ある日の夕暮れ時。
呉井 陽太と
斑鳩 遙の二人は、『寝子島イリュージョンランド』の一画にある音楽堂にいた。
ここは、九夜山の頂上近く、三夜湖に隣接した廃墟となった遊園地だ。
閉鎖されたのは二十年も前のことで、出来たころには寝子島の新たな観光スポットになるかと期待されていたものの、不況のあおりで経営破綻してしまったのだった。以後、ここは時間の流れの中、朽ち果てて行くままに、その姿を晒し続けている。
「今日、学校でこんなチラシもらったんだよぅ。どう思うー?」
陽太が手にしたチラシを、遙に差し出した。
「ふうん?」
幾分か気のない返事をして、遙はそれを受け取る。
そこには、『廃墟ファン集合! 夜間撮影会をしませんか?』と、大きく真っ赤な文字が躍っていた。
遙は、黙ってそれを読み下す。
『来週の土曜、夜七時より、寝子島イリュージョンランド跡にて、夜間撮影会を行います。廃墟ファンも、そうでない方も、我こそはと思う方は、ふるって応募下さい。
参加費は無料。
集合場所は、寝子島イリュージョンランド跡内の音楽堂です。
懐中電灯やカメラ、防寒着などは持参願います。
寝子高のみんなは、近所のお兄さんお姉さんや、中学生小学生諸君にも、声をかけて誘ってね!
参加申し込みや問い合わせは、五代 春香まで。
みんなで秋の夜の廃墟を、楽しみましょう!』
チラシの最後には、連絡先として、春香のものらしいメールアドレスが書かれている。
遙はチラシを陽太に返して、小さく肩をすくめた。
「妙なことを思いつくものだな。主催者は、陽太君と同学年のようだが、知ってる子か?」
「直接つきあいはないなぁ。でも、廃墟好きだって聞いた覚えはあるよぅ。それが高じて、猫鳴館に住んでるんだってさー」
答える陽太に、遙は笑う。
「そりゃ、すごい」
「うん、すごいよねぇ」
陽太も笑って返すと、改めてチラシに目をやった。
そのころ。
寝子島高校では、五代 春香が校内の掲示板に、せっせと件のチラシを貼っているところだった。
明るいうちは、チラシを配るのが忙しく、貼るところまで手が回らなかったのだ。
「夜の廃墟で撮影会なんて、夢のような企画よね~。今まで考えつかなかったのが、不思議なくらいだわ」
ふふふ……と、やや不気味な笑いを漏らしつつ、彼女は作業に邁進するのだった。
呉井 陽太さま、斑鳩 遙さま、登場ありがとうございました。
こんにちわ。マスターの織人文です。
さて、今回は廃墟で写真の撮影会をしようというガイドです。
寝子島に、どれぐらいの廃墟ファンの方がおられるかはわかりませんが……ファンでなくとも、夜の廃遊園地はそれなりに風情のあるもの。
散策したり、夜空を眺めたり、友人同士でお菓子など持ち寄って楽しむのも悪くないかもしれませんね。
▼開催日・場所などについて▼
・開催日:来週の土曜日、夜7時より
・集合場所:寝子島イリュージョンランド跡の音楽堂
・誰でも参加可能
=======以下、PL様情報です。============
・どなたでも参加いただけます。
・廃墟の撮影が中心のガイドですが、基本、何をするのも自由です。
・明るいうちに来て、遊園地内を見て回る(撮影場所を決めたりする)のもOKです。
・持ち物や行動(どこで何をするか)については、アクションに具体的に書いていただければ、ありがたいです。
▼寝子島イリュージョンランドについて▼
九夜山の山頂近く、三夜湖に隣接する廃墟となった遊園地です。
詳しくは、コミュニティ『寝子島イリュージョンランド』を参照ください。
▼NPC情報▼
【五代 春香】
17歳。寝子高2年生。
猫鳴館の住人で、廃墟と星が好き。
寝子島イリュージョンランドへは、写真を撮りによく行っている。
===============================
それでは、みなさまの参加を、心よりお待ちしています。