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昼下がりの猫まみれ
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徹夜明けの瞳に昼下がりの陽射しが突き刺さる。
楕円の眼鏡越しの灰の瞳を眩しげに細め、
久須部 紀伸
は痩せた手を脂っけのない額に当てて庇にする。
庇にした指先にぽつり、インクの染み。今朝方漸く片付けた大仕事の名残に微かな笑みを思わず零して、誤魔化すように陽射しに伸びをする。
細めた瞳に映るのは、麗らかな昼下がりから酔っ払いたい大人の味方、路地裏の居酒屋『ハナ』。
大きな仕事から解放された今なら、締め切りを気にせず贅沢に酒盛りが出来るというもの。
「……うん?」
その『ハナ』の店先で繰り広げられる猫の大集会と、それに巻き込まれた人間たちを捉え、紀伸は眉を寄せる。
「ほう、猫ですか」
首を捻りながらも近づく新しい人間の姿に、猫たちが色めきだつ。にゃあにゃあと賑やかにあがる声に、店先で猫に集られ最早キャットタワーと化した人間たちに、滅多なことでは動じぬ伸紀の足取りが僅かに鈍る。
猫が嫌いというわけではない。
現に、隙ありとばかり足元に駆け寄ってきて脛に頭を擦り付けてくる猫はとても愛らしいと思う。ふふ、と笑みさえ漏らしてしまう。
「甘えても何もでませんよ」
ついつい長身を屈めて猫の胴を撫でてしまったのが運の尽き。
にゃあにゃあみゃあみゃあ、店の裏や路地の曲がり角、果ては背後の塀の上、どこからともなく現れた無数の猫たちが次から次に紀伸の膝や腕に縋りつく。背中をよじ登る。驚いている間に、店先で猫たちに悩殺される他の人達と同じにキャットタワーと化してしまう。
「みゃみゃみゃー、なのですー」
「おじさんもねこだるまだねぇ」
「おやおや、お互い大変だねえ」
にんげんキャットタワーの先人達がそんなに災難とは思っていなさそうな幸せな声で笑っている。
「そうですね、困りました」
肩や背中に圧し掛かる柔らかで温かい猫たちを邪険に払い除けるわけにもいかず、紀伸はちょっと途方に暮れる。目当ての居酒屋はすぐ目の前だというのに、これでは身動きが取れない。
(困りました)
そう感じた瞬間、紀伸の隣にひとの目には見えない透明な少女が現れる。ろっこんの力で彼の傍に呼び出された幽霊少女は、しばらく物珍しげに猫まみれの周囲を見回して後、己の隣のキャットタワー紀伸に気がついた。
大変、と少女は飛び上がる。周囲の誰にも気付かれぬまま、幽霊少女は透明ながらも物に触れることの出来る手を手近な猫に伸ばす。よいしょと抱え上げ、紀伸から猫を引き剥がす。
「……は?」
腕に縋り付いていた猫がふわり、何かに抱え上げられるように浮かんだ。そのままふわふわと宙ぶらりんの格好で紀伸の体から離れて遠ざかる。
「猫が……」
紀伸は目を疑う。面食らうばかりの紀伸の目前で、紀伸にくっついていた猫たちが次々と飛び去って行く。
背中に負ぶさる格好でしがみ付いていた猫が宙を飛んで離れていくのを呆然と見送りながら、紀伸は己が頬を抓る。痛い。
「ふむ」
徹夜明けで寝惚けている訳でもなさそうだ。
(怪奇現象ですかね)
紳士然とした風貌ながら実はオカルト好きな壮年のホラー系イラストレーターは動じぬ眼差しを浮遊する猫へと向ける。
(こんな昼間のこんな場所で……?)
にゃあ、肩に乗っかっていた猫が紀伸の耳元で一声鳴いて、身軽に身を翻す。宙を舞う猫を追いかけるのか、それとも猫を抱える見えないナニカに懐いてたかるためなのか、紀伸にくっついていた他の猫たちも一匹、また一匹と離れ始める。
猫たちから解放されて、自由を取り戻した紀伸はこれ幸いと腰を浮かせる。見たところ、固く戸を閉ざした店内に猫の姿はなさそうだ。
(今の内に店内へ逃げましょう)
見えないナニカの足元をぐるぐる回る猫や抱き着こうと跳ねる猫のご機嫌な背中を横目に立ち上がって、
「ふぉぉ、なんなのだこのパラダイス!?」
先日、廃屋で聞いたのと同じ声を背後に聞いた。声と共、紀伸の足元を数匹の猫たちが駆け抜ける。店先の人々に突進してゆく。
「あ、紀伸ちゃんなのだ!」
「やあ、後木さん」
元気よく手を上げる女子高生、
後木 真央
の姿に、紀伸は灰色の瞳を僅かに細める。廃屋で出会ったときは怪奇現象に怯えはするもひたすらに元気で明るい表情をしていた少女が、今はその翡翠色の瞳にどこか寂しそうな色を宿している。まるで泣いた後のように頬が赤く見えるせいだろうか。
絵を描く者ならではの観察眼を見せながら、けれど紀伸は唇を噤む。
「誰のろっこんなのだ神魂なのだもっとやれなのだ~!?」
少なくとも、彼女は今は元気な声を出している。無理に触れて抉る趣味はない。
「猫だね」
「おネコさまなのだ!」
茶色の猫っ毛を跳ねさせて大きく頷く真央に軽く手を振り、紀伸は店内へと足を向ける。
宿り主である紀伸の後を追おうとして、幽霊少女がふと真央を見つめる。見つめられているとも知らず猫に興奮する真央の頭をふわり、一撫でして、ひとの目に触れられない少女は紀伸を追う。
「……あれ?」
誰かに優しく頭を撫でられた気がして、真央は片手を頭にやる。途端、ぶわり、頬に熱がのぼった。
猫の大移動を追いかけるのに必死になって忘れた振りをしていたのに、また思い出してしまった。
さっき、猫を撫でていて思い出した、あの人の優しい掌。おどけるように抱きしめてくれた腕の力。
頭に手をやったまま、瞳を伏せる。
(……だって)
相手の純愛も好みも知っている。
箸にも棒にも引っかからない自分を、知っている。
(そんなこと、よく知ってる)
それくらいの大親友だった。
だからこそこれは、この気持ちは、相手に迷惑をかける。自分にもプラスにならない。なるわけがない。
こうやって冷静に判断できる今なら、――今だからこそ、始まる前にこの思いを理性で叩き潰せる。
猫を撫でながら考えた果てにそう結論づけた。だから今は、
「店員さん!」
だから今は猫にまみれよう。
背負った赤猫リュックから常時携帯しているデジカメを取り出しつつ、真央は紀伸のために戸をあけようとする猫だるまな店員に声を掛ける。
「か、帰りに全財産で焼き鳥買ってお持ち帰りするので写真を撮っ……」
ついでに店内で黙々と作業をしている女将にも声を掛けて撮影許可を得ようと急き込んで戸を潜って、
「ふぉぉ!?」
途端、足元にじゃれつこうとしていた猫たちが蜘蛛の子を散らすように店外へと逃げた。
「ま、待ってなのだおネコさま~!?」
戸口に佇む店員に咄嗟にデジカメを押し付け、慌てて外に出る。
「どのくらいご入り用かしらー?」
「三千円分お願いしますのだー!」
女将の声に応じつつ外に出れば、猫たちは何事もなかったかのように真央に向けて押し寄せた。
「ゴーツーヘブンぱらいそバッチ来いなのだ~!」
猫の波を受け止めるべく、真央は両手を広げる。むしろ自分から猫たちの群に飛び込む。
跳躍する視界の端、猫だるま状態の小さい友達、
椎名 あさひ
を見つけた。
「あさひちゃんなのだー!」
「あっ、まおおねーさーん」
あさひに手を振りながら、真央は猫波に五体投地する。地面に転がる真央に向け、猫が集る。普段なら速攻で逃げ出す猫たちが、今日は逆に楽しげな鳴き声を上げて熱烈に抱きしめ返してくれる。嬉しすぎて顔が火照った。楽しすぎて動悸が激しくなった。
大好きな猫たちにもみくちゃにされながら、真央は涙が出るほど笑う。
(本当は)
本当は、猫も犬も大好きだ。
でも、犬は無垢な信頼を向けてくる。それを裏切るのが何より怖い。
猫は猫の都合で動く。だから裏切らずに済む。
例えば相手の寂しさを感じて慰めてやろうと寄ってくる、それすらも猫の都合。気紛れな優しさを享受するだけで許される、こんな幸せはない。
(……本当、は)
「……こりゃあ厄介なことになってるねぇ」
楽しげな声と共、背中に圧し掛かる猫の重みが一匹分宙に浮いて、真央は沈みかけた瞳を持ち上げる。
「さて、あたしゃどうしたらいいもんさね?」
真央の背中から摘み上げた猫を片手、もう片手の回覧板の角で肩を叩き、
宇佐見 満月
はそばかすの頬に威勢のいい笑顔を浮かべる。ジーンズの膝に細い爪を立ててよじ登ろうとする子猫を手ですくいあげ、物欲しげな瞳をする真央の背中にちょんと乗せてやる。
「ありがとなのだ」
「はいよ」
ついでに猫まみれの少女の頭をごしごし撫でて、回覧板を届けるべくすっくと立ち上がる。足や腰にまとわりつく猫たちを掴んでは投げ、
「はい、はいよ、」
「あっ、うさぎ屋さん」
戸口に立つ店員に手渡し、
「はい、ごめんよー」
ガラリ、戸を引き開ける。猫まみれになりながらも初志貫徹、無事に店内へ突撃完了。
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担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
定員
10人
参加キャラクター数
11人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年04月29日
参加申し込みの期限
2015年05月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年05月06日 11時00分
参加キャラクター一覧
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