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猫又川でのんびりと
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御剣 刀
は最初から登山道を選ばなかった。己の肉体に負荷を掛けるかのように険しい道をゆく。背中には大型のリュックを背負い、顎先から止めどなく汗を垂らしていた。
首に巻いたタオルで顔を乱暴に拭う。
「鍛錬にはなるが、本当に温泉はあるのか」
耳には川のせせらぎが聞こえている。かなり上流まできた。刀は川の方向に逸れていった。
下草を踏み越えた先に猫又川があった。川幅は極端に狭くなり、清らかな流れが耳に心地よい。
刀は川のほとりでリュックを降ろした。着ていた黒いジャージを雑巾のように絞ると汗が滴る。肌に張り付いたTシャツの胸元を摘まんで風を通した。
「さすがに水は綺麗だな」
掌で川の水を掬って顔を何度も洗う。頭にも少量の水を掛けて両手で掻き毟った。薄い青空を見上げて、頭がすっきりだ、と口にして深呼吸をした。
掌のコップで喉を潤した刀は近くの岩に腰を下ろす。光の粒を転がすように流れる川面を何とはなしに見ていた。
「腹が減ったな」
傍らのリュックから銀紙に包まれた拳大の物体を取り出す。中には黒い海苔で覆われたお握りが収まっていた。大きな口を開けて半分ほどを噛み取る。黙って口を動かして飲み込んだ。
「不味くはないが――」
残りのお握りを口に放り込み、一つ目を食べ終えた。穏やかな目で川の流れを見ている。
「あいつの方が美味いかな」
言いながらも二つ目を手に取った。同じ調子で食べていく。
水に重い物を投げ落としたような音がした。瞬時に刀は上流を見やる。石で足を滑らせたのか。横倒しになった璃亜が川の中から起き上がった。全身がずぶ濡れで、寒い、と凍えそうな声で言った。
刀はリュックの中からバスタオルを引きずり出し、急いで璃亜の元に走った。
「早く拭いた方がいい」
璃亜の頭からバスタオルを被せた。ありがとうございます、と小さな声が聞こえてきた。
「濡れた頭はタオルで拭けると思う。服は脱いだ方がいいかもしれないな」
「わかりました」
バスタオルを肩に掛けた状態で璃亜はシャツのボタンを外していく。目の当たりにした刀は慌てて背中を向けた。
「脱いだ服は俺が手で絞るから、その、安心して預けていいから」
「脱ぎ終わりました。よろしくお願いします」
璃亜の差し出したシャツを刀は後ろ手に受け取った。手慣れた様子で棒状にして一気に絞る。水が音を立てて落ちた。十分に水分が抜けたところで服を広げて扇いだ。
「このくらいなら体温で乾くと思う」
後ろを見ないで刀はシャツを返した。少し俯いて時を過ごす。
力むような声を耳が拾った。転倒した時に怪我でもしたのだろうか。大丈夫か、と言いながら刀は振り返った。
璃亜はスカートを絞る姿で儚く笑う。
「私の力では上手く絞れないようです」
「お、俺がやる」
スカートを強引に奪うと刀は渾身の力で絞るのだった。
見た目だけは元に戻った。璃亜は改めてお礼の言葉を送る。刀は照れ臭い表情で視線を逸らした。
「まだ完全に乾いた訳じゃないから、早く家に帰った方がいい。風邪を引くかもしれないし」
「そうですね」
「それと一人で帰れるのか。俺が途中まで送って行こうか?」
璃亜は柔らかい笑みで、大丈夫です、と答えた。去り際に軽く頭を下げて、川伝いに下流へと歩いていった。
残された刀は小さな背中を見つめながら、水色のストライプか、と呆けた様子で呟いた。
「何を俺は――」
目に付いた枯枝を拾い上げ、裂帛の気合で振り始めた。半ばで折れると急いでリュックを背負う。
桃色の記憶が蘇る前に刀は無心で斜面を登った。疲れ果てて足の動きが緩慢になる頃合いで温泉に行き当たった。雨上がりにできる水溜りのような大きさであった。温泉特有の匂いが周囲に漂っている。
「それにしても小さいな」
近くにあった石を運んだ。腰掛けてそっと素足を入れる。途端に安らいだ表情となり、良い温度だ、と口にした。
刀はのんびりとした様子で辺りを見回す。目印になるような物はなかった。どの方向を見ても似たような山の風景である。
耳に野鳥の声が聞こえてきた。風が梢を揺らし、乾いた音を立てる。
「人の声もしないな」
刀は残っていたお握りを食べ始めた。味わうように噛み締める。代わり映えのしない風景を眺める。
そんな時にポツリと言葉が零れた。
「最初で最後かもな」
束の間の温泉を刀は心から楽しむのだった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
黒羽カラス
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
冒険
オールジャンル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年04月12日
参加申し込みの期限
2015年04月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年04月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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