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秋の夜に、廃墟にて
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【7】
散策に出たすばると美野梨がやって来たのは、回転木馬の傍だった。
そこでは、紀伸がスケッチを続けている。
「こんばんわ。何やってるの?」
それに気づいて歩み寄り、すばるが尋ねた。
「木馬を、スケッチしています」
紀伸は言って、二人が手をつないでいることに気づき、小さく微笑む。
彼らの姿に、まだここが賑わっていたころ、恋人と遊びに来た時のことを、ふと思い出したのだ。
(いつも大人しい彼女が、ここでは子供のようにはしゃいでいました。……あの時の笑顔は、今でも記憶に焼きついています)
もう、二十年以上も前になるその日のことを、鮮明に脳裏によみがえらせて、彼は胸に呟く。
あの日、この回転木馬は明るい陽射しの中、はしゃぐ子供や恋人たちを乗せ、色鮮やかに音楽に合わせてくるくると回っていた。
ここに来る前にスケッチした観覧車も、多くの客でにぎわっていたものだ。
もちろん彼も、恋人と二人で観覧車に乗り、ゴンドラからあたりの景色を一望したり、華やかに塗装された木馬に乗って笑い合ったりした。
(あのころと比べると、やはり物寂しいですね)
目の前の動かない木馬と、記憶の中のそれとを比較して、彼は再び胸に呟く。
とはいえ、目の前にあるものを『夜の廃墟』としてのみ考えれば、彼にとっては資料的価値がある。というのも彼は、ホラー系のイラストレーターなのだ。
「こんな薄闇で、スケッチを?」
美野梨が、驚いたように訊いて来た。
「ランタンがあるので、大丈夫です。それに、これはこれで、風情があって悪くないですし」
苦笑して答える紀伸に、ふと気づいたようにすばるが尋ねる。
「もしかして、ここがまだ営業してたころを知ってる……だよね?」
「ええ。遊びに来たことも、ありますよ」
うなずく紀伸に、すばるは目を輝かせて更に問うた。
「それって、恋人と?」
「ええ、まあ……」
苦笑して、曖昧に答える紀伸に、美野梨も珍しく興味を惹かれたのか、訊く。
「その人は今は、どうしているの?」
「だいぶん前に別れて、今は遠くへ行ってしまいました。……きっと元気にしているでしょう」
紀伸は、穏やかに答えた。
だが、それは嘘だ。彼女は、すでに亡くなっている。
けれど、空気を重くしたくなかった。若い二人に気を遣わせるつもりもない。
「なあんだ。ボク、てっきり久須部さんの奥さんになってる、とかかと思ってたのに」
すばるが、ちょっとがっかりしたように言った。
「残念ながら、私はまだ独身ですよ」
笑って返すと、紀伸はスケッチを再開する。
それを見やって、すばると美野梨は彼に別れの挨拶をすると、再び手を取り合って、隣のコーヒーカップの方へと立ち去って行った。
そのころ。
真央は
八神 修
と共に、ゴーカートコースの、美野梨がカメラを設置したのとは反対側の端にいた。
そこには一人用のテントが二つ、並んで設置されている。一つは真央が持参したバネ式簡易テントで、もう一つは修が持って来たワンタッチテントだ。
テントの傍には、これも修が持って来たミニコンロとポット、金属カップやインスタントコーヒーなどが置かれ、LEDランタンが明るく輝いている。
テントの設置場所は、真央が昼間に実際にここに来て、スマホの星座表アプリを見つつデジカメを覗いて、よさそうな場所に目印のリボンを結んでおいた。その中から、修がここを選んだのだった。
もっとも、場所を決めたあと、テントの設置をする前に、彼らは『寝子島ミステリーレポート』――通称NMR用に廃墟を一巡りして写真撮影をした。
その途中。
「うひゃあ!?」
突然頭上で、何か軋むような音が聞こえ、真央は飛び上がった。思わず、修の服の裾をつかむ。が、すぐに気づいて、ぱっと離した。
「ごめんなのだ。なんでもないのだっ」
「気にしなくていい。大丈夫だ」
安心させるように言って、修はあたりを見回す。そして、頭上を示した。
「音の原因は、あれだ」
その先には、観覧車のゴンドラが、風に小さく揺れる姿が見える。
「錆びているせいで、あんな音がするんだろう」
「そうなのだ。びっくりしたのだ」
真央は安堵の吐息をついて、返す。
ジェットコースターの線路が草に埋もれているあたりでは、修が足元をライトで照らしながら、真央の手を引いた。
そうやって一巡りしてここに戻ったあと、二人はそれぞれテントを設営すると共に、星景写真を撮る準備をする。
「ここなら、寂寥感あふれるいい星景写真が撮れそうなのだ♪」
真央は楽しげに言いながら、準備に邁進した。
それが終わると、まずは腹ごしらえだ。
「コーヒーもオヤツも、夕飯もあるのだ♪」
真央は言って、持参の弁当箱を開ける。修も苦笑しつつ、自分の夕食を広げた。
修が連れて来た子猫のブルーを遊ばせながら、二人は食事をする。
ちなみに、賢い子猫は、二人が廃墟を一巡りして来る間、大人しくここで荷物の番をしていてくれた。
食べ終わったあとは、真央が湯を沸かし、練乳入りのコーヒーを作った。
コーヒーを飲みながら、彼らは秋の星座の話をした。
やがて二人は、星景の撮影を始める。
と――二人の視界を、すっと光の筋が横切って行った。
「流れ星なのだ!」
真央が叫んで、そちらを指さす。続けてまた一つ、二つと星が流れた。
「早すぎなのだ。三回言え……点点点!」
真央は、大急ぎで叫ぶ。聞くなり修は苦笑した。
「テストで良い点を取れますように、か? なら、祈る前に勉強だな」
「これも、保険なのだ」
小さく口を尖らせる真央に、修はもう一度苦笑する。
「この前の補習の続き、今度しような」
「……お願いするのだ」
小さく吐息をついて、真央もうなずいた。
その時、どこからか虫の鳴き声が聞こえて来た。
二人は小さく息を飲み、あたりを見回す。
少し離れたあたりに雑草が丈高く生い茂っている場所がある。声は、そこからだった。
「この声……コオロギだ」
修は呟き、そちらに歩み寄ると、草の隙間からそっと声が聞こえる方を伺った。が、暗くてよく見えない。デジカメをそちらに向け、モニターに映し出されたそれを拡大した。
「うう……」
修は小さく呻く。
あとからついて来て、同じようにモニターを覗き込んだ真央も、顔をしかめた。
二人とも、虫が苦手なのだ。
修が、カメラのシャッターを切った。
「修ちゃん、なんで写真を撮るのだ?」
「虫嫌いを治そうと思ってな」
真央に問われて答えながら、修は胸に呟く。
(もう嫌だってぐらい虫を見て、慣らして行くんだ。子供のころのトラウマなんて、屈服させてやるのさ)
そんな彼に、真央は小さく目を見張った。が、モニターごしにコオロギのアップを見ることに耐えられなくなり、目をそらす。
「真央ちゃんは、蟲女のせいで、もっと虫が苦手になったかもなのだ……」
小さく呟き、気を取り直すように夜空へと目をやった。
だが、修の方は、気持ち悪さをねじ伏せて、コオロギの写真を撮り続けている。
気を紛らわせようとしてか、虫の話をし始めた。
「コオロギの声と言われるアレは、実は翅をこすり合わせて出している音で、しかもオスにしかできないことなんだ。つまりは、メスを呼ぶための、求愛行動というわけさ」
「ふうん。……修ちゃんは、嫌いな虫のことも、よく知ってるのだ」
真央が、感心してうなずく。
「嫌いだからこそ、よく知って、なるべく連中と遭遇しないようにするのさ」
やや引きつった笑顔と共に言って、修はようやくカメラを収めた。そろそろと草むらを離れて、深い吐息をつく。
その彼に、真央が声をかけた。
「そろそろ、星景の撮影に戻るのだ」
「ああ」
うなずいて、修はテントの方へと歩き出す。真央も、それに続いた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
織人文
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
動物・自然
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年04月21日
参加申し込みの期限
2015年04月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年04月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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