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博美の戦術は一つ。速度を生かしての急所を狙った一撃必殺。
あそこまで強力な力を放っている相手を前に正面切っての戦闘は自殺するようなものである。
ならば、速度を極限まで引き上げ一点を攻撃……急所に入りさえすればどんな相手でもただでは済まないだろう。
「あとは勝負って事だよね。一瞬でも気迫に飲まれたら負け。上等だッ!」
風を斬って博美は空をトンビのように飛翔する。
目指すはただ一つの一点。
体にびりびりと空気の振動が伝わる。身が裂かれそうなその振動を耐え抜き、博美はハガルに向かって一直線に拳を打ち込んだ。
「ほう、良い一撃だ。ここまで力を解放していなければ……危うかったかもしれぬな」
「くっ……防がれた!」
「この稲光は全ての攻撃の衝撃力を殺す絶対的な防御壁。さあ、どう破る? 憐れな駒のひとつよ」
「それでも、まだッ!」
博美はハガルの腕に足を絡ませてからの投げ技に入ろうとするが一薙ぎで振り払われてしまう。
直後、瞬時に放たれた頭部を狙った紅い剣を紙一重で躱すと渾身の回し蹴りを放つ。
それを赤いオーラに包まれた右手で受け止めるとそのまま叩きつける様に瓦礫へ博美を投げた。
博美は瓦礫に足を付ける様に着地すると片手も使って更に早く跳ぶ。
ばねで弾かれた様に舞い戻った博美をハガルは紅い稲光で受け止めると右手の連撃で歓迎した。
正面から無数に放たれる拳の乱打を辛うじて防ぐ博美であったが足を払われ、体勢を崩してしまう。
「終わりだ……その頭を砕いてやろう」
「それは、どうだろうね!!」
倒れる様に体勢を崩した博美の頭部を砕こうと右手を振り下ろすがその拳は空を切った。
博美は身体を逆に空中に投げだし全ての浮力を零にして空に身を任せたのである。
こうなれば猛スピードで下方へとその身は落下する。その動作を利用し間一髪ハガルの拳を回避したのであった。
「なんだと。この速度と距離で避けるか……ッ!」
「そりゃ、簡単に死にたくないからだ!」
少し距離を取った二人は戦闘の構えは崩さずに睨み合った。
(すごい、なんていう力だ。一発でも真面に食らったら終わり……しかも衝撃力を殺すなんて……反則だろ!)
手から稲光を放ちながらハガルは鋭い瞳で博美を睨み付ける。
「威勢がいいのは最初だけか? 拍子抜けもいい所だ」
「勝手に決めないでくれ……こっちも全力でいく! 油断してやられてもしらないからなッ!」
ぐっと足を縮ませ、空を強く蹴って博美は跳んだ。一直線に弾丸の様にハガルへ向かう。
それを身体を半回転させるだけで躱すと右足で蹴り飛ばした。強い衝撃で博美は身体をくの字に折って吹き飛んだ。
歯を食いしばって空中で体勢を整え、博美は再び瓦礫を蹴ってハガルへ跳ぶ。背後から狙った一撃だが簡単に受け止められ右ストレートを食らって再び大きく吹き飛ばされた。
「学習能力というものがないのか……? ただの攻め一辺倒ではこの力には――――ッ!」
またも瓦礫を使って縦横無尽に空を駆けた博美の拳がハガルにめり込んだ。続け様に掌底を放たれると衝撃波がハガルの腹部から背中を抜けた。
「がっはっ……! な……!!」
「言ったよな? 油断するなってさ。はああぁぁーーッッ!!」
二連、三連、四連と続け様に放たれる掌底がハガルの身体の急所を的確に打ち抜いていく。稲光による防御能力は発動せず、ハガルは攻撃を受けるままになっていた。
(そうか、こいつ……事前に無策に突っ込んだと見せかけ、こちらの急所に一撃ずつくわえていたのか……!)
「面白い! 面白いぞッ!! こうでなくては戦いは楽しくはないッッッ!!」
その時、ハガルが一瞬赤く輝いたかと思うと博美は強い痛みを肩に感じて動きを止めてしまう。
「かはっ……ぐ……あ……」
博美の右肩をハガルが纏っていた稲光が貫いていたのである。まるで刃物のように鋭いそれは簡単に肉を裂き、引き抜かれると空に赤い飛沫を広げた。
「今宵の戦いは実に血が湧き、肉が躍る闘いばかりであった。お前も刻んでおこう、我が闘いの記憶の中にな……では、退場願おうか」
紅い稲光を纏わせたハガルの手の平から光が放たれる。それは博美を一撃で消し飛ばすには十分すぎる大きさであった。
ゆっくりと迫ってくる死の足音。
もう体は動かない、自分はここまでなのだろうか。
こんな時、ヒーローがいたのならば助けに来てくれるのだろうか。
幼き日に見た特撮番組のヒーローが決めポーズをしている姿が思い浮かぶ。
「もっと強かったら、俺も……あいつを……倒せるのに……ッ!」
「その願い、受け取ったぜえぇぇぇーーーッ!!」
「……え?」
悔しさから涙を溜めた博美の瞳に映ったのは、特撮ヒーローのような衣装を身に纏った
風雲児 轟
――――ザ・ストレイトであった。
最大出力で展開した盾のエネルギーフィールドを二枚分重ね、赤い光を受け止めると彼方へと轟は弾いた。
「お前は下がってろ。あとの想い、願いはこの俺が引き受けるッッ!」
「……わかった。援護くらいしようにもこの状態じゃ足手纏いだからな」
その場を博美から譲り受けた轟は戦闘態勢を取ってハガルに向かって大声で叫んだ。
「俺は寝子島のローカルヒーロー、ザ・ストレイト! お前が敵大将だな。いざ尋常に勝負ッッッ!!」
「ふふっ、ずいぶんと熱いのが出てきたようだ。お手並み拝見と行こう……すぐに冷めないか、となッ!」
ハガルはふっと姿を消すと轟の背後から半透明の剣を二発放った。
その動きの速さに一瞬驚いた轟だったが即座に反応して反転しながら回し蹴りを放って剣を蹴り落とした。
更に続け様に飛んでくる剣を両拳の連撃で全て打ち落とすが、反撃する前にハガルは姿を再び消してしまう。
直後、横っ腹に鈍器を打ち込まれたような痛みを感じる。その位置へ攻撃したと思われる場所へ痛みに耐え、拳を打ち込むが手ごたえはない。
それどころか背後から赤い光と稲光を受け大きく吹き飛んでしまう。
「ぐああああああーーーーッッ!」
空から降ってきた土塊にぶつかって土煙を上げながら砂と土を巻き上げる。
もうもうとする土煙が晴れるとそこには土塊に大の字に埋め込まれた轟の姿があった。
「う、ぐう……卑怯だぜ、瞬間移動なんてよ……ちったあ、加減しやがれ……」
「ほほう、それほどのダメージを受けながらまだ憎まれ口を叩く余裕があるか。その根性は買ってやろう……だが」
右手を振り上げたハガルの背後に無数の半透明の赤い剣が生成される。それは空に広がる赤い川のようにも見えた。
「世の中には、根性ではどうにもならない事があると知れ。終焉を見よ、絶望を覚えろ……憐れな英雄よ」
振り下ろされた腕に合わせる様に剣が凄まじい速度で射出された。
稲光を纏ってまっすぐに轟へ飛ぶそれらは一つ一つが死を運ぶ凶手。
終わりを告げる凶鳥。
だが、彼は抗う。凶鳥にさえも運命にさえも。
「根性でどうにもならねえ? それは違うな……お前は知らねぇだけだ。ど根性って奴をなァーーッッ!!」
青く輝く光が轟の身体を包んでいく。燃え上がる青い炎の様に燃え上がった彼は一際大きな声で叫んだ。
「いくぜええーーーッッ! ザ・ストォォォレェェイトォォッッ!! バアァァーーストォォッッ!! トラアァァァンスッッッ!!!」
強く大きく燃え上がった彼の心が、熱き血潮が彼の身体に漲る。
瞬時に彼は自身を拘束している土塊を粉々に砕いて塵へと変えた。
そのまま縦横無尽に空を駆ける。その速度は常人の目はおろかハガルにさえも捉えられなかった。
高速で移動する轟は無数に飛来した剣を全て砕いていく。
剣を全て失い、姿を消して距離を取ろうとしたハガルの隣に轟が現れる。
「なんだと! この速度についてくる者がいるというのかッ!?」
「くらええええ! おーりゃああああーーーッッ!!」
渾身の拳がハガルの胸部に打ち込まれ激しい衝撃と共に稲光を弾き飛ばしその身体に深くめり込んだ。
「ぐううああああああッッ!!」
静かになった空に、轟とハガルが浮かんでいる。
両者共に肩で息をしており、ハガルの稲光は跡形もなく消失していた。
「どうして、私を捉えた? あの動きは人の身に付いて来られるようなモノではないはずだ」
「ああ、その事かよ。お前の姿を消すのは瞬間移動なんかじゃねえ。あれは足の裏に魔法陣を高速で展開し、そこからどういう原理かは知らねえが高速で身体を撃ち出していた。それがあんまりにも速いから瞬間移動したように見えたってことさ」
「そこまで気づいていたとはな……。いつだ? いつ見破った……?」
轟はその言葉を聞いて自分の横っ腹をさすりながらにっと笑って答えた。
「ここを攻撃された時だ。瞬間移動はいうなれば点と点を瞬時に移動する技法。でもそれじゃ点の間にいる俺には攻撃なんかできない。お前が攻撃できたのは点じゃなく、線の移動だったからだ」
確かに線の移動であれば、通り道である場所は勢いをそのままにダメージを与えることが可能である。
速度を究極まで上げてしまえばまるで瞬間移動しながら攻撃したように見える事だろう。
「くっくっく……はっはっはっは。最初はただの根性バカだと思ったが、そうでもないらしい。これは認識を改めねばな」
ふっと再び姿を消したハガルに轟は笑って見せる。
「見切った技をもう一度使うなんて、悪あがきもいいと――――がふッ!?」
「背後に回る等と……誰が言った? 私はただ、お前の目の前に移動しようとしただけだぞ?」
姿を現したハガルは右手で轟の首を掴みあげ、ぎりぎりと絞めた。
振り払おうと腕に力を込めようとする轟であったが酸素が欠乏してきているからか力が入らず、意識も薄れていった。
ハガルの見開かれ狂気に染まった瞳が冷たく轟をみつめている。
「この、く……そ……」
「今度こそ終わりだな、英雄。お前のページを閉じてやろう。英雄譚の最後は……散るからに美しい」
力を込め、首をへし折ろうとするハガルであったがその手を離して彼から距離を取った。
遠方から数発の黒いレーザーが放たれたからである。
喉を押さえて咳をする轟の隣を
小山内 海
が高速で飛翔して通り抜けて行った。
彼女の瞳は強く、まっすぐに敵を見据えていた。
手に持つ闇の銃が生命力吸収し、力に変えるというのは知っている。それでも怯まずに戦いに挑んだ。
(私の生命力ならいくらでも持っていけばいい、でもその代わりにみんなを守る力を!)
彼女の強い意志は闇の銃へ確かなエネルギーを供給し力へと変えていく。
全ては大切な人達を守る為に。
右手に握ったペンを空中に走らせ彼女はその上に足をつく。すると瞬く間に急加速し、彼女はハガルをあっという間に追い抜いてしまった。
身体を回転させながら海は闇の銃を放つ。小さな弾丸上に圧縮された黒い光が連続で射撃され、ハガルに向かった。
「くっ、小細工をッ!」
ハガルは足の裏に魔方陣を出現させ、高く跳び上がってそれらを回避――――が、直後下方からの連射を受けて怯んだ。
「なにっ!? 既に移動を……!」
下方を即座に見るが、そこには海の姿はなく変わりにハガルへ向かう様にペンで一直線に書かれた線があった。
気配を感じ取りハガルは上方へ半透明の剣を三発放つ。わざと時間差がつく様に放ち、それらは扇状に広がって飛んでいく。
(わっ、きづかれちゃった!? それならっ!)
身体を回転させながらペンで螺旋状の線を描きながら予め書いておいた右へ向かう線を踏み、瞬時に右へと加速して飛翔した。
「加速まで視野にいれれば、捉えられぬ動きではないッッ!!」
偏差射撃の要領でハガルは僅かに彼女から着弾点をずらして剣を放った。無数に連射される剣は大蛇の姿を取って海の目の前へと殺到する。
このままでは捉えられると判断した海は左へ向かう様に書いてあった線を変化させる。それは上方へ向かう坂のように形を変え、海をハガルの遥か上空へ運んだ。
海は高高度から先程の螺旋状の線目掛けて数発、闇の銃を連射した。エネルギーを収束させ、レーザー状に放ったそれらは線にぶつかって螺旋状に書かれた線をなぞる様に加速した。
線の終端から数発の黒いレーザーが真っ直ぐに下方のハガルを狙った。
常人はおろか達人にも捉えることは不可能ともいえる程の高速でそれらはハガルへと接近する。
防御陣を展開しつつ回避した防御陣を貫いたその黒いレーザーは足を撃ちぬいた。
「ぐぅぅっ! 此方の予想の上をいくだとッ!?」
ハガルは痛みに怯むことなく半透明の剣を海が来るであろう所へ放つが、予測もしていない方向から加速された弾丸がレールガンの如く飛来し半透明の剣は海に届く前に撃ち落されてしまう。
召喚した半透明の剣を放つのではなく、右手で持つと急加速しハガルは海へと跳んだ。
海を射程圏内に捉え、ハガルが振り上げた剣は――――
御剣 刀
の逆袈裟切りによって弾かれ光の粒子となって消失、即座に斬り返された刃がハガルの胸部に深い袈裟状の傷痕を刻んだ。
「があああああーーーーッ!」
「悪いが、仲間には……指一本触れさせないッ!」
ハガルは傷を負った胸部を手で押さえながら距離を取りつつ彼に語りかけた。
その表情は冷笑ともいえる、嘲笑ともいえる……寂しそうな表情にも見える。
「仲間……か。そのような甘い関係に何があるというのだ? 信じても……裏切られたら、傷は倍となる。強ければ強い程に。仲間……それは呪われた剣だ」
その言葉に何かを感じながらも、御剣は強い意志を持って彼に答えを返す。
「そうか、だが俺はそうは思わんッ! アンタに通したい意思があるように、俺にも貫き通す意地がある。御剣刀、参るッッ!」
剣を下段に構え、飛び出すと同時に御剣は頭の中で撃鉄をがちんっと落とした。
直後、彼の身体は加速し常人の体感速度を圧倒的に超えた。
神速の如き連斬が放たれハガルはそれを辛うじて受け続ける。一瞬でも気を抜けば細切れにされてしまうような鋭い連斬は回数を増すごとに更に速度が上がっていく。
負けじとハガルも速度を上げ、二人は互角ともいえる斬り合いを繰り広げた。
加速して位置を変え、何度も斬り結び……それでも決着はつかない。
最初は海も援護射撃をしていたのだが、消えたと思ったら衝撃波と衝撃音だけ辺りに響かせる領域まで到達した彼らの戦闘には介入できずにいた。
ハガルが半回転しながら速度を生かした回転斬りを仕掛ければ、刃の表面に合わせた動きでその勢いと衝撃を殺されて無効化されてしまう。
袈裟切りの後、御剣は即座に斬り返して逆袈裟に剣撃を放つ。
「二度も同じ手を食うかッ!」
剣を弾こうと防御姿勢に入ったハガルを気にせず、御剣は流れる動作で突きの体勢へ移行。鋭い突きが一直線に放たれた。
不意を突いた攻撃のはずであったが、紙一重で躱され逆にハガルは御剣に回し蹴りを放った。
攻撃後の動作の隙を突かれた御剣は回し蹴りを腕を交差させて防御するがその衝撃力は強く、そのまま数メートル吹き飛んだ。
腕を回転させ、無数の光弾を生成したハガルはそれを御剣に向かって放った。螺旋状に回転し絡み合いながら光弾が御剣を狙う。
「ふはははッ! よくやったほうだ、駒よ。貴様に敬意を表し、跡形もなく消し飛ばしてやろうッ!!」
「ぐっ……しまったッ!」
一直線に御剣に向かう無数の輝く光弾。回避は間に合わない。とはいえ、防御して果たして無事かどうか。
覚悟を決めた御剣であったが光弾は彼に届く前に下方から伸びる黒い大きな光によって消し飛ばされてしまった。
艦砲射かと思ったがどうやら違うらしい。それならば一体……。
「あれを消し飛ばしただとッ! 脅威をそちらの方か!!」
ハガルはその姿を消すと、黒いビームを放ったであろう者の方へ瞬時に跳んだ。
それを放った少女……
矢萩 咲
に狙いをつけ、複数の半透明の剣を生成するとそれらを放射状に放つ。
放たれた剣が予測不可能な不規則な起動で縦横無尽に空を高速で駆ける。
しかし咲は目を閉じ、動こうとはしない。回避行動も防御もしない。
「どうした? 諦めて死を受け入れるというのか……?」
「そうじゃないさ、信じてるんだよ……俺達を!」
「なにっ!? 貴様どこからッ……!」
突如現れた日暮は連射モードに切り替えた闇の銃を斉射する。体制を変えながら次々と放たれた黒い弾丸は飛来する半透明の剣を撃ち落していく。
ある程度まで接近した日暮を銃を上へ投げると腕を右側に伸ばした。
そこにぴったりと合う様に咲が投げた剣が飛んでくる。それをしっかりと掴むと日暮はハガルに肉迫し、横一文字に一閃。
首を狙った致命の攻撃であったが、上体を反らしハガルはその一撃を辛うじて避けた。
無理な体勢で避けた為かハガルは反撃はできずに身を翻して一旦距離を取ろうと試みる。
「悪いがそれも予測ずみだッ!」
「ぐぅうああッ!」
ハガルの上方から黒い弾丸の雨が降り注いだ。それは日暮が投げた銃を受け取った八神による集中砲火であった。
予見していなかった方向からの攻撃にハガルは防御陣を展開するが、それは次第に削り取られていく。どうやら即座に展開した為にその強度はあまり高くはないようだ。
攻撃を受け撃墜された戦闘機の如くハガルは下方へ落下していく。
「……嫌な思い出もあるけどそれ以上に大切な思い出……掛け替えのない大切な人達が居る寝子島を破壊する? ……キレたわ、久しぶりに――――鬼神の如き殺気を持って殺そう」
両拳がバチバチと紫の稲光を放ちながら黒く、黒く輝いていく。
彼女の周囲の空気が振動し紫の稲光が周囲を飛び回り、一度、二度衝撃波が放たれた。それはその力の高まりが大きい事を示していた。
収束する力を感じ咲は一際強く己の拳を握り締めた。
「以前の異世界戦以上に成長した……咲のろっこんの力をッッ! その身で味わえーーーーッッ!!」
拳をゆっくりと引くと咲は真っ直ぐにそれを打ち出す。
黒い光が拳に急激に収束したかと思うと稲光を放ちながら黒い光の渦となってハガル目掛けて発射された。
紫の稲光を纏うそれは雲を裂き、振り注ぐ岩塊や瓦礫を消し飛ばしながらハガルに迫る。
黒き断罪の光はハガルの張った防御魔法陣を砕き、貫いて空の彼方へと伸びた。
光から逃れる様に何かが飛び出す。それは手負いのハガルであった。
半身を焼かれ、体中傷だらけになりながらもその瞳はいまだ戦意を失っていない。
そのハガルの左肩を細い黒い光が撃ち貫いた。
「がぁあッ! この、駒風情が……ッ!」
「その駒風情に動きを予測され、逃げられないのは誰だ。どうせそうやっていつも見下しているんだろう? 卑怯な戦法しか取れない憐れな総大将だな」
「貴様……私に、私に、その態度……!」
かかったと、咲はにやりと口の端を釣り上げ軽く笑った。誰にも気づかれない程度の微笑だったが。
追い打ちとばかりに言葉を続けて投げる。
「悔しいんだろう? だったら……正々堂々、咲と勝負してみろッ!!」
「くくっ、いい度胸だッ!! その言葉……後悔しても遅いぞッッッ!!!」
空中を蹴って急速にハガルは咲に肉迫する。その動きは幾分か速度低下しているとはいえ、咲に捉えられるぎりぎりの速度であった。
右手に召喚した半透明の剣を顕現させるとハガルは無数の剣閃を放った。
右下、左、真下、上段斜め上……あらゆる方向から放たれる必殺の剣戟を咲は軽い剣でいなしていく。
剣の切先を鋭く重い剣閃に合わせ、弾く様に流れる力を殺す。一瞬でも気を抜けばあっという間に細切れにされてしまうだろう。
(まだだ、まだ……あと……もう少しッ!)
二人は高度を下げながら斬り合う。勝負は一瞬で決まる。彼女の策が成功すればだが。
咲は重い剣撃を真面に受けないように注意しつつ、策が成就するその時を待った。
時間が来るのが先かそれとも自分が攻撃を受けられなくなり、ずたずたに引き裂かれるのが先か。
次第にハガルの剣撃の速度が増し、ついには咲の剣を弾いて空高く跳ね上げてしまう。
「終わりだ……! 自身の言葉に後悔し、地獄で懺悔せよッッ!!」
右腕を跳ね上げられ無防備となった咲に最後の一撃を放とうと予備動作に入ったハガルは、にやりと笑った咲の表情に気が付く。
「その言葉は、自分自身に言うんだな」
彼女の黒く輝く左拳が肉迫したハガルの腹部に押し付けられていた。
「なにっ……!? 貴様、最初からそのつもりで――――」
「――――死ね、ハガルッッ!」
押し付けられた拳から黒い光の渦が放たれ、ハガルの腹部を貫く。身体をくの字に曲げ黒い光に運ばれたハガルは瓦礫に激突し周囲に破片を撒き散らしながら土煙を巻き上げた。
もうもうとする煙の中から飛び出したハガルは上方へと逃げた。
高く跳んで逃げたその先には……御剣が剣を構えて待っている。門番の様に。
「どこへいくつもりだ。お前に、帰る場所は……ない」
「これだけの手傷を受けたのだ。一時退いて、体勢を整えようとも思ったが……そうはさせてくれなさそうだな?」
「当たり前だッ! お前はここで討つ!」
飛びこんだ御剣の剣閃がハガルに襲い掛かった。数発放つがそれらはぎりぎりの所で避けられ皮膚を裂くだけに留まっている。
後、一歩。そう、後一歩踏み込むだけの隙がない。
(一瞬でも気がそれてくれれば……!)
その時、ハガルの背後から加速した黒い弾丸が迫る。咄嗟の事で一瞬ハガルは回避行動が遅れ、無理矢理身体を捻る事でそれを回避した。
海が自ら描いた線を用いて弾丸を加速させ、遠距離から狙撃の要領でハガルを狙ったのである。
それは御剣にとって絶好のチャンスであった。踏み込む、後一歩……考えるよりも先に身体がその想いを体現する。
静かに剣が空を一閃。煌めく白刃がハガルの身を真っ二つに裂いた。
両断され、塵になっていくハガルは妖しく笑って消えていく。
「駒にやられるとはな。まったく……予想さえ、覆す……実に、興、味……深――――」
言い終えるよりも先にハガルは塵となって消滅した。
それを見て誰に聞こえるとでもなく御剣は呟く。
「寝子島は……守って見せる。誰が来ようと、俺達が……ここにいる皆がいる限りな」
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3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
バトル
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年05月10日
参加申し込みの期限
2015年05月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年05月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
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