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【繋がる世界】
窓から入り込む暖かな夕日が心地良くて、
深倉 理紗子
は、ぼんやり。
(こんなに落ち着いた気分、いつぶりだったかしら……)
泊りがけで島外への出張。内科医である理紗子、学会のセミナーへの出席という名目ではありましたけれど、普段の激務からひと時解放されての遠出には、身体の疲れはありつつも、これが良い気分転換となりまして。
それに、帰りに乗り込んだ電車は、聞けばラッピングコンテストで賞を取ったという、猫やサンマさんがあしらわれた、賑やかで可愛らしい『寝子島賞』の車両です。理紗子は自然とうきうき、久方ぶりにほっこりと穏やかな心持ちで、オレンジ色に染まる旧市街の街並みを、何とはなしに見つめておりました。
しばし電車は動かない、とのことですけれど。せかせかと忙しい日々を思えば、こんな時間だって、悪くは無いものです。
(まぁ、明日からはまた、あの多忙な毎日が戻ってくるわけだけどね……あら?)
止まってしまったような、ゆったりとした時間の中。なかなかに混雑している車内で、理紗子の目に付きましたのは、ひとりの女性です。
買い物帰りでしょうか、いくつかの手提げ袋を片手に持ち、もう片方の手をかばうように添えているのは、まん丸の大きなお腹……女性は、妊婦さんであるようです。
車内の人混みに、席はきっちり満員状態。女性は立ち乗りで、そしてふうふうと息をついて、どうやら少しばかり辛そうに見えました。
こんな時は、周りが席を譲って差し上げるのがマナー……とは言いつつも、気付かなかったり、声をかけてあげる勇気が出なかったり。人それぞれの事情があったりもしまして、なかなか上手くはいかないもの。
そこへ行くと、理紗子は医者です。困っている誰かを見たなら、生来の気の弱さも、今日くらいは引っ込めて。放っておけず、いてもたってもいられなくて、声をかけることにしました。
「……あの。よかったら、こちらの席に」
「座ってください……あら?」
たまたま、同時にそう声を発したのは、お隣に座っていた高校生の女の子。
宮祀 智瑜
でありました。どうやら彼女も、女性を気にかけていたようです。
理紗子は、ちょっぴり照れ臭そうに笑った智瑜へ、こくり。うなずいて、
「ちょうどいいわ。少し、手を貸してもらえる?」
「はい、喜んで」
周囲の乗客たちも、気になってはいた様子。二人が立つと、少しばかり身体を寄せて詰めたり、手荷物を退けたりして、それとなく道を作ってくれまして。
「ああ……すみません、ありがとうございます。本当は、立っているの、辛くって」
ふんわり微笑んだ女性を理紗子が支えて、智瑜がいくつもの重い買い物袋を持ってあげて、ふたり分、ぽっかり開けた席へとゆったり、座らせてあげました。女性は少しばかり申し訳なさそうな顔を浮かべましたけれど、周りの乗客たちも嫌な顔をするようなことは無かったもので、笑顔でもう一度、ありがとうございます。周囲へもそうお礼を言って、ほう、と安堵の息を漏らしました。
理紗子が女性を落ち着かせるように、静かに優しく、
「私は、医者なの。だから安心してね」
「お腹、大きいですね。何ヶ月なんですか?」
と智瑜も笑顔で話しかけて、ストレスの無いように、と配慮してあげれば、女性はにっこり。
「今、7ヶ月なの。初めてだから、戸惑いっぱなし……でも、こんな風に親切にしてもらえて、嬉しいわ。それにこうして、お医者様にも側にいてもらえるなんて。とっても安心!」
お腹へ愛おしそうに手のひらを添わせながら、女性はふたりへ、何度も、ありがとうとお礼を言いました。
10分や20分という一見短い時間も、ただ待つとなると、案外長く感じるものです。
(早く、動き出さないかな……妊婦さんの負担になっちゃう。ストレスを感じないようにしてあげなくちゃ、いけませんね)
智瑜は女性と、それに理紗子と、子供についてのお話などしながら、時が過ぎるのを待ちます。
「初めてのお子さんなのね。ふふ、どんな子に育って欲しい?」
理紗子のそんな問いに、女性も安心してリラックスしてきたのでしょう、先ほどに見た辛そうな表情はすっかり鳴りを潜めて、
「そうね、明るくて元気な子になってくれたら……少しぐらい暴れん坊なくらいが、ちょうどいいかしら?」
「ふふ、そうかもしれませんね」
なんて、楽しくおしゃべり。
と、そこへ、
「いやぁ、若い連中もこりゃ、捨てたモンじゃないねえ」
声をかけたのは、近くに立っていた、おじいさん。
「あら……? こんにちは、おじいさん。奇遇ですね」
彼は智瑜の実家、青果店のお得意様で、彼女とも顔なじみだったりしました。旧市街のあたりなどには、お店の常連さんや智瑜の祖父のつながりなども含めて、そうした顔見知りも多いのです。
智瑜が自然なそぶりで、おじいさんの手荷物を持ってあげますと、
「ああ、すまんね。ほら、良く言うだろう、近頃の若いのは乱れてるって。俺もまぁ、そういうもんかと思っとったがね……智瑜ちゃんや、あんたみたいな人がいるなら、ね」
「……私も、ですか?」
知り合いの智瑜のみならず、おじいさんは理紗子も示して、
「そうさ。あんたたちみたいな人を見るとね、ああ、捨てたモンじゃねぇなぁ、ってそう思うわけでね。な、お嬢さんもそう思うだろ?」
「ええ、本当に! 優しくて、親切で……」
とお腹を撫でながら、話を振られた女性も、しきりにそんな風にふたりを褒めてくれるもので。智瑜は理紗子と顔を見合わせて、何だか、むずがゆい思いです。
けれど……もちろん、悪い気分ではありません。
「情けは人のためならず、ってな。将来、この子が智瑜ちゃんや、お医者さん、あんたが困ってるときに助けてくれる……なんてことだって、ありえないわけじゃねぇ。世の中ってな、そういうもんだろう?」
確かにそんな未来が、いつか訪れるかも知れません。
智瑜はにっこり笑いながら、そんな時がやってきますように、と、心の中で祈りました。
(元気なお子さんが、生まれますように……!)
電車は、もうしばらく動かない様子。車掌さんの再度のアナウンスに、
「あ、遅くなるって、お祖母ちゃんにメールしておかなくちゃ……」
と智瑜が、ちょっと失礼しますね、と言ってメールを打ち始めたのを見て。理紗子もふと、現実を思い出します。
ほっこりと穏やかな時間は、きっと今日まで。明日からはまた、くたくたになるまで働いて、夜遅くに家へ帰り、少しばかりのお酒でどうにか辛さを紛らわしながら、また出勤……そんな日々が戻ってくるのです。まるで容赦のない多忙、心無い患者の暴言などに神経をすり減らしながら、それでも負けず嫌いな一面を頼りに、どうにかそれを乗り越えていく……綱渡りのような毎日が。
それでも。
「お医者様って、激務だって聞くわよね……身体に気をつけて、頑張ってくださいね?」
「あんた繊細そうだからなぁ、無理せずにな。焦らずおやんなさい」
例えば、目の前の女性や、おじいさん。理紗子の生活の中にも、こんな風に言ってくれる人たちが、いるのです。
辛い日常をどうにか乗り越えていけるような、そんな活力を与えてくれる人たちが、いるのです。
「……ええ。ありがとう……」
ぴ、とメールを送信し終えた智瑜が、ふと窓の外を眺めて、
「それにしても、綺麗な夕日ですね……」
目を細めて、うっとりとつぶやきます。
黄金色の光に、まばゆくきらめく街並み。
きっと、また険しい仕事には振り回されてしまうのでしょう。慌しい毎日にくたびれたり、傷ついたり、へこまされたりしてしまうのでしょう。
それでも。
(……頑張らなくっちゃ、ね)
ふと目が合って、智瑜の優しげな眼差しに、理紗子もふんわり。微笑みを返しました。
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担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年05月25日
参加申し込みの期限
2015年06月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年06月01日 11時00分
参加キャラクター一覧
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