怪人セブンの暗躍｜リアクション

怪人セブンの暗躍

【12：42　寝子島高校】

　恵御納と逆巻は「まだ整理しないといけない書籍があった」と理由をつけて、寝子島の民俗学に関わりそうな書籍を図書館でひたすらかき集めていた。
「黒依たちからの情報がなかったら、闇雲に探すところだったね……」
　恵御納は黒依たちが統括する情報班から、寝子島図書館で泉月花たちが閲覧した書籍のリストをメールで送ってもらっていたのだ。
「……意外とあるんだね、高校の図書館も馬鹿にできないな」
　逆巻が蔵書の中から見つけたのは、いわゆる貸出禁止の授業の資料で使うような書籍である。
　埃にまみれたものも含めると本棚１つ分はある。
　その蔵書量に恵御納と逆巻は面食らう結果となった。
「とにかく、これらをどこかに一時的に隠そう」
　恵御納は本そのものを持ち出されることを警戒していた。
　あるいは写真などで中身の情報を読み込まれるなど、とにかく有益になりうる書籍は１冊も外に出すまいと固く誓っていた。
　故にわざと関係ないジャンルの本棚に差し込んだり、本棚の隙間や死角に隠すなど奔走する。
　この作業に更に30分弱取られることになった。
　……しかし、２人は知らなかった。
　今の時間帯、暴食令嬢は目の前のラーメンで頭がいっぱいということを！
　しかも案内と称して同伴している仲間たちによって、刻々と泉月花たちの自由時間を削っている努力も把握していなかった。
　今回の情報網は、教団側の目的を推し量るための材料や言動などを集約することに特化しすぎていた。
　横のつながりが希薄だったため、各チームの現状の行動などは主目的として配信していなかった。
　となると泉月花と魅紗歌の足取りを追うためには、現状ではSNSなどでログを追跡する以外できない。
　恵御納は度々スマホで情報を集めていたが、リアルタイムでの動向を知り得るには不十分であった。
　故に、どうしても最善の状況判断はできずにいた。

　この時間が、痛恨のロスタイムとなる……。