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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
猫又川でのんびりと
修と真央は山中を歩き続けていた。未だに温泉の痕跡も目にすることが出来なかった。天宵川に集中していた探索の範囲を東へと移した。
「装備は万全だから、どれだけ歩いても迷うことがなくて安心なのだ♪」
真央は軽々と倒木を踏み越えた。トレイルミックスの袋に手を入れてポリポリと食べる。
「修ちゃんも食べるのだ？」
「俺はいい。食後の運動が響いたようだ」
修は汗に塗れた顔で横腹を押さえていた。数分後、休憩を兼ねて地図を広げた。
真央は辺りの様子をデジタルカメラに収めていく。急に上体を低くした。音を立てずに歩いてシャッターを切った。
「修ちゃん、真央ちゃんはやったのだ！ 後脚で立った野兎を撮ったのだ！」
画像を見せられた修は感心したように頷いた。
「話は替わるが、この辺りを断層が走っているみたいなんだ。重点的に調べてみようと思う」
「アイアイサーなのだ♪」
真央は笑顔で駆け出した。俊敏な動きで周辺の匂いを嗅いで回る。
「温泉の匂いがするのだ？」
斜面から転がり落ちてきたような岩の側で真央が頻りに鼻を動かす。周囲をグルグルと回って腑に落ちない顔をした。
「温泉の匂いがするのに、どこにも湧いていないのだ！ どうなっているのだ！」
「岩の下が怪しいな」
修は下に目をやる。試しに肩口で岩を押してみた。
「砕くしかないか。真央、少し離れてくれ」
「わかったのだ♪」
真央と共に修も岩と距離を取った。まずは呼吸を整える。掌を前に差し出し、瞬間的に息を止めた。ろっこんの『分解』が進化能力を伴って発動した。数メートル先の岩が音もなく砕けた。
側で見守っていた真央は、やったのだー、と声を上げて駆け寄った。
「これくらいの重さなら真央ちゃんが持てるのだ」
真央は両手で石を運んだ。繰り返すことで地面が見えてきた。修はしゃがんで鼻を近づける。
「確かに温泉が湧いている。多少は掘らないと入れないな」
「真央ちゃんの道具にお任せなのだ♪」
背負っていた猫型リュックから折り畳み式のスコップを取り出した。
「真央ばかりに頼っては気が引ける。ここは俺にやらせてくれ」
スコップを受け取ると修は湿った地面を掘り始めた。植物の根を引き剥がし、土中から出てくる石を手で取り除く。次第に息が上がってきた。真央は両膝を抱えた状態で座って、大丈夫なのだ？ と声を掛けてきた。
「心配ない」
修は一言で済ませた。余力を全て注ぎ込んで一気に掘り進んだ。
「……終わった」
辺りが薄暗くなる頃、歪な形の温泉が完成した。真央は近くに簡易テントを張っていた。修の声を聞いて姿を現す。
「真央ちゃんの用意は出来ているのだ♪」
赤い水褌を穿いて胸には同色のリボンが愛らしいチューブトップを装着していた。
「修ちゃんもテントで水着に着替えるのだ」
「俺は木の陰でいいよ」
リュックを背負ったまま、修は近くの木の幹に姿を隠した。手間は掛からず、タオルを腰に巻いた状態で現れた。
「修ちゃんが裸なのだ」
「服を着て入るのはおかしいだろ」
疲労が足に及んでいるのか。修は下草に足を引っ掛けた。その振動で腰に巻いていたタオルが落ちた。
瞬間的に真央は顔を背けた。
「修ちゃんがパオーンなのだぁぁ！」
「ちゃんと見ろよ」
「パオーン自慢なのだ？」
怖々と真央が目を向けた先で修が水着姿で苦笑していた。
二人は温泉の中で仰向けに寝転がる。傍らには真央が淹れたコーヒーが置いてあった。
「星を見ながら飲む、甘いコーヒーもいいものなのだ♪」
「そうだな。木々が邪魔で星はあまり見えないが、折角だから秋の星座の話でもしようか」
「秋の大三角なのだ？」
真央の言葉に修は、惜しいな、と笑って言った。
「春と夏と冬に大三角はあるけど、秋にはないんだよ。似たようなのが秋の四辺形かな」
「三角の話で真央ちゃん、お握りが食べたくなったのだ」
「花より団子、この場合は星よりお握りか」
「そうなのだ～♪」
真央は目を細めてテントへと戻っていった。
修は夜空の星に目を向けた。
「今日中には帰らないとな」
明日の授業に響く。そのような考えが頭に過りつつ、修は穏やかな時間に身を任せた。
「装備は万全だから、どれだけ歩いても迷うことがなくて安心なのだ♪」
真央は軽々と倒木を踏み越えた。トレイルミックスの袋に手を入れてポリポリと食べる。
「修ちゃんも食べるのだ？」
「俺はいい。食後の運動が響いたようだ」
修は汗に塗れた顔で横腹を押さえていた。数分後、休憩を兼ねて地図を広げた。
真央は辺りの様子をデジタルカメラに収めていく。急に上体を低くした。音を立てずに歩いてシャッターを切った。
「修ちゃん、真央ちゃんはやったのだ！ 後脚で立った野兎を撮ったのだ！」
画像を見せられた修は感心したように頷いた。
「話は替わるが、この辺りを断層が走っているみたいなんだ。重点的に調べてみようと思う」
「アイアイサーなのだ♪」
真央は笑顔で駆け出した。俊敏な動きで周辺の匂いを嗅いで回る。
「温泉の匂いがするのだ？」
斜面から転がり落ちてきたような岩の側で真央が頻りに鼻を動かす。周囲をグルグルと回って腑に落ちない顔をした。
「温泉の匂いがするのに、どこにも湧いていないのだ！ どうなっているのだ！」
「岩の下が怪しいな」
修は下に目をやる。試しに肩口で岩を押してみた。
「砕くしかないか。真央、少し離れてくれ」
「わかったのだ♪」
真央と共に修も岩と距離を取った。まずは呼吸を整える。掌を前に差し出し、瞬間的に息を止めた。ろっこんの『分解』が進化能力を伴って発動した。数メートル先の岩が音もなく砕けた。
側で見守っていた真央は、やったのだー、と声を上げて駆け寄った。
「これくらいの重さなら真央ちゃんが持てるのだ」
真央は両手で石を運んだ。繰り返すことで地面が見えてきた。修はしゃがんで鼻を近づける。
「確かに温泉が湧いている。多少は掘らないと入れないな」
「真央ちゃんの道具にお任せなのだ♪」
背負っていた猫型リュックから折り畳み式のスコップを取り出した。
「真央ばかりに頼っては気が引ける。ここは俺にやらせてくれ」
スコップを受け取ると修は湿った地面を掘り始めた。植物の根を引き剥がし、土中から出てくる石を手で取り除く。次第に息が上がってきた。真央は両膝を抱えた状態で座って、大丈夫なのだ？ と声を掛けてきた。
「心配ない」
修は一言で済ませた。余力を全て注ぎ込んで一気に掘り進んだ。
「……終わった」
辺りが薄暗くなる頃、歪な形の温泉が完成した。真央は近くに簡易テントを張っていた。修の声を聞いて姿を現す。
「真央ちゃんの用意は出来ているのだ♪」
赤い水褌を穿いて胸には同色のリボンが愛らしいチューブトップを装着していた。
「修ちゃんもテントで水着に着替えるのだ」
「俺は木の陰でいいよ」
リュックを背負ったまま、修は近くの木の幹に姿を隠した。手間は掛からず、タオルを腰に巻いた状態で現れた。
「修ちゃんが裸なのだ」
「服を着て入るのはおかしいだろ」
疲労が足に及んでいるのか。修は下草に足を引っ掛けた。その振動で腰に巻いていたタオルが落ちた。
瞬間的に真央は顔を背けた。
「修ちゃんがパオーンなのだぁぁ！」
「ちゃんと見ろよ」
「パオーン自慢なのだ？」
怖々と真央が目を向けた先で修が水着姿で苦笑していた。
二人は温泉の中で仰向けに寝転がる。傍らには真央が淹れたコーヒーが置いてあった。
「星を見ながら飲む、甘いコーヒーもいいものなのだ♪」
「そうだな。木々が邪魔で星はあまり見えないが、折角だから秋の星座の話でもしようか」
「秋の大三角なのだ？」
真央の言葉に修は、惜しいな、と笑って言った。
「春と夏と冬に大三角はあるけど、秋にはないんだよ。似たようなのが秋の四辺形かな」
「三角の話で真央ちゃん、お握りが食べたくなったのだ」
「花より団子、この場合は星よりお握りか」
「そうなのだ～♪」
真央は目を細めてテントへと戻っていった。
修は夜空の星に目を向けた。
「今日中には帰らないとな」
明日の授業に響く。そのような考えが頭に過りつつ、修は穏やかな時間に身を任せた。
あとがき
担当マスター：
黒羽カラス
ファンレターはマスターページから！
今回は温泉探しのシナリオでした。
探し方は様々でＰＣの個性が際立ちました。
本格的な装備で挑む人がいる中で野生の勘に頼る人もいました。
中には二次利用という偶然の産物で温泉を楽しんだ人もいました。
複数のアクションが集まることで繋がる物語を私も存分に楽しむことができました。
執筆を進めながら笑みを浮かべて心もほっこりです。
皆様の心にも温かさが伝われば、と思いながら今回の話を締めたいと思います。
参加された皆様、ありがとうございました。
またの機会を楽しみにしております。
探し方は様々でＰＣの個性が際立ちました。
本格的な装備で挑む人がいる中で野生の勘に頼る人もいました。
中には二次利用という偶然の産物で温泉を楽しんだ人もいました。
複数のアクションが集まることで繋がる物語を私も存分に楽しむことができました。
執筆を進めながら笑みを浮かべて心もほっこりです。
皆様の心にも温かさが伝われば、と思いながら今回の話を締めたいと思います。
参加された皆様、ありがとうございました。
またの機会を楽しみにしております。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2015年04月12日
- 参加申し込みの期限
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- 2015年04月19日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2015年04月19日 11時00分
