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秋の夜に、廃墟にて
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【9】
設楽 千聖
は、一人で遊園地跡内を散策していた。
彼女が今夜の会に参加したのは、自分自身に芸術的刺激を与えるためだった。
(最近、新曲のイメージが湧きませんわ。……でも、普段行かないような場所を探索すれば、刺激になるかもしれませんわね)
チラシを見て、そんなふうに考えたのだ。
散策する彼女は、『トーデス・シュトラーフェ』と名付けたヴァイオリンの入ったケースと、筆記用具や五線譜の入ったバッグを肩にかけ、手にはランタンを提げている。
「廃墟って、薄汚いイメージがありましたけど、こうしてみるとなんだか、感傷に浸ってしまいますわね」
ふと足を止め、遠くの方に黒い影のように見えるジェットコースターの線路や観覧車に視線を巡らせ、彼女は呟いた。
「だってここは、かつては人を楽しませていたところなのでしょう? でも今は、見る影もないですわね……」
でも、自分はそんなこの廃墟が、嫌いではないかもしれない――と、彼女は思う。
その胸に、音楽の片鱗のようなものが、ふいに湧き上がって来た。彼女は、ちょうどそこにあったベンチにハンカチを敷いて腰を下ろすと、バッグから五線譜と筆記用具を取り出した。五線譜に向かって、湧き上がって来るものを記録しようとした時だ。
「過去の遺産を、堪能してる? それとも、これからここの姿を記録しようとでも、してるのかしら?」
高飛車な物言いと共に、近づいて来た少女がいた。
六条院 根雪
だ。
「なんですの? 私(わたくし)はこれから、湧いて来たイメージを曲に起こすところですの。邪魔しないでいただけて?」
なんとなくムッとして、千聖は返す。
「廃墟を見ながら、作曲! それはそれは、素敵な趣味ね」
嘲笑するように言って、根雪はあたりを見回した。
「遺跡は、なぜ文明が滅びたかを教えてくれる……。観光業をたしなむならば、夢の跡も見る価値はあるかもね。――なんてことはないわよ! さっさと更地にしちゃって、明け渡しなさいよ! 昔のことにこだわってちゃ、開拓できないじゃないの!」
「あなた、いったいなんですの?」
突然そんなことを言い出した根雪に、千聖は面食らって返す。
が、根雪は平然と肩をすくめて、彼女を見返した。
自分がおそらく、他の参加者たちとは目的や立ち位置が違っているだろうことは、理解していた。
彼女は、廃墟そのものにはなんの興味もない。今日ここに来たのは、『買収予定の土地の下見』と言う名の暇つぶしだった。
彼女は、観光業を営む六条院グループの令嬢だ。ライバル会社より先に人を呼べそうな場所を探して、買収し、グループの利益の拡大を図る――それが、彼女が寝子島に来た理由だった。
とはいえ。
ここを買い取ろうというつもりは、まったくなかった。
「ただの観光業者よ。……不本意ながら、私は過去の失敗例を見に来たのよ。あと、土地の下見。まあ、不便な所だから、つぶれて当然だとは言えるわね、ここ」
言って、根雪は苦笑する。
「……にしても、難儀な話よね。人がいなくなってつぶれた場所なのに、いまだに人がいるんだもの。きっと、ここがこうなってなければ、ロマンティストたちは来てないんでしょうね。……まったく、つくづく難しい世界だと思うわ」
「そんなこと、私に言われたって、しようがないですわ。ここがつぶれたのは、私が生まれる前のことですもの。私は――いえ、今日この会に参加した人の多くも、ここが遊園地として動いていた時のことを知りませんわ」
自分たちの行動を皮肉られているように感じて、千聖は言い返した。
「ええ、もちろん、ロマンティストたちのせいだと言っているわけじゃないわ。ただ、難儀だと言っているだけよ」
言って、根雪は小さく笑う。
「別にこの土地を買収するつもりはないわ。ここつぶすより、使える場所はまだ一杯あるしね。まあ、そういう世界があるって知れただけで、よしとするわ。……そうね、ここでやるなら、廃墟カフェとか? 私はそんな、ジメジメしてそうな所、ごめんだけども」
言いたいだけ言うと、彼女は踵を返した。
「水をさしたわね。それじゃ」
軽く手をふり、立ち去って行く。
それを千聖は、幾分あっけに取られて見送った。が、その姿が見えなくなると、急に怒りが募って来る。
「なんなんですの? いったい……! おかげで、せっかく湧いて来たイメージが、消えてしまいましたわ!」
憤然として立ち上がると、五線譜と筆記用具をバッグにしまい、彼女は歩き出した。
そのころ、月と冬華は他に人のいない観覧車の傍にいた。
しばらく音楽堂にいた二人は、そこから直接ジェットコースターの側へと向かう細い道を下り、まるで草に埋もれて息絶えている竜のような線路を眺めながら、反時計回りにジェットコースターの周囲を巡って、今ちょうど一周する形で、ここに来たのだった。
ちなみにジェットコースターの北側にも、何か遊具があったらしい跡はあるものの、それ自体は見当たらなかった。
ともあれ。
観覧車の傍で、冬華は動かないゴンドラが珍しいのか、中を懐中電灯で照らしたり、覗き込んだりしている。
それへ、月が言った。
「冬華さん、そのまま動かないで。コートも脱いで」
「え? あ、はい」
どうやら、何かイメージが湧いて来たらしい。冬華は言われるままにコートを脱いで、錆びついて蔦が幾重にもからまったゴンドラの傍に立った。
それをじっと眺めていた月は、やがて開いたノートに流れるような動きでデザイン画を描き始める。
(調子がいい。……イメージが、次々と浮かんで来る)
胸に呟き、彼女は腕を動かし続けた。
ノートには、透けるようなレースのドレスが描かれ、髪や胸元を飾るアクセサリーが描かれ、更に足を彩る靴と指にきらめく指輪が、次々と描かれて行く。
「冬華さんは、綺麗だね」
描きながら、月は冬華に声をかけた。
「そ、そんなことないです」
冬華は慌ててかぶりをふる。その頬が、薄く桜色に染まっていた。
それを見て、月の中に更にイメージが湧く。
(ドレスの裾は、淡い桜色にしよう。レースをふんだんに使って、泡立つ波のように。袖口と、衿にも同じようにレースをあしらって……。髪飾りもレースだ。ビーズと、細い銀のチェーンで動きをつけよう)
湧き上がって来るイメージのままに、色鉛筆で色を乗せる。
そこへやって来たのは、千聖だ。
憤然と歩き出した彼女だが、次第に怒りは薄れて行き、かわって根雪に会う前に脳裏に浮かんでいた旋律が戻って来始めていた。なので、どこかでもう一度五線譜を広げようかと考えながら歩いていて、ここを通りかかったのだ。
(彼女はたしか……私と同じ、芸術科の生徒ですわ……)
月を見て、ふと胸に呟く。そして、兄の言葉を思い出した。
彼女は小さくうなずくと、月の方へと歩み寄る。
「何をしていますの?」
「イメージが湧いて来たので、冬華さんをモデルに、デザイン画を描いている」
声をかけられ、月が顔を上げて言うと、千聖は顔を輝かせた。
「それは、ちょうどいいですわ。そのデザイン画、見せていただけませんこと?」
「別にかまわないが……なぜだ?」
月は、少し怪訝そうに千聖を見やって問う。
「私は、作曲をやっておりますの。ですが、自分の作品だけを見て何かを作るとよくないって、兄が……」
言いかけて、千聖は慌ててかぶりをふった。
「はっ! いけないですわ。私に家族はいない、私に家族はいない」
呪文のように口の中で唱えて、小さく咳払いすると、彼女は改めて言い直す。
「自分の作品だけを見て何かを作るのは、良くないと――ま、まあこれは、私の崇高な考えですわ!」
「ふうん。……見たいならどうぞ」
月は小さく首をかしげたものの、言ってノートを差し出した。
それを礼を言って受け取り、千聖は開いた。
「まあ……!」
思わず目を見張り、次々とページを繰って行く。そこに描かれているのは、どれも幻想的だが愛らしく、そして上品な雰囲気を醸し出すデザインの数々だった。
しばし吐息と共にそれらを眺めた千聖は、やがて深い溜息をついてノートを閉じた。
「ありがとうございました。どれも、とても素晴らしいものばかりでしたわ」
礼を言って、ノートを返す。
「いや。……そう言ってもらえて、私の方こそうれしい」
月はノートを受け取り、笑った。
千聖は、それへ一礼して踵を返す。
(どこかで、一曲弾きたいですわ)
頭の中で、今見たデザイン画と共に舞い踊る旋律に促されるように、そう胸に呟くと、彼女は野外音楽堂へと足を向けた。
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担当ゲームマスター
織人文
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ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
動物・自然
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年04月21日
参加申し込みの期限
2015年04月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年04月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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