学園ロミオとジュリエット！｜リアクション

学園ロミオとジュリエット！

　　【ろっこん暴走の恐怖】

　完全に骨削瓢の姿を見失ってしまった、八神修とロベルト・エメリヤノフは途方に暮れた。
　教室から飛び出し見渡しても、もう既にその姿は無い。
「これは……手当たり次第、聞いて回るしかないかな……？」
「そうですね。先輩は右手側を、俺は左手側に回ります。
　何か有益な情報があったら、都度ここで合流、を──」

　修がそこまで口にした瞬間──
　見えた。廊下の遠く向こう側に、猫の大群が群れをなしてこちらに目を光らせている事に。

　ドドドドドッ！！

　そして、こちらに向かい全力で走ってくる猫軍団！
　ひとまずはそれを廊下端に全力で回避する二人。
「もしかして、これが彼女のろっこん……！？
　本人の姿も見当たらないのに──余程広範囲なのかな。……羨ましい」
　確かに、ロベルトの能力範囲が圧倒的であったならクラス中がショーターの楽園になっていたであろう。
　おまわりさんを呼ぶ前の、不幸中の幸いと言えた。

「今までの放課後は、ここまでじゃなかったはず──……効果範囲が広がってる……？
　このままじゃ、学校中に被害が出るぞ！」

　そして、ろっこんの範囲拡大は明確なまでに、具体的な被害として発現していた。
「あ！　それ見た、確かあっち──」

　コケーッ！！

　事情聴取中に尋ねていた相手に、急遽落下してきた１羽の鶏。
　その驚きで、
「──……あれ、どっちだったっけ？」
　うっかりの二次被害として様々な記憶を吹き飛ばしたり、事情聴取では済まない事態に陥る目撃者達。

　そして、連続的に発生する、最終的には神出鬼没の度を越した、逃げられない距離での猫の群れが二人に襲い掛かった！

「うわあああ！！」
　なす術もなく流される二人。それも複数回──
　その柔らかさ、そのふかふかな感覚に、
「(……これはこれで幸せな──いや、駄目だ！)」
　修は自分を叱咤しながら、意地で猫の群れを抜け出して、必死の事情聴取を再開した。
　もう、あちこちから、悲鳴が聞こえ始めている。
　
　調査は難攻を極めたが、その困難の嵐の中で、二人はやっと重大な情報を掴むに至った……！

　敵は──体育倉庫にあり。