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秋桜、ふたりぼっち
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――だるい。
前髪の間に手を差し入れ、もうずっと低体温の、自分の額をさすります。
この手の下には皮膚があって頭の骨があって、さらに脳があります。
でも心は、どこにあるのでしょう。
――だるい。
なにもかもだるいのです。
朝鳥 さゆる
にとっては。
つかの間の快楽をどれだけ積み重ねようとも、睡眠薬を点滴されているような日々から目覚めることはできません。ひたすらに長い夜、秋になってずっと長くなった夜は、ゆきずりの男女とただれた関係をくりかえしたところで、早送りできるわけでもないのです。
今朝もさゆるは、そうしたセックスフレンドのマンションから出て、どこへ行くでもなくふらりと、魂を亡くしたかのように歩き続けていました。
自宅は、ひとりで過ごすには広すぎます。
かといって、別の身体だけの相手の元へ訪れる気にもなれませんでした。
そうしてこのとき、さゆるがたどりついたのが秋桜畑だったのです。
あてどもなく歩いたというのに、今の気分にちょうどいい場所に来た気がしました。
風にそよぐ一面の秋桜は、淡い桃色と白の海のようです。
花の香りを乗せた風に着ている秋物のコートの裾を泳がせながら、可憐な花々を眺めます。
それで十分でした。静電気でまとわりついたようなけだるさは、どこかへ消えていったような気もしました。
この光景の一部になれたら、どんなにか良いでしょう。
さゆるはただ、立ち尽くしていました。
どこか憂いを帯びた目で、本当はまだ十五歳なのに、二十歳前後に見える大人びた風貌で。
さゆるに声をかけようという男性はいませんでした。さゆるの背が、はっきりと拒絶の意を示していたからかもしれません。
そのとき彼女は突然、電気に打たれたような感覚をおぼえ爪先立ちになりました。
彼女の名が呼ばれたのです。
聞き覚えのある声。
特徴的な音程。抑揚。
他の誰でもない。
片篠藍人(かたしの・あいと)。
それは、かつて一度だけ、さゆるが本気の恋をした相手でした。
驚きはやがて疑問となり、疑問はいとおしさと同時に、冷たいタールの海に落ちたように、絡みつく様々な感情をさゆるに呼び起こしました。
その彼は、あるときさゆるの前から姿を消しました。
その後の行方は知りません。
あくまで噂ですが、とっくに死んだと聞いたことがあります。
なのに彼がいたのです。さゆるが振り返ると、そこに。
言葉が、出てきません。言いたいことはたくさんあるはずなのに、さゆるの喉は石膏でも詰められたように動かなくなってしまいました。
かわりに、蘇ったのは彼とわかちあった記憶でした。
それを恋と呼ぶこともできましょう。けれどもそれは壮絶な、血を流すような恋でした。
大抵の男たちと同様、彼と出会ったのも夜の街でした。
彼のほうがひとつかふたつ、歳上のはずです。
狼のような眼をした少年でした。といっても、動物園の眠そうな狼の眼ではありません。酷寒の地に棲みひどく飢え、空腹のあまり仲間はおろか、自分の腕であろうと食らい付きそうなほどに殺気だった狼の眼でした。
はじめて彼に組み敷かれたときのことを、さゆるは今でも覚えています。
けれどこのとき彼がさらけ出したのは欲望ではなく、己の傷ついた心の、まだ残っているやわらかな部分だった気もするのです。
今、彼はやはり狼の目で、黙ってさゆるを見つめています。
視線で射殺そうとしているのかもしれません。
それとも、言えなかった言葉を告げようとしているのでしょうか。
周囲に人の姿が絶え、世界が彼と自分だけになっていることに、さゆるは気がつきません。
気がついたとしても、同じでしょう。
さゆるは決めていました。自分から、口を開こうと。
カラカラになった唇を開いて、ようやく彼女は言葉を紡ぎました。
「……とっくに死んだと、思ってた」
どうしようもなく芸のない言葉、かもしれません。
ですがこれこそ、最初に言うにふさわしい言葉だと彼女は思いました。
彼はさゆるの言葉を、否定も肯定もしません。ただ彼らしい言葉で、自分のことは訊かないでくれ、というような内容を伝えました。そうではなくさゆるのことが知りたいんだ、とも。
「あたし? あたしは……」
それからポツリポツリと、さゆるは今の自分について話しました。
彼は相槌を打ちます。けれどどこかずれていてぎこちない。でもそれが彼らしい。
言葉少ななふたりだから、会話は弾ずむことがありません。だけどそれでいいのです。
彼女と彼の間にあった愛は、言葉の代わりに互いの身体と心を傷つけ合うことだったからです。
切ないという感情が、まだ自分のなかに残っていることをさゆるは唐突に知りました。
会話が途切れかけたとき、まばゆい光を感じてさゆるが眼を細めると、もう彼の姿は消えていました。
片篠藍人、彼は光に溶けてしまったのでしょうか。
それとも最初から、そこにはいなかったのでしょうか。
「……結局……いつも取り残されるのはあたしだけ……」
わかっていた、というかのように、さゆるは小さく息を吐き出しました。
彼と、身体と心を傷つけ合っていた頃、そこに確かに、痛みがありました。
けれど今は……その痛みすら、さゆるは感じません。
傷つけようとして…………。
さゆるはふたたび、ひとりぼっちに戻りました。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年04月05日
参加申し込みの期限
2015年04月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年04月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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