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寝子電が止まった日
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【賑やかな時間】
……がたん。がたん、がたん。がたん、ごとん。ごとん、がたん……走る寝子電の軽快な音が、
羽生 碧南
を揺らします。
少しばかり開いた窓から入り込む風が、まだしっとりとシャワーの名残が残る髪をなぞるのが、心地良くて。椅子に腰掛けた碧南はしばし、その感覚にうっとりと身を委ねます。
他校との練習試合の帰り。思い切り大好きなバスケットボールに打ち込んで、身体を動かして。充実感に満ち満ちて……何とも、良い気分。
碧南は差し込むオレンジ色のあたたかい光に照らされながら、読み耽っていた雑誌へ、再び目を落とします。
……いわゆるひとつの、乙女ゲームの情報誌へ。
(! ついにあの、ニャンジェリークの新作が出るの!? これは要チェックね……!)
ぱらりとページをめくるたび、碧南は一喜一憂。紙面を彩るのは、いずれもすらりとカッコよく、柔和な笑みを浮かべていたり、きりりと凛々しい表情だったり。あるいは、ちょっぴりSっぽくて不敵な眼差しをこちらへ向けていたり。どうにも甲乙付けがたい、素敵な男の子たち……でも碧南には、彼らの全てを手に入れることはできません。
(だって、全部のゲームは買えないもん……ああ、でも……でも!)
天真爛漫なアイドルの彼も、すらりと刀を構えた凛々しい彼も、執事の彼も王子様な彼も、みんなみんな、捨てがたい!
コートの上ではまさしく『戦う女』、全力でバスケにのめり込むカッコいい碧南の面影は、今は見て取れません。なんたって彼女は、乙女! なのですから。
と……がたたん、たん。ききい。唐突に電車が速度を緩めたように感じて、顔を上げた碧南。まだ駅までには大分距離がありましたけれど……やがて電車は、旧市街に面した中途半端なところで止まってしまいました。
怪訝に思い首を傾げたところで、聞こえてきた車掌さんのアナウンスに、
(点検? しばらく動かないのね。やれやれだわ…………ハッ!?)
不意にぴたり、停車した車両の中。ハッ!? と彼女の脳裏へと閃くものがありました。そう、こんなシチュエーション、どこかで見たことが……。
(……そうだわ。この状況って……『アムネシアの恋歌』の、純也くんルートじゃない!)
記憶の中から蘇ってくるのは、あの幸せなひと時。切ないワンシーン……まばゆい宝石のような、めくるめく恋模様!
碧南的乙女ゲーム切なさランキングの上位にも食い込むほどの、ハマりにハマったあのゲーム……その出会いのシーンに、この状況は、そっくり!
(ああっ純也くん……!)
今にも彼が目の前へと現れて、自分へ声をかけてくれるような。優しく自分の手を取って、不安を取り払うように耳元で、そっと囁いてくれるような。そんな気がして……すぐさま思考は、怒涛のような妄想の波にさらわれて。
瞳をきらきらと輝かせる碧南は、脳内オトメチック・ワールドへと旅立ちます。もちろん、愛しの純也くんに手を引かれながら……ああ、彼の笑顔ってば、何て素敵なんでしょう!
と。これでもかと乙女な碧南の腰掛けたシートのすぐ脇、ちょうど扉のところで、彼女が目を疑うような光景が繰り広げられておりました。脳内彼氏と共に妄想の世界へ旅立ってしまった彼女には、見えてはいませんでしたけれど。
「ちょっとらい兄ー? あんまり近づかないでよね!」
少々混雑気味な車内で、扉を背にして立っている、小柄な
三夜 架月
。
目の前には、
「仕方ねえだろーかづきち。こんなに混んでちゃ、身動きもできやしねえ」
ド派手なピンク頭、
三夜 雷一
。それに、
「おい雷一、あまり暴れるなよ……今、わざと足、踏んだろ? てめえ」
ぴーぴぴー、とすっとぼけて口笛など吹いている双子の弟を、じろりっ。睨みつけた、
三夜 霧人
。
たまたま乗り合わせた三夜家の三人は、人混みの中でも何だか仲良く固まって、ふと空いてしまったこの時間を過ごしておりました。
(ま、ほんとはきり兄のこと、待ち伏せしてたんだけどね♪ ……なのに、何でらい兄まで一緒かなー)
可愛いお顔で、なかなかの腹黒マインドをお持ちの架月くん。彼はきり兄こと霧人さんを偏愛するあまり、そのストーキングにも余念が無く、待ち伏せを敢行した末に同じ電車へと乗り込むことに成功していたのでした。
ぎゅうぎゅうな電車の中でみっちりと、きり兄と身体をくっつけて、ああ、至福の時間、なんてそんなシチュエーションを想像しておりましたら、なぜか隣には、あのピンク頭がまるでセットのようにくっついておりまして……架月は口を尖らせて、むうーっ。
ぎゅうぎゅうになっているのは、どちらかと言いますと霧人と雷一の二人のほうだったりしまして、
「しかし、混んでるな。こんな中で止まっちまうとは。おまけに……俺はいつまで、お前と密着してなきゃならねぇんだ? 雷一」
「知らねーよ、俺に聞くなよ。つうか気色悪ィからあっちいけよ、クソ霧人!」
そんな、仲の良い? やり取りを見せられて、何だか面白くない架月は、
(もー。こうなったら、どさくさに紛れて……きり兄に抱きついちゃえ♪)
せっかくなので、自分も彼にくっついてしまうことに決めました。よろめいたフリをしつつ、えーいっ!
けれど、むぎゅっ! と架月が抱きつきましたのは、
「なんだかづきち、コケたか? 気をつけろよなー」
「……ぎゃーっ!? ま、間違えた!?」
見上げればピンク頭、雷一さん! しかも、ぎゅうと詰まった人混みの中、一度身体を動かすと、なかなか元にも戻れません。
架月が恐る恐る隣を見てみますと、不思議そうな表情の霧人お兄さん。
「架月が雷一に懐くとは、珍しいこともあるもんだ。ま、そういう気分の時もあるか」
「ち、違っ!? 勘違いしないでよね、本当はきり兄に抱き……なっなっ、なんでもない!」
進退窮まって、仕方なく雷一お兄さんに身体を預けつつ。架月は、はあとため息……どうにも今日は、日が良くないのでしょうか、上手くいきません。
車内はぎゅうぎゅう、誰かが大きく身じろぎでもすれば、その動きが隣へ、またその隣へと伝わって、端っこまでも届きます。
どこかの誰かが動いた拍子に、
「うおっ!? お、押すなって……!」
「おっと。大丈夫か、架月?」
どん、どんっ! 気付けば架月の頭の横、咄嗟に扉へ押し付けられたのは、霧人と雷一の手のひら。
すぐ近く。息がかかりそうなほどの距離に……二人の顔。
(わ、わ……!? これって……)
何と言うことでしょう。予期せぬ、壁ドン! それもダブルで!
にかっ、と笑ったのは、雷一です。
「ああ、こーいうシチュエーション、少女マンガとかであるよなぁ。ほら、クールなの、ワイルドなの、どっちを選ぶの~? なーんつってな」
「えっ。えっ?」
普段はおちゃらけた自由人。意識したことなんて無かったのに、冗談めかした口ぶりではあっても、架月は何だか、どきどき。
「ったく。家族同士で何を言ってやがる。架月が迷惑がってるだろうが」
「え、あ、う」
ちゃきり、と眼鏡を指で押し上げた霧人は、いつものクールさ。架月の大好きな彼そのままで、カッコよくて。やっぱり、どきどきどき。
まるで本当に、どちらかを選ばなくてはいけないような、架月自身が選択を迫られているような、そんな気分になってきて……どきどきどきどき。
「……って! く、クールなほうに決まってるじゃん! らい兄のばーか!」
そんな反応に、からからと朗らかに笑ったらい兄。やれやれ、と肩をすくめたきり兄。
目の前に、二人の顔。
(きり兄はともかく……らい兄にドキドキなんて、するわけないし! もう!)
けれど……架月も薄々、気付いてはいるのです。
霧人だけではなく、雷一もまた。ふたりが揃って、この人混みが小柄な架月の負担にならないようにと、それとないそぶりで自分の身体を壁にして、守ってくれているということを。彼らの心遣いを。架月も何となく、感じ取ってはいるのです。
(別に……嬉しいなんて、思ってないもん)
「……っかし、顔近えな。おい霧人、耳に息吹きかけんな、くすぐってえ。そこ敏感なんだよ、知ってんだろ?」
「気味の悪いことを言うな。俺だって、お前が身じろぎするたびに、コスれるんだよ。落ち着かねぇんだよ」
「ああ、実は俺様ちゃんも……って違え、妙な意味じゃねえぞ? 勘違いすんなよ、双子だからホラ、感じるところも一緒で……って何言ってんだ、俺?」
「だからもぞもぞと動くな、当たってるだろうが」
……何が!?
気付けば架月そっちのけ、揃って何やらもぞもぞもぞ、身じろぎしております二人へ。
「ちょっ、二人で何やってんのー!? それ以上近づいちゃ、だーめーッ!」
「あ、危ねえ!? 今キスするとこだったろーが、クソ霧人!」
「好きでやってるわけじゃねぇ、おい、動くな雷一! これ以上はまずい……!」
「はーなーれーろーっ」
なんて、仲睦まじい三夜家の人々の横で。
碧南はと言いますと、相も変わらず純也くんと一緒に、きらきらな脳内オトメチック・ロードを爆走中。
(ああ純也くん、私をどこへ連れて行ってくれるの? 私もう、どこへだってついていくわ、あなたについていくわ……!)
「くそ、絶対周りに誤解されたぜ……ああ、何か疲れちまったなぁ」
「僕もー。ねえきり兄、この後きり兄の家、遊びに行ってもいーい?」
「ああ、そうだな。少し休んでいけ。冷たい茶でも出してやるさ……ついでに雷一、お前も来たかったら来てもいいぞ」
「おう、行く行く」
(俺の家で休んでいけ、だなんて……いいの、純也くん? ああでも私、まだ心の準備が……もうっ、どきどきが止まらない!)
何だか気付かない間に、微妙にシンクロしてたりするのでした。
碧南の妄想ロードは途切れることなく、この後に電車が動き出しても、留まることを知らず。あんまりにも幸せそうな笑顔だったもので、誰もが教えてあげるのもはばかられて、結局最後には、終点まで乗り過ごしてしまったということです。
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日常
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20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年05月25日
参加申し込みの期限
2015年06月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年06月01日 11時00分
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