怪人セブンの暗躍｜リアクション

怪人セブンの暗躍

「なにやら興味深い話ですね」
　背後から声をかけられた３人は、ぎょっとして後ろを振り返った。
　そこにはにこやかに微笑む中野先生がいた。
「中野先生、随分とお戻りが早いですね」
　シグレが向き直りながら咳払いをした。
　中野先生はただ微笑むだけで何も答えない。
「まだ補習再開の時間には少し早いようですが……」
「野々さんの補習は予定を繰り上げて行います。彼女は他の生徒より赤点が多いですからね」
　中野先生の言葉に、逆巻と恵御納は苦笑いを浮かべてしまう。
「ナイトウォーカーさん、ここからは野々さんとマンツーマンで補習をします。お友達と大事な用事があるのでしたら無理に予定を合わせなくて大丈夫ですよ。お付き合い下さってありがとうございました」
　中野先生が教室に入る。
　シグレは訝しがりながらも、中野先生についていくことにした。
「先生、俺はののこ嬢が心配なので午後も補習に付き合います。上級生としての責務がありますから」
「いいのですか？　お友達との予定は？」
　不思議そうに逆巻たちとシグレを見交わす中野先生。
　シグレは笑顔で答えた。
「大丈夫です。用事は後輩たちに任せますので。今はそこでのびている後輩の面倒を見てやるべきでしょう」
「わかりました。では再開しましょう」
　中野先生はののこを起こすために、その肩に触れて揺すった。
「逆巻、恵御納、あとは頼んだ」
「シグレ先輩も気を付けて……」
　恵御納はお辞儀をすると、まずは逆巻と共に図書館へ向かった。
　ちょうどその時、ようやくののこの目が覚めた。
「ふわぁ～、よく寝たんだよ！　あ、お昼ご飯食べてない！　あ、中野先生だ、つまりお昼休み終わり～！？」
　のわぁ～と教室で悶えるののこ。
「中野先生、ののこ嬢の昼食の時間くらいは設けていただいてもいいのでは？」
　シグレの申し出に中野先生は口元を緩ませた。
「いいでしょう。では私もここで食事を摂らせていただきますね」
　中野先生は脇に抱えていた鞄からお弁当を取り出した。
「たまには生徒たちと一緒に食べる昼食もいいものです」
「中野先生もお昼ご飯？　私のミートボール、１つあげるねっ！」
「ののこ嬢、中野先生は菜食主義者だ。肉は食べないんだ」
　シグレの言葉に、中野先生は苦笑いしていた。
「えー、美味しいのにー」
　ののこがふてくされると、中野先生は申し訳なさそうにはにかんだ。
「お気持ちだけで充分です。私は昔からお肉は食べられないんです」
「そっかー、でも好き嫌いはダメだよ！？」
　ののこの言葉に苦笑いで返す中野先生。
　シグレは今のやり取りをなんとなく聞き入れつつ、昼食タイムが終わるまで廊下を見渡したり、窓から泉月花たちが見えないか警戒を怠ることなく気を張り詰めていた。