレミアは温室の傍らで絵を描く美しい少女に話しかける。
「まるで森の迷宮のようだ」
そうしてふと笑みを深くする。
「美しい君はさしずめ森の麗人、というところかな」
集中を見知らぬ人間に妨げられ、葉月は睫毛の影を繊細な白い頬に落とす。どこか夢見るような、内向的な瞳を草花に向ける。
「……迷宮なんて、ここだけじゃないわ」
細い指先を伸ばし、陽を集める葉の緑に触れる。
「この世界が迷宮そのものだもの」
「……なるほど、そうだね」
森に迷い込みそのまま消えてしまいそうな少女に、異国からこの地に移り住んだ獣医師は優しく微笑む。
「なら君はこの緑の迷宮の住人、かな」
黒髪を揺らす少女があえかに笑んだようにも見えて、ジェレミアは少女の視線を追う。ネモフィラの群生の向こう、緋色に立ち上がるサルビアの花に紛れて、ご機嫌に揺れる黒猫の尻尾。
(そろそろ、外にゃんには寒さが厳しくなってくる季節だからね)
温かく気持ちのいい場所を見つける天才である猫たちが、他の場所より随分と暖かい南国植物天国な温室を見逃すはずはない。
寝子島に暮らす地域猫や野良猫の生態調査も行っている獣医師は、温室に入り込み、花に遊ぶ黒猫の特徴を取り出したメモに書き留める。
(ここなら鼠達も入り込んでいて、餌にも不足しないだろう)
赤い花の間に跳ねる猫の健康な肢体に目を細め、メモを閉ざして、
「……ん」
翠の黒髪の少女の姿が消えていることに気がついた。夏草の瞳を周囲に巡らせても、黒いドレス纏うて彷徨う儚げな背を緑の迷宮に見つけ出すことはできない。
ジェレミアは夢から覚めたように花の緋色の髪を掻く。己の感性にどこまでも素直に、己が心の命ずるものごとに対し天才的な集中を見せる芸術肌な、
(可愛いお嬢さんだったね)
女性を讃美するお国柄を遺憾なく発揮し、ジェレミアは正に森の住人が如く目の前から消えた少女の魅惑的な翡翠の瞳と白い頬に落ちる長い睫毛の影を思う。ここがどれだけ迷宮じみて広く迷子になろうと、彼女ならば気にせず自然な足取りで彷徨うことすら楽しめるだろうと瞳を和ませる。
にゃあ、と黒猫が花に鳴く。
「うん、」
ジェレミアは反射的に返事をして頷く。花のぬくもりに香箱を組んで転寝を始める黒猫にそっと手を伸ばす。
「いい毛艶だね」
花を愛でるように、優しく笑う。
「君も、とても綺麗だよ」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年06月19日
参加申し込みの期限
2015年06月26日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年06月26日 11時00分
参加キャラクター一覧
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