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昼下がりの猫まみれ
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部活帰りの肩越しに、振り返る。
秋空の旧市街商店街を背に、
橘 千歳
が歩いている。
高く結い上げた艶やかな黒髪がうっかり見惚れるほどに綺麗だった。
千歳、と声を掛けようとして、
御剣 刀
は開きかけた唇を気まずく噤む。いつもならこちらの視線を受けて淡く和らぐ漆黒の瞳が、今は怒気を含んで固く凍っている。白い眉間には深い縦皺が刻まれている。意志の強そうな凛々しい眉は気難しげに吊り上っている。
刀は困惑した表情で肩に担いだ竹刀袋を揺すり上げる。数歩先に進んでいた足を緩める。少し遅れて歩く千歳と肩を並べようとするも、どれだけ足取りを緩めても、後ろの千歳と並ぶことができない。
もう一度振り返って、偶然視線が合わさった。否、千歳は睨むようにこちらの背中を見つめていた。
「千歳」
それなのに、思い切って呼びかけた瞬間にそっぽを向かれた。
(怒っている)
どうしようもない気まずさに、刀はどうしようもなく困惑する。千歳が怒っているのは確かだけれど、でも、その原因が分からない。
困り果てて、けれど何もできずに足を進める。千歳の軽い足音は躊躇わずに後に着いてくる。
(一緒に帰ってくれているし嫌われた訳じゃないよな)
それでも、背中にびしびしと感じるのは、あからさまな『私怒っていますオーラ』。
(……俺、なんかまたやらかしたか?)
うーん、と心底から悩む鈍感な少年の背中を見つめ、千歳は黒い睫毛を苦しく伏せる。
(なんかまたあちこち怪我しているし……)
心に低く、呟く。己の想いに従い、どんなに危険だろうとお構いなしに突っ込んでいく真直ぐすぎる少年が、心配でならなかった。出来ることならどこへだって付いて行きたかった。
(……もうすぐ試験なのに何をしているのかしら?)
心配の裏側に潜む自身の想いを誤魔化して、更に低く、ぼやく。
「えっと……」
先を歩く刀の足がふと止まった。考えに沈んでいたせいで背中にぶつかりそうになる。慌てて立ち止まり、どうしたのと尋ねかけて唇を押さえる。口も聞きたくないくらい、
(私は今怒っているよ)
頬にムッと力をこめて、――にゃあ、と足元に子猫。むくれた頬がしぼむ。ふわり、柔らかく緩む。
「何だ?」
刀の戸惑いがちな呟きに顔を上げる。刀と自分の視線の先には、以前、刀と一緒に来たことがある焼き鳥屋。その前に集まる、たくさんの猫。猫たちに抱きつかれ、困り果てたり歓喜したりしている、幾人かの人々。
「刀ちゃんなのだー」
名を呼ばれ、声の方を向いた刀が見たのは、地面に群がりご機嫌な声をあげる十数匹の猫。
「……後木?」
「刀ちゃんもゴーツーヘブンなのだー?」
恐る恐る近寄ってみれば、地面に転がり猫にまみれているのは、猫好きな同窓生。猫たちに負けず劣らずご機嫌な声で笑みを向けられ、刀は理解できない状況に首を傾げる。
「っ、うお」
傾げた頭に、猫が飛び掛る。黒髪の頭には届かず、制服の胸に貼り付く格好になる。
「日暮れくらいまでには猫たちも飽きるんじゃないかなぁ」
背中にも頭にも猫をくっつけた、時々この界隈で見かける少し草臥れた風貌の中年男性がのんびりおっとり、飄々とした口調で笑う。
「勝手に懐いてくれるのは嬉しいんですが……」
店の戸口にうずくまった店員が困ったような嬉しいような、複雑な表情でごつい肩にしがみついた猫を撫でる。
「……発情期か?」
制服の胸に貼り付く黒猫を抱き上げる。真顔で問えば、黒猫は金色の瞳を三日月のように細めて喉を鳴らした。店先で好き勝手に遊んでいた猫たちがわらわらと刀の足元に寄る。
困惑顔の店員を見遣って後、刀は後の千歳を振り返る。
(店員さんも困っているようだし、少し相手をしていこうか?)
言葉を掛ける機会を逃さずそう問おうとして、
「……千歳?」
刀は再び首を傾げる。
制服のスカートの足元にじゃれつく数匹の猫たちを見下ろし、千歳は何かを我慢するかのように眉を八の字にして、唇をぎゅっと引き結んでいる。
(どうしたんだろう?)
(猫ちゃん可愛いなぁ)
刀の不思議そうな視線にも気付かず、千歳は足元の猫たちを見つめる。脛をくすぐる猫毛のくすぐったさや温かさに夢中になりかけて、頬がふわり緩みかけて、
(あ、いや、でも、私は今怒っているよ)
きゅっと頬に力をこめる。ここで猫に和むわけには、
(……あ、いや、ちょっとだけなら)
可愛い猫ちゃんの魔力に逆らえず、猫ちゃんを抱き上げて頬擦りするために伸ばそうとした腕を、
(でも、私は怒っている)
強い意志の力で引き戻す。傍から見れば泣き出しそうな顔で腕を組む。
「ん? 何だ? お前らご飯が欲しいのか?」
猫の魅力に抗う千歳の傍ら、刀はあっさりと猫たちの輪に飛び込む。猫に頬擦りされて嬉しそうな声で笑い、鞄を探る。得意げな笑顔で取り出したのは、煮干。
歓喜の声をあげる猫の群の前、じゃらす手つきで煮干を振って、
「あ、刀君、こんなところで煮干なんて出したら……」
「ぐわっ!?」
猫の波に呑まれた。
「というか、なんで煮干なんて持ってるのよ……」
「友人の子猫にあげるために持ち歩いて……ちょっ、まっ、」
「……わぁ肩とか頭とかにも猫が乗ってる……」
「千歳助けて……」
猫たちに揉みくしゃにされ、刀が情けない声をあげる。
(ほどほどだったらいいなぁって思えるんだけど)
ここまでくると羨ましいよりも先、くすり、小さく噴出してしまう。
ずっと我慢していた笑みは、零れてしまえば止まらなくなった。
「刀君、とりあえず、その手の煮干は捨てた方がいいわ」
場を和ませる朗らかな声で笑いながら、千歳は震える指先で刀の手の煮干を示す。
「お、おう」
千歳の言葉に素直に従い、刀が手放した煮干を追って、何匹かの猫たちが刀の背中や肩や腕から飛び降りる。
煮干よりも君がいい、と刀の頭に尚も縋りつく猫を、千歳は止まらない笑みを堪えつつ両手で抱き上げ、
「危ねえ、猫に殺されるところだった」
真剣そのもので呻く刀の様子にまた笑い声を弾けさせる。
「千歳助かった、ありがとう」
「……ずるいわ、刀君、こんな手を使うなんて……」
抱き上げた猫が腕に縋りつくに任せ、千歳は笑いすぎて涙の滲んだ瞳を指先で拭う。
凄く笑われたものの、千歳の機嫌が回復したことを見て取り、刀は一息吐く。足に縋りつく虎猫を抱き上げ、桃色の鼻先に自分の鼻を寄せる。
「猫ナイス」
ぽつり、賛美の言葉を送る。にゃあ、猫が応えて笑う。
「に、しても」
されるがままの猫の前肢をそっと掴み、柔らかな肉球を押す。にゅ、と爪先から出て来る鋭い爪にちょっと顔を顰める。猫の爪は結構痛い。おまけに勢いよく飛びついてくるわ、背中だろうがお構いなしに登ってくるわ、
「中々やる」
真顔で話しかければ、猫は丸い猫眼をくるり、からかうように丸めてまた笑った。
猫まみれの地面にしゃがみこみ、腕に抱いた猫と真剣に語り合う刀の姿を横目に、千歳は知らず淡く笑んでいた頬を手の甲で擦る。足元に優しい温もりを感じて落とした視線の先に白猫を見、今度は躊躇わず抱き上げる。
「ねぇ、」
刀の仕草を真似て、白猫の桃色の冷たい鼻に鼻先を寄せる。
「本当にしかたのない刀君だよね」
「おっ、俺は仕方なくないぞ!?」
白猫への囁きを耳にしたのか、刀が焦って抗弁する。猫に集られた背中や肩が、何処かで怪我だらけにしてきた腕や頬が、なんだかやっぱりどうしようもなく仕方がなくて、千歳は微笑む。
その笑みがとても嬉しそうに楽しそうなものに思えて、刀もつられて楽しくなる。わだかまりの解けたまなざしで、二人はたくさんの猫たちを挟んで笑み交わす。
千歳が向けてくれる笑みにもう一度安堵して、刀は寄ってくる猫たちを思うさま撫でる。抱き上げる。柔らかな喉の下をくすぐり、三角耳の後ろを掻き、肉球に触れる。背中によじ登られ、肩や腕に縋りつかれる。そうしてまた千歳に笑われる。
「……お腹が空いた」
香箱を組む老猫の背中を擦り、唐突に刀が呟いた言葉に、千歳は瞬く。
「ここの焼き鳥を買って食べようか」
「焼き鳥?」
刀はまるで猫のように首をもたげ、小さな居酒屋の換気扇から吐き出される焼き鳥の煙に鼻先を向けた。一大事を思い出したような大食漢の少年の口ぶりに、千歳は優しく瞳を細める。
「んー、そうね」
そういえば笑いすぎて少しお腹も空いてきた。
(いまさら、また怒ったふりをするのも無理があるし……)
それにたぶん、どれだけ怒ったふりをしても、隣の朴念仁はこちらの怒りの理由に思い至れないだろう。
「しかたないわね」
抱き上げた猫の日向のにおいを嗅ぎながら呟けば、唇は小さな笑みのかたちになった。
「……今日のところは猫ちゃんたちに免じて許してあげるわ」
「千歳も一つどうだ?」
千歳の呟きを免罪符に、刀は空きっ腹を抱えて立ち上がる。以前、ここで一緒に食べた焼き鳥は美味しかった。それにひとりで食べるより、ふたりで食べた方がきっと何倍も美味しい。
「でも、刀君、店の前で食べたりはしないほうがいいわよ」
千歳に言われ、刀は周りの猫を見る。刀の言葉を理解しているかのように、猫たちが刀の足元に群がる。ぐるりに出来る尻尾の林に、刀は思わず噴出す。ここで食べたら襲われそうだ。
千歳が浮かべてくれた穏かな笑みに応じ、刀は頷く。同じように、微笑む。
「そうだな、別の所で食べようか?」
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担当ゲームマスター
阿瀬春
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
定員
10人
参加キャラクター数
11人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年04月29日
参加申し込みの期限
2015年05月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年05月06日 11時00分
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