学園ロミオとジュリエット！｜リアクション

学園ロミオとジュリエット！

　　【夢にまで見たリア充爆破事件】

　体育倉庫にて、
　中でむーむー言っている人が増えた。
　気絶した御剣刀と、火消しに成功した代わりに一緒にガムテープでぐるぐる巻きにされ叩き込まれた叶寿里である。

　粉塵爆発第一陣が、想定よりもかなり失敗に近しい形であった事から、骨削瓢は早速、第二陣の計画準備を進めていたのだが。

「……おやぁ、
御剣はんはともかくとして、予想以上に早いお着きで。粉塵爆発一回を無駄に使ったお陰で隠れる時間がなかったねぃ」

　開かれた扉に、見えた人影。
　見覚えのあるその姿に、慌てた様子で後木真央が、そして意地の情報収集でここを突き止めた八神修とロベルト・エメリヤノフ。そして、歩いているだけで押し倒した女の子の数が３人を越えてしまった事もあり、流石に言い訳用に原因を探さずにはいられなくなった宇崎宙太郎が、寿里の姿を見掛けて何が起こっているのか分からないままに、取り合えず足を踏み入れる。

　しかし、ほぼ同時到着しつつも、“粉塵爆発”と出た自分のろっこんに不安を抱いた浅山小淋と、共に来た夢宮瑠奈。そして、何故か緊張してしまい体育倉庫中へ足を踏み入れられなかった緋紅朱赫乃が足を止める。

　そして後から追いついた綾辻綾花と、日々野結衣香が来た時には、扉は中で誰かが押さえているかのように開かなかった。
　それから来た桐野正也はろっこんの影響範囲を考え、刀同様に外を大回りで駆けてきた。
　二人が必死に開けようとしているのを見て、明らかに嫌な気配を感じずにはいられなかった正也は静かに口を開く。

「何か、嫌な予感がする──俺が開けるから女の子は下がっていた方がいい」

　脂汗だらだらなまでに、非常に嫌な気配を感じつつも、正也は女の子に何かあってはならないと、固い決意とともに己の不憫がまた一つ増える覚悟を決めた……

　複数が一気に飛び込んだ為、全員が雪崩れ込むような形になった。
　その為、最初は扉の脇にいた瓢が、今は閉められたそれを開けられないように、扉を背後に押さえるように立っている。
　極めて、これは極めて危険な状況のような気がする──瓢を知る何名かの存在は、思わず息を呑んだ。
「これは、もしかして危ない状態と言うやつか？　取りあえず、このガムテープ何とかしないと──」
　何も知らない状態の宙太郎が“何かヤバい状態”を体感しながら見知った顔をした寿里のガムテープを解いていく。
「ケケケ！　ようこそ来なすった。これから“ぱらいそ”どころか“ヘヴン”へご招待するよぃ！」

「いくら普段使わない体育倉庫とはいえ、備品を壊せばただでは済まないぞ。
　こんな何の得にもならない事は直ぐやめるんだ！」
「ケッケッケ！　リア充爆発！　こんな楽しいことに使われるのなら、ただで済まないのはもと承知！
　むしろ埃を被った備品も満足するというものさぁ。不服でも知ったこっちゃ無いがねぇ」
　修が説得を試みようとするが、話は平行線どころか相容れない。
　何しろ相手は、“前提にした秩序”を“ぶち壊す事を前提”にしているのだ。これはもう相容れる訳が無い。

「さぁてさて。御託はここまでだよぃ」
「持っているのは、マッチに……石灰！？　粉塵爆発か──！」
「──皆で丸焦げになるがよいさぁ！」

　瓢が石灰を思いっきり空中に撒き散らす！
　皆がむせているうちに、瓢は鍵を掛けていた後ろのドアを開けて、正也の側をすり抜けるように軽やかに出入り口横の壁に張り付き摺ったマッチを一本容赦なく放り込んだ──！！

　──大きな振動、もう擬音では表現しきれない爆音が響いた──

　建物が崩れなかったのが唯一の救いだったとしか言い様が無い。
　開けたドアの正面にいた正也を見事に巻き込んで──もう殆どが例外なくアフロだった。服はズタボロ。下着以外はあっても無くても同じ位にボロボロだ。
　だが、生きている。こほっと黒い煙を吐き出す位で、それはもうピチピチしている！

【現在のアフロ】：御剣刀、後木真央、八神修、ロベルト･エメリヤノフ、宇崎宙太郎、桐野正也、叶寿里、吾妻壬王

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