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秋桜、ふたりぼっち
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天邪鬼と呼びたければ呼ぶがいい、それが
陸枷 藍
の心意気です。
花畑とかは、人が少ない時間が一番好き。
たとえ冷える秋の夜であろうとも、がやがや賑やかな真昼より、ずっと藍の性に合います。
何がいいって、自分の気ままに振る舞えるということ。
往くも帰るも赴くままに、こういった場所を一人で歩くのもまたよいものではありませんか。
強がっているのではありません。一人か集団、どちらか一極でないと割り切れない人の頭の固さを、むしろ藍は哀れとさえ思うのです。
「……ま、どうでもいいけど」
空には冴え冴えとした月、その青白い光はときに人を、狂気に誘うと言います。
されども狂気など無縁、月の光を背負いながら藍は両手をポケットにつっこみ、軽く背を丸めて歩きながら夜の秋桜を悠々と楽しむのでした。
さらさらと秋桜の花が揺れました。
「おや、お姉さん」
藍は足を止め、目の前に立つ少女に目を向けました。
向こうも、意外な出会いに驚いているようです。
「この島は確かに狭いし知り合いに会いやすいけど、こういう場所で再会するなんてね」
「……確かに、狭いらしいな」
やれやれ、といった調子で彼女……
詠 寛美
は息を吐き出しました。
今夜の寛美は、寝子島高校の制服を着ています。スカートの丈が寸法を少々誤ったのでしょう。カモシカのように長い脚はすらりと伸び、やや開いた状態で土を踏んでいます。切れ長の眼、黒い宝石のような瞳……暗がりで見てもやはり、鳥肌が立つような美少女なのでした。不敵に腕組みして、愛想笑いのひとつも見せることなくこちらをにらみ、やや挑発的に顔を軽く上げていますが、それでもやはり印象的な美がありました。
実は藍と寛美はこのときすでに、秋桜がもたらす不思議な力で、ふたりきりの空間に入っているのでした。けれど、それを自覚するすべは互いにありません。
なぜって最初から、彼ら以外の姿がなかったからです。
まあ、遠くを見れば秋桜畑の果てが消失していることに気がついたかもしれませんが。もう夜ですし。
人に会うこと自体、珍しい時間帯でした。その上その相手が知り合いとは、ちょっとした偶然です。けれども藍は奇遇を喜ぶより、普段通り皮肉を口にするほうを選びました。
「脳味噌まで筋肉までできてそうと、前会ったときは思ったんだけど……お姉さん、花畑に来る趣味なんてあったんだね。意外だったよ。少なくとも海浜公園でもジャージで走ってるイメージではあったからね」
一瞬、藍は寛美が殴りかかってくるかと思いました。それくらいの強烈な怒気が、寛美の背中から立ちのぼったと感じたからです。実際に見えたわけではありませんが、手に触れられそうなほど鮮烈な青白いオーラが見えたような気がしました。
突き刺すような視線をあらわにした寛美でしたが、それはごく、わずかな時間のことでした。時間にして十分の一秒もなかったのではないでしょうか。
「……悪かったな」
そのまま彼女はくるっと背を向け、足早にその場を離れようとしました。
「おっと、お姉さん。もしかして怒った?」
他人の感情を察するのを得意としている藍です。いや、得意としていなくても、明らかに寛美が感情を害したのはわかろうというもの。
……さすがに、言い過ぎたかもしれません。
さっと彼女の前に回ってみた藍ですが、けれども謝るのは性に合わなくて、そこで話題を変えてみました。
「こんな、人がほとんどいない時間をセレクトするなんて女性としちゃ不用心なんじゃないかな?」
「俺は脳味噌筋肉だからな。気にしねぇんだよ」
ぶつっと肉の塊を、投げつけてくるような口調です。寛美は藍を押しのけて、迷うことなく歩き出しました。
全身凶器のような格闘少女ながらも、その内側には柔らかいものがあるのかもしれませんね。
――面倒くさいな。
女ってのはどうしてこう……と思わずにはいられませんが、それならそれで藍のほうにも、寛美向けの手はあります。もう一度彼女の眼前に回り込んで言いました。
「それよりお姉さん、結構強かったよね? こんなところだけど僕に、是非稽古をつけてくれないかな? 一合でいい、退屈だったんだ」
乗ってくるかと思いきや、寛美の反応はますますもって冷たいものでした。
じろっ、と一瞥だけして、
「気分じゃねぇ」
言い捨ててまた歩き出します。今度は藍に背を向けて、正反対の方向へ。
「ああもう……!」
なんだか無性に負けた気分です。拳の一つも交わしていないのに、ノックダウンされたような……! どうしてこういう気持ちになるのか、藍にはとんと説明が付かないのでした。
追いすがって言います。
「遊んでよお姉さん。もたもたしてるとその顔蹴っ飛ばすよ!」
「嘘言うな」
ぴしゃり。
実際に打たれたわけではありませんが、藍は頬を打たれたような気がしました。
どうも今回、藍のほうが分が悪い。いちいち読まれているようです。もうこうなったら兜を脱ぐほかないでしょう。藍は割合そのあたり、さっぱりしているほうなのです。
「お姉さんにはかなわないな……。負けだよ、今回ばかりは。それに、侮辱するようなことを言って悪かった」
もう一度、今度はゆっくりと寛美の前に回って彼は言いました。
「稽古うんぬんについては一応僕だって、寸前までは本気ではあったんだけどさ。今日はもうこっちの不戦敗ってことでいいよ……よく考えたらこういうのは、お互いが万全な方が面白いかなって思うし」
寛美はまた腕組みしています。
射殺すような表情もあいかわらずです。
でも、足を止めてくれただけ、ずいぶんましではありましょう。
それを見て藍は、なんだかすっきりしました。
「だから今回はこのまま帰ることにする。今度会うときこそ遊んでよ。ご主人サマが構ってくれないときとか、暇だからさ」
ここで今夜初めて、寛美のほうから問いかけました。
「わけわかんねぇやつだよな……結局、何がしたかったんだよ」
乱暴きわまりない言葉遣いですが、もう彼女は怒っている様子ではありません。
「何がしたかったかって?」
藍は肩をすくめました。
「お姉さんに会ったらなんでか刺激が欲しくなっただけだよ」
悪びれもせず笑って見せます。ちょっとだけ、寛美が表情を緩めました。
「じゃ、バイバイ。僕はコンビニでおでんを買い食いして帰るよ……前と同じコンビニでね」
言ってから、思いだしたように言い加えます。
「もしかして……来たりする? どうせ、『おごりなら』とか言うんだろうけど……」
いくらかやわらいだとはいえ寛美はやっぱり、むすっと不機嫌そうな顔つきです。でも、ふんと鼻息一つして、彼女は藍にこう言ったのでした。
「当たり前だ」
お姉さんってば笑えばもっと、可愛いかもしれないけどなあ――と藍は思ったりしました。
いやでも笑わないからこその、寛美なのかもしれません。よくわかりませんが。
まあ今はそんなことを考えるのをやめて、秋桜咲くこの夜道を、遠くにほのかにみえるコンビニの明かり目指して歩いていくとしましょうか。不機嫌お姉さんをエスコートして。
『秋桜、ふたりぼっち』 了
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あとがき
担当マスター:
桂木京介
ファンレターはマスターページから!
ご参加ありがとうございました。桂木京介です。
前回とちょっと似たテイストかな……と懸念しつつ公開したお話でしたが、集まったアクションの性質からか、また違う雰囲気の物語になったように思います。
不思議で、切なくて、甘酸っぱいお話でもありました。
それではまた、新たなシナリオでお目にかかりましょう。
ご意見ご要望ご感想お待ち申し上げております。
桂木京介でした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年04月05日
参加申し込みの期限
2015年04月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年04月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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